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しおりを挟む翌日から、弦は昼休みを返上して、応援の振り付け練習にあけくれた。
まずは運動場いっぱいに響き渡る、大声を出すことからだ。
しかし、これは全く問題ない。
ケンカで、啖呵を切るノリで、やってしまえばいいことだ。
普段は大声など絶対に出さない弦が、吼える。
その姿に、全校生徒が震え上がった。
「海江田、すげえ」
「しゃべらないヤツだと、思ってたよ」
この時点で白組どころか、紅組の心まで鷲掴みにしてしまった、弦。
振付けの練習が始まる頃には、その姿を拝みに見学者まで現れ始めた。
「海江田くん、カッコいい!」
「私も白組になりたかった……」
集中しているので周りがすっかり見えない弦だが、ふと手を休めると人だかりができている。
(何だ、これは!?)
散れ!
俺は見せ物ではない!
そう怒鳴りたいところだったが、あまり目立つことはしたくない。
いや、すでに目立ちまくりなのだが。
「海江田、お前スジがいいな。明日からは、白組全員率いての練習だ。がんばれよ!」
「はい……」
いよいよ、あの長ランを大勢の前で着なくてはならないのだ。
弦は一抹の不安を覚えていた。
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