恋してみよう愛してみよう

大波小波

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 遠田の去ったVIPルームに、真がそっと入って来た。
 ベッドには、呆けたように詩央がしゃがんでいる。
「お疲れ様。まずは、シャワーを浴びてきなさい」
「北條さん」
 どっと、詩央の目から涙があふれた。
「北條さん、僕。怖かったです、僕……!」
「嫌な役目をさせたな。すまない」
 部屋は片付けておくから、お風呂に入っておいで。
 そんな優しい言葉を、真は詩央にかけた。
「北條さん、僕がお風呂から出るまで、ここに居てくれますね。黙っていなくなったり、しませんよね?」
「大丈夫。ちゃんと待ってるから」
 嗚咽を漏らしながらバスルームに入っていく詩央を見送り、真は唇を嚙んだ。
「何とかしないと、な。あの野郎、少し調子に乗り過ぎだ」
 このままでは、いつまでもスタッフが奴の毒牙にかかり続ける。
 そして。

『そういえば、北條。お前、家政夫と住んでるんだって? 今度、会わせろよ』

 こんなことまで、ほざきやがった。
「杏だけは、奴に汚させるわけにはいかない」
 心の中で決意を固め、真は詩央がバスから上がるまで片づけを始めた。
「店長、私たちでやりますから!」
 入って来たスタッフが、声をかけてくれる。
「ありがとう。でも、私のけじめでもあるからね」
 黙々と、真は荒れ果てた部屋を片付けた。


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