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「まさか、このベッドに二人で?」
「そうですよ。いけませんか?」
 いや、待って。
 健は未悠の肩に、手を置いた。
「君は、まだ若い。もっと自分を、大切にした方がいい」
「え?」
「行きずりの男と、寝るなんて。親御さんが知ったら、悲しむぞ」
 それにはすぐに答えず、未悠は健の手を引いてベッドに上がった。
「僕、両親はいませんから」
 2年ほど前に、亡くなった。
「交通事故で、二人一度に。一瞬にして僕は孤児になりました」
「そうだったのか。すまない」
「伯父が面倒を見てくれることになったんですが、このマンションに独り住まいです」
「マンションは、伯父さんが買ってくれたのか?」
「はい。でも伯父は、僕を嫌っていて。それでほとんど会いません」
 嫌い、だなんて。
 こんなに可愛らしくて気立てのいい子を、嫌う人間がいるのか?
 健の疑問は、もっともだった。
 サラサラの栗色の髪に、白い肌。
 形よく整った目鼻立ちは、その配列も黄金比だ。
 すらりと長い手足も、バランスがいい。
 こくり、と健の喉が動いた。

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