弦先輩と千尋の日常は晴れ時々くもり所によりドキドキするでしょう! ~硬派先輩×可愛い後輩 幼馴染だった二人は恋に落ちていく……のか?~

大波小波

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 とにかく千尋をいじめるやつは許さん、と様子をうかがう目的もあって、弦は一年生の教室へ向かった。
 休み時間の下級生の教室は騒がしく、特に女子の黄色い声が響き渡っている。
 その中に混じる、千尋の困ったような声。
(まさか、千尋。また、いじめに!?)
 今度の相手は、女子か。
 だが、女であろうと容赦はせん、と戸口に立って中をのぞいた。

 弦に気づいて、埃っぽい室内から抜け出してきた姿がある。
 誰だ?
「弦先輩、どうしたんですか?」
「え? いや!? 千尋!?」
 千尋の髪型が変わっている!
 柔らかな肩までの長い髪を、デフトバンでまとめて、シニヨンにしたその姿。
 白く美しいうなじと、そこにかかる後れ毛が、清潔感と同時に艶っぽさを醸している。

 固まったまま動けない弦に気づいた千尋は、笑いながら髪を結ったデフトバンをほどいた。
「もう、やだな。女の子が、ちょっとふざけてですね」
 先程、髪を切った坂井を鼻で笑ったが撤回だ。
(髪型、侮りがたし!) 
 シニヨンの千尋は……千尋は……。
 男であるにもかかわらず、可愛かったのだ!

「くッ!」
「先輩!?」
 手にした弁当箱を千尋に押し付け、弦は逃げるようにその場を後にした。
 次の休み時間に千尋が弁当箱を持ってきて、何やら説明していたが、よく覚えていない。
 シニヨンのインパクトは、それほど凄まじかった。


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