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しおりを挟むさっそく徹は、樹里に背中を向けている。
慌てて樹里は、徹からジャケットを脱がせて、辺りをきょろきょろと見回した。
「えっと。クローゼットは……」
そうする間にも、徹は次の動作に移っている。
歩きながら、シャツを、ベルトを、トラウザーズを、ぽんぽん脱ぎ捨てて行くのだ。
樹里が衣服を拾いながら後を追うと、彼はそのままバスルームへ入ってしまった。
「えっと。シャツは、洗濯しても……いいよね?」
自問自答しながらランドリーにシャツを入れていると、バスルームから徹の声が響いて来た。
「何をしているんだ? 早く君も入ってきなさい」
「は、はい!」
いい返事はしたものの、どうしたらいいんだろう。
「背中を流せ、っていうことだよね。きっと」
シャツの袖とジーンズの裾をまくり上げ、樹里は温かな浴室へ足を踏み入れた。
だがしかし。
「樹里くんは、服を着たまま風呂に入るのか?」
呆れたような、徹の声だ。
そこで樹里は、彼の言葉を思い出した。
『高級ソープなら、一日でそれくらい稼ぐ子もいるさ』
(お、お風呂エッチ、しなきゃならないんだ!)
樹里はもう一度脱衣所へ戻り、服を脱いだ。
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