103 / 163
7
しおりを挟む「危ないことはしないでください、って言ったのに」
「遠田ごときのパンチで倒れるほど、やわじゃないさ」
若い頃は、ずいぶんヤンチャをした真だ。
杏くらいの年齢には、族の頭になってケンカ三昧の日々を送っていた。
「だから、これくらいのケガ……、痛い!」
「唇を切ってるんです。おしゃべりしないでください」
「唇にまで、消毒液を染み込ませることないだろう……」
血止めをして消毒をし、絆創膏を張って真は実に痛々しい顔になってしまった。
「こんな顔じゃ、お客様の前に出られやしない」
「しばらく、ここで休ませてもらいましょう」
「ごめんな、杏。せっかくのクリスマスパーティーが」
「いいから、真さんは静かに掛けててください」
仮眠用のベッドに腰掛けた、真。
その下半身を、杏はまじまじと見ていた。
「何だ、どうかしたか?」
「あの、その。僕、頑張った真さんに御礼をしたいんです」
「御礼?」
「遠田さんが勝ってたら、僕あの人に苛められてましたよね。きっと」
僕を守ってくれた、真さん。
「大好きです……」
「お、おい!?」
杏は真のベルトを外し、トラウザーズのジッパーに手を掛け、ゆっくり下ろした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
41
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる