恋してみよう愛してみよう

大波小波

文字の大きさ
上 下
99 / 163

3

しおりを挟む

 遠田にとって真は、手懐けた番犬だった。
 一匹狼の半グレ北條。
 しかしその名は彼にとって、すでに過去のこと。
 雇われ店長の器にお行儀よく収まっている真は、決して噛み付くことのない犬だ。
 今夜も、その調子でやって来た。
 この店のスタッフ全てを食い尽くす気分で、やって来たのだ。
 ところが。
「遠田さん、今夜はお引き取り願います。堅気さんのパーティーと決めてますので」
「何だと。この店のオーナーは、この俺だ。極道の店の客が極道で、なぜ悪い!?」
「遠田さんに遠慮して、他のお客様が入れません」
「北條。お前だって、立派な半グレだ。堅気相手の商売なんて、いっそもう辞めちまえ」
 いきなり噛み付いてきた真に、遠藤は少々面食らった。
 しかし、ここは極道として退くことはできない。
 若い者も見ている。
 遠田組の組長としての、面子もあるのだ。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

尾張名古屋の夢をみる

歴史・時代 / 完結 24h.ポイント:404pt お気に入り:6

COLLAR(s)

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:10

異世界は流されるままに

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:846pt お気に入り:354

玉櫛の夢が明ける頃

BL / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:12

【恋心】 side story

BL / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:28

処理中です...