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「その気持ちは、嬉しいです。でも、僕だって獣人です。健さんと同じ」
 そして、明日が満月。
「満月の僕、これでも強いんですよ。健さんにはかなわないけど」
 未悠は、もう目を閉じてはいなかった。
「僕は、この街が好きです。だから、悪い人たちに踏みにじられたくない」
 悲しいことも辛いこともあったけど、優しい思い出もたくさんあるこの街が、好き。
 そんな街を守る、お手伝いがしたい。
 そう、未悠は言った。
 確かな、力強い響きだった。
「もう、よそう」
「健さん」
 この話は、もう終わり。
 健はそう言うと、未悠をその胸に抱いた。
「未悠はね、私にとって宝物なんだ」
 200年以上生きてきて、ようやく巡り合えた宝物。
「だから、壊したり失くしたりすることなんて、絶対にできない」
 他の手を探すから。
 未悠は、明日も学校に行って。
「帰ったら、ただいま、って言って。美味しい料理、作って。そしてこうして、一緒に寄り添ってくれるだけでいい」
 小さく、未悠はうなずいた。
 健がこんなにも自分を大切に想ってくれていることが、嬉しかった。

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