弦先輩と千尋の日常は晴れ時々くもり所によりドキドキするでしょう! ~硬派先輩×可愛い後輩 幼馴染だった二人は恋に落ちていく……のか?~

大波小波

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 執事の特訓は、弦のクラス内でも始まった。
「お、お嬢様……」
「ダメ! もじもじしない! もう一回やり直し!」
 照れる男子に、厳しい女子の喝が入る。
「勘弁してくれよ~」
 男子ほぼ全員が、この有様だ。
 クラス一、いや学年一、いやいや学校一、無愛想な海江田くんを教育するのは、さぞや大変なことだろう。
 そう構えていた女子たちだったが、弦は千尋によって鍛え上げられているのだ。
 柔らかな笑顔と甘いイケボを、披露して見せた。

「お帰りなさいませ、お嬢様」
「海江田くん、すごい……」
「完璧」
「所作も満点……」
「男子! 海江田くんを見習って!」

 これには男子全員が、窮地に立たされた。
 あの堅物の海江田でさえ、こなして見せる執事役。
 できなければ末代までの恥、とばかりに真剣に取り組み出した。

「お帰りなさいませ、お嬢様」
「お席は、こちらでございます」
「どうぞ、おくつろぎください」
「こちらが、メニューとなっております」
「お嬢様、お口に合いましたでしょうか?」

 休み時間には、バタバタと教室中を駆けまわっていた男子たち。
 それが次第に、華麗な身のこなしで机の間をすり抜けて歩くようになった頃、いよいよ文化祭当日がやってきた。

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