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しおりを挟む「未悠。おい、未悠?」
オーガズムに達した後、未悠はくたんと力を抜いた。
そのまま、ぐったりと動かなくなった。
「まさか、気を失って……?」
ひとまず健は未悠から離れると、その顔色をうかがった。
白目になったり口から泡を吹いたりしていないところをみると、体の異常ではない。
そっと額を撫でてやると、すぐにその円らな瞳は薄く開いた。
「うぅ……」
「あ、気が付いた。大丈夫か?」
「ふぅ……う。うぅ、う……」
どこか夢見心地の、未悠の視線。
その焦点が合った時、健は頭を下げていた。
「ごめん。ちょっと、激しすぎた? まさか失神しちゃうなんて」
「僕こそ、ごめんなさい」
でも。
もう一度、聞きたい言葉がある。
「健さん。さっき僕のこと、好きだよ、って言ってくれましたよね」
「え? あ、うん。つい、言ってしまった」
健は再び、頭を下げていた。
「ごめん。不用意だったな」
「そんな。何度でも、聞きたいです!」
「いや、ダメだ。私は、未悠を好きになったりしては、いけないんだよ」
「それは、解ってます」
未悠の目から、涙が一筋流れた。
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