44 / 67
5
しおりを挟む石川の待つ高級クラブへ、コットンのパーカーを着た丈士が足を踏み入れる。
常人では許されない行為なのだが、クラブのスタッフはすでに丈士の顔を覚えていた。
「どうぞ。石川様が、お待ちです」
うやうやしく、丈士は奥のテーブルへと通された。
ソファにふんぞり返る石川は、口角を上げてニヤリと笑った。
「よぅ、色男」
「何の冗談ですか」
「昨夜は七瀬を放って、自宅で浮気したそうじゃないか」
「相手はただのセフレです。それに、七瀬は俺の恋人じゃありません」
だから僕ちゃんは自由、ってか。
そう混ぜっ返して、石川はグラスを丈士に寄こした。
「なら、七瀬を俺にくれ。あのガキ、とんだ上玉だ」
「それは」
とまどう丈士を、石川は喉で笑った。
「惜しくなったか? 惚れてるな、やっぱり」
「石川さん。今夜の用件は、何ですか」
少しムッとして、丈士は石川にそう切り込んだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる