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しおりを挟む恐るべき食卓を想像していた寿士だったが、その予想は大いに外れた。
「何、これ。買ってきたの?」
「ふふん。ちゃんと僕が作ったんだよ!」
「嘘だろ」
「嘘じゃない!」
ローストビーフ、ホタテのアヒージョ、サーモンのカルパッチョ。
サラダはリーフをちぎって円く整え、色とりどりのミニトマトで飾ってある。
まるで、可愛いクリスマスリースのようだ。
「マナー講座の他に何か身につけたいものがあれば、先生を付けてくれる、って寿士さんのお母さんが言ってくださってね」
それで料理の腕を、こっそり磨いていたのだ、と瑠衣は言う。
「驚いたな。まさか、ケーキも?」
「焼いたよ。冷蔵庫に入れてるから、デザートにしようね」
凄い進歩だ、と寿士は食卓に着いた。
「……美味い!」
「よかったぁ!」
二人で、温かな食事を楽しんだ。
身も心もぽかぽかになる、瑠衣の手料理だった。
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