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「僕、発情なんかしてません!」
「嘘だな」
 新見は、ハニトラ防止策にフェロモン抵抗剤を常飲しているので、未悠に狂わされることはない。
 だが、組員たちは怪しくなってきている。
 ぎらぎらした眼差しで、彼を物欲しそうに眺めているのだ。
「おそらく、発情抑制剤が切れてきているんだろう」
 さて、どうしようか。
 新見は、意地悪く言ってみた。
「小咲くん。言わなければ、この人たちに君を襲わせてもいいんだよ?」
 それでも未悠は唇を噛んで、恐怖と戦っている。
 意地でも、健の秘密は言わないつもりだった。
 すると、男の一人が提案してきた。
「新見さん、こいつを使って吐かせてはどうでしょう?」
 彼の手には、細身の注射器があった。
 普段は隠してある、違法のクスリだ。
 発情した未悠を前に、組員たちは暴走し始めていた。

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