弦先輩と千尋の日常は晴れ時々くもり所によりドキドキするでしょう! ~硬派先輩×可愛い後輩 幼馴染だった二人は恋に落ちていく……のか?~

大波小波

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「ね、先輩。就職とか、考えた事ありますか?」
「どうした、急に」
 千尋は、文化祭の弦を見た佐藤たちの会話を、打ち明けた。

『なかなか似合ってるよな』
『将来の職業は、執事でいいかも』

 こんなこと言って、先輩怒るかな。
 佐藤くんたちを、殴りに行ったりしないよね? 
 そんな風に、少し後悔し始めた千尋の耳に届いたのは、意外にも小さな笑い声だった。

「将来は執事か。それもいい」
「先輩!?」
「主人が千尋なら、考えてみるかな」
「弦先輩~!」
「早く食え。冷めるぞ」
「はい!」

 クロワッサンに手を伸ばした千尋は、ふとそれをやめて咳ばらいをした。
 大げさに胸を張り、ちらと流し目をよこす。
「弦くん、食べさせてくれないかね?」
 ぷッ、と吹き出した後、弦は小さくちぎったクロワッサンを、千尋の口元まで持って行った。
「よく噛んで、お召し上がりください。ご主人様」
「うふふっ」
 あ~ん、と口を開けて食べたクロワッサンは、世界一おいしい朝食の始まりだった。


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