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しおりを挟む「ちょっと待った!」
「三村さん。杏をどこに連れて行くつもりなんです!?」
突然部屋に駆け込んできた詩央と真に、三村は目を円くした。
「詩央くん!? それに、北條さんも!」
真は三村を押しのけて、杏を抱きとめた。
「大丈夫か、杏」
「真さん……」
瞼はとろんとしているが、その目は情に眩んでいる。
「三村さん、あなたという人は。杏に、一体何をしたんです!?」
「い、いや。そんな、人聞きの悪い。杏くんが発情しかけてるようだから、介抱を」
どうだか、と詩央が三村をにらんだ。
「お料理か飲み物に、薬物を仕込んだんじゃ……」
「まさか。私は、潔白だよ!」
それでは、と真は杏を抱き上げた。
「杏は、私が連れて行きます。いいですね?」
「あ、ああ。もちろんだとも。北條さんが来てくれて、良かったよ」
三村を蹴り飛ばしてやりたい心地だったが、真はぐっと我慢した。
杏の具合の方が、先決だ。
ばたばたと料亭を後にする真の背中を、三村は唇をへの字に曲げて見送った。
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