23 / 149
4
しおりを挟む「……ダメッ!」
秀実は目を固く瞑り、再生をストップさせていた。
見られない。
これ以上、見られないよ。
「近藤さんが他の人とキスしてるところなんて、見られない……」
耳が熱い、頬が熱い、そして……。
「ぼ、僕、勃ってる?」
生きることで精いっぱいだった、毎日。
性欲など、すっかり鳴りを潜めていた。
キスなんて、忘れていた。
はぁはぁと息を荒げ、秀実はバスルームへ歩いた。
「ダメだ。近藤さん、近藤さん……!」
タイルの上にしゃがみ込んで、緩く勃ち上がった性器を手に取った。
夢中で手を動かすと、身体の中心がどんどん熱くなってゆく。
「あ、あぁ!」
頭の中に、知らない誰かとキスをする士郎が浮かんでくる。
そしてそれを、自分と置き換えて駆け上がった。
「……ッん! ふ、ぅん、んんぅ!」
びゅっ、と精が飛んだ。
流しっぱなしのシャワーの湯に運ばれ、秀実の体液は流されていく。
「はぁ、はぁ、ああぁ……」
精は流れたが、心の澱は流れない。
「僕、何てことを」
近藤さんで、抜くなんて!
あの人は、命の恩人なのに!
0
あなたにおすすめの小説
サクラメント300
朝顔
BL
アルファの佐倉は、過去に恋人を傷つけたことで、贖罪のための人生を送ってきた。
ある日不運な偶然が重なって、勤務先のビルのエレベーターに閉じ込められてしまった。
そこで一緒に閉じ込められたアルファの男と仲良くなる。
お互い複雑なバース性であったため、事故のように体を重ねてしまう。
ただの偶然の出会いのように見えたが、それぞれが赦しを求めて生きてきた。
贖罪の人生を選んだ佐倉が、その先に見つける幸せとは……
春らしく桜が思い浮かぶようなお話を目指して、赦しをテーマに書いてみました。
全28話 完結済み
⭐︎規格外フェロモンα×元攻めα
⭐︎主人公受けですが、攻め視点もあり。
※オメガバースの設定をお借りして、オリジナル要素を入れています。
〔完結済〕この腕が届く距離
麻路なぎ
BL
気まぐれに未来が見える代わりに眠くなってしまう能力を持つ俺、戸上朱里は、クラスメイトであるアルファ、夏目飛衣(とい)をその能力で助けたことから、少しずつ彼に囲い込まれてしまう。
アルファとかベータとか、俺には関係ないと思っていたのに。
なぜか夏目は、俺に執着を見せるようになる。
※ムーンライトノベルズなどに載せているものの改稿版になります。
ふたりがくっつくまで時間がかかります。
真柴さんちの野菜は美味い
晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
運命のつがいを探しながら、相手を渡り歩くような夜を繰り返している実業家、阿賀野(α)は野菜を食べない主義。
そんななか、彼が見つけた運命のつがいは人里離れた山奥でひっそりと野菜農家を営む真柴(Ω)だった。
オメガなのだからすぐにアルファに屈すると思うも、人嫌いで会話にすら応じてくれない真柴を落とすべく山奥に通い詰めるが、やがて阿賀野は彼が人嫌いになった理由を知るようになる。
※一話目のみ、攻めと女性の関係をにおわせる描写があります。
※2019年に前後編が完結した創作同人誌からの再録です。
被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。
かとらり。
BL
セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。
オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。
それは……重度の被虐趣味だ。
虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。
だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?
そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。
ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…
あまく、とろけて、開くオメガ
藍沢真啓/庚あき
BL
オメガの市居憂璃は同じオメガの実母に売られた。
北関東圏を支配するアルファの男、玉之浦椿に。
ガリガリに痩せた子は売れないと、男の眼で商品として価値があがるように教育される。
出会ってから三年。その流れゆく時間の中で、男の態度が商品と管理する関係とは違うと感じるようになる憂璃。
優しく、大切に扱ってくれるのは、自分が商品だから。
勘違いしてはいけないと律する憂璃の前に、自分を売った母が現れ──
はぴまり~薄幸オメガは溺愛アルファ~等のオメガバースシリーズと同じ世界線。
秘密のあるスパダリ若頭アルファ×不憫アルビノオメガの両片想いラブ。
オメガ転生。
桜
BL
残業三昧でヘトヘトになりながらの帰宅途中。乗り合わせたバスがまさかのトンネル内の火災事故に遭ってしまう。
そして…………
気がつけば、男児の姿に…
双子の妹は、まさかの悪役令嬢?それって一家破滅フラグだよね!
破滅回避の奮闘劇の幕開けだ!!
そうだ課長、俺と結婚してください
藤吉めぐみ
BL
運命の番を信じるアルファ×運命なんか信じないアルファスペックのオメガ
社内、社外問わずモテるアルファの匡史は、一見遊んでいるように見えるが、運命の番を信じ、その相手に自分を見つけて欲しいという理由から、目立つように心がけ、色々な出会いの場にも顔を出している。
そんな匡史の働く職場に課長として赴任してきた池上。彼もアルファで、匡史よりもスペックが高いとすぐに噂になり、自分の存在が霞むことに不安を覚える匡史。
気に入らないという理由で池上に近づくが、なぜか池上から香りを感じて惹かれてしまい――
運命の番を信じるアルファと運命なんか信じないアルファ嫌いのオメガのオフィスラブです。
転化オメガの優等生はアルファの頂点に組み敷かれる
さち喜
BL
優等生・聖利(ひじり)と校則破りの常習犯・來(らい)は、ともに優秀なアルファ。
ライバルとして競い合ってきたふたりは、高等部寮でルームメイトに。
來を意識してしまう聖利は、あるとき自分の身体に妙な変化を感じる。
すると、來が獣のように押し倒してきて……。
「その顔、煽ってんだろ? 俺を」
アルファからオメガに転化してしまった聖利と、過保護に執着する來の焦れ恋物語。
※性描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
※2021年に他サイトで連載した作品です。ラストに番外編を加筆予定です。
☆登場人物☆
楠見野聖利(くすみのひじり)
高校一年、175センチ、黒髪の美少年アルファ。
中等部から学年トップの秀才。
來に好意があるが、叶わぬ気持ちだと諦めている。
ある日、バース性が転化しアルファからオメガになってしまう。
海瀬來(かいせらい)
高校一年、185センチ、端正な顔立ちのアルファ。
聖利のライバルで、身体能力は聖利より上。
海瀬グループの御曹司。さらに成績優秀なため、多少素行が悪くても教師も生徒も手出しできない。
聖利のオメガ転化を前にして自身を抑えきれず……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる