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しおりを挟むそこで田中は、練習試合で思いきって、主将の高橋を弦にぶつけた。
体格、技能、経験、すべてを上回る高橋は、弦を寝技に持ち込み、最終的には下からの腕十字固で決着をつけた。
終始攻めにくる弦を見事にさばき、返し技で仕留めたその運びは、さすが経験豊富な真の柔道選手だった。
「どうだ、海江田。負けるのも面白いだろう」
「そうですね。勉強になりました」
田中に返した弦の言葉は、嘘ではない。
主将・高橋の、技から技へつなぐ流れと、そのタイミング。
劣勢を跳ね返し、優勢へと転じる体さばき。
柔道とは、なんと奥深いものか。
だが、その頭で弦は、すでに次のステップを考えていた。
(ああいう連続性を身に着ければ、俺もまだまだ強くなれる!)
帰りの電車に揺られながら、今日の敗因と反省などを考えていた。
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