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しおりを挟む隣ですやすやと寝息を立てる杏を見ながら、真は小さくつぶやいた。
「本当に。私はなぜ、この子をこんなに深く愛してしまったんだろう」
ボーイズ・バーの面接に、大きなパイナップルを持ってきた、型破りな子。
それで終わりにならなかったのは、杏があまりにも次から次へと新鮮な驚きと喜びを、もたらしてくれるからだろう。
だがしかし。
「今度は、私の番だ。驚かせてやるぞ、杏」
例の計画は、着々と進むだろう。
いや、進めて見せる。
「遠田から店も買ったし、三村さんとの話もついた」
後は、あの人に良い返事をもらって……。
「杏、喜ぶかな。喜んでくれるかな」
そんなことを囁きながら、真も瞼を閉じた。
呼吸が深くなったころ、杏が目を覚ました。
「真さん、良く寝てる」
ふふっ、と笑い、杏はその顔を眺めた。
「眠ってると、可愛い顔」
そんな真の寝顔を見ることが、大好きな杏だ。
「今夜は。ううん、今夜もいっぱい愛してくれた」
『私は、もう年だから』
『30代は、働き盛りですよ!?』
以前はこんなやり取りさえしていたのに、最近の真はタフだ。
「僕の方が、疲れちゃう」
笑顔で、杏は真の頬にキスをした。
その眠りを妨げないように、静かに優しくキスをした。
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