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1 恋人はサンタクロース
しおりを挟む「寒いと思ったら、雪だ」
寿士は肩をすくめ、急いでマンションへ入った。
時は流れ、季節は冬になっていた。
12月24日。
クリスマス・イヴである。
「瑠衣のやつ、クリスマスのディナーは任せて、なんて言ってたけど」
その言葉を信じて、寿士はデパ地下のデリカを何も買わずに帰って来た。
「ま、出来が悪くても、全部俺が平らげばいいことだし」
あの、バレンタインのガナッシュチョコケーキのように。
瑠衣の作ったものならば、どんなに不味くても食べられる自信はあった。
「ただいま」
「おかえり、寿士さん!」
子犬のように玄関まで駆けて来る瑠衣は、あいかわらずだ。
ただ一つ、変わった点と言えば。
「はい、お帰りなさいのキス」
ちゅっ、と瑠衣は寿士に短いキスをした。
もちろん、唇にだ。
「すっかり新婚気分だなぁ」
「寿士さんがお爺ちゃんになってもキスしてあげるから、安心して」
それは嬉しいね、と寿士は瑠衣に腕を引かれて室内へと入って行った。
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