俺の小悪魔は悪魔 ~反社見習い×悪魔見習い 七瀬を救うためなら俺の存在が消えてしまっても構わない~

 相良 丈士(さがら じょうじ)は、大学生だ。
 学生ではあるが、その手は悪に染まっている。
 丈士は暴力団員・石川の下で、脱法ドラッグの栽培をしているのだ。
 イケメンだが、目立たないよう、悪党に見えないよう、気を付けている。
 アップパンクの黒髪ショートヘアに、視力はいいのに伊達メガネ。
 そんな風に、真面目で普通のふりをする。
 しかし性格はクールで、つかみどころがない男。
 それが、丈士だ。
 
 そんな彼が、行きつけのバーで飲んでいると、藤丘 七瀬(ふじおか ななせ)と名乗る美少年に出会う。
「お兄さん、悪い人でしょ」
 一瞬にして丈士を悪党と見抜いた七瀬は、一体何者なのか。
 彼に誘われるまま、丈士はホテルへと向かった。
 七瀬は人懐っこい上に、愛らしく美しい。
 ただ丈士は、それだけで誘いに乗ったわけではなかった。
(今度は俺が、お前の正体を見破ってやるからな)
 そんな挑戦的な気持ちが、湧いていた。

 何の手掛かりもつかめないまま、丈士は七瀬とベッドを共にしたが、違和感を覚えた。
 気付くと彼には、長い尾が生えていたのだ。
 油断した七瀬が、文字通り尻尾を出してしまったわけだが、彼は慌てなかった。
 悪魔見習いである自分は、丈士に悪の匂いを感じて近づいたこと。
 一人前の悪魔になるには、悪人のタネを体内に注いでもらうこと。
 そんな事情を述べ、丈士に抱いて欲しいとねだるのだ。
 変な奴だけど、面白い。
 そう感じた丈士は、七瀬とワンナイトを楽しんだ。

 ……つもりだったが、マンションへ帰ると七瀬がいる。
 後をつけて来たのだ。
 そして、一緒にいたいと迫り始めた。
 承知しないとドラッグの件を、警察にバラす。
 そんな風に七瀬に脅され押されて、丈士は彼との同居をしぶしぶ始めた。
 この頃の丈士は、自分の悪事が周囲を、自らを、そして七瀬を苦しめるとは気づいていなかったのだ……。
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