弦先輩と千尋の日常は晴れ時々くもり所によりドキドキするでしょう! ~硬派先輩×可愛い後輩 幼馴染だった二人は恋に落ちていく……のか?~

大波小波

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「ねぇ。もしかして、河島クンを待ってる、とか?」
(なぜ、解るんだ!?)
 そう驚きつつも、やはり、別に、と短い返事をした弦だ。
 だが、それを聞いた坂井は、他の女子数名と頭を寄せ合い、キャッキャとはしゃいでいる。
(女とは、どうしてこう些細なことで笑うのか)
 内心うるさいと思いながら、弦は関わるまいと、暇つぶしの本に目を落とした。

「ねぇねぇ、海江田クン。河島クンのこと、好き?」
(後輩なんだから、好きに決まってるだろう)
 その程度の考えで、弦は再び短く返事をした。
「あぁ」
 途端に、坂井たちは黄色い歓声をあげて、ひゃあひゃあ叫んでいる。
 何が、そんなに嬉しいやら。
(いいかげん、うんざりだ)
 今度何か言われても、もう返事はするまいと心に決めた弦の前に、坂井が一冊の本を差し出した。

「じゃあ、じゃあね。コレ、読んでよ! 感想とか、明日聞かせて!」
 茶色のカバーの掛けられた、薄い本。
 パラパラとめくってみると、何のことはない。
 すぐに読了できるような、小説だった。

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