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しおりを挟む「んぁ、ふぁ、ひぅ、うぅ……」
「なぁ。俺のこと悪い奴だ、って解ったのは、お前が悪魔だからか?」
ぐったりと喘ぐ七瀬に、丈士は話しかけた。
「うぅ……」
「答えろよ」
しゅっ、と丈士が七瀬の尾をひとつ扱くと、彼は飛び上がった。
「ひゃあぁん!」
こくこくと、七瀬は首を縦に振った。
「丈士さんから、悪事の匂いが、したから……」
「どんな匂い?」
「腐る直前まで熟れた、果物の匂い」
なるほどね。
丈士は、深く納得した。
今俺がやってるのは、悪事の片棒を担いでるだけ。
まだ、前線にデビューして、悪いことをやってるわけじゃないから。
本当の悪党になれば、腐った匂いを放つに違いない。
「おい、悪魔」
「むふぅ、うんん……」
七瀬は、眠ってしまったらしい。
これ幸いに、丈士は身支度を整え部屋を出た。
「変な奴だったけど、面白かったな」
口笛を吹きながら、家路を歩いた。
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