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しおりを挟む「昴さま。私は……」
今度は暁斗が語り始めたので、昴は少しだけ顔を挙げた。
暁斗の目を見ながら、話しを聞いた。
彼の目は昴の方を向いてはいなかったが、その眼差しはいつも以上に穏やかだった。
「私はこれまで、誰よりも上質な人間になるために、生まれてきたのだと思っていました」
「……」
「己の理知を見極めるために生まれ、生きてきたのだと思っていました」
私の故郷は、やたら田舎でして、と暁斗は照れたように微笑む。
「もっともっと、広い世界で自分を磨きたかったし、試してみたかったのです」
そして、藤原家の執事になった。
屈指の名門と謳われる家の、執事となった。
それが誇らしい暁斗は、私は藤原家の執事になるために、生まれてきたのだと思った。
「ですが……」
そこでようやく、暁斗は昴を見た。
月の光を宿した瞳は、黒曜石のように輝いていた。
「藤原家の執事としての私は、そうなのです。しかし一人の人間として、柏 暁斗として生まれた意味は、違うと思うようになりました」
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