上 下
48 / 67

9

しおりを挟む

「ん……?」
 深夜、七瀬は目を覚ました。
 体を弄られる気配を、感じる。
「ちょ、何? 丈士さん、何?」
「七瀬。七瀬……ッ」
 丈士が、七瀬の小さな乳首を夢中で吸っている。
「丈士さん、ヤるならそう言って。ひぁうッ!」
 ずぐりと、何の前振りも無く丈士は七瀬を貫いてきた。
「う、うぅ、んッ。は、あ、あぁ、んんッ!」
 ぎちぎちと奥まで挿れられ、七瀬は背を反らせた。

「はぁ、はぁ、七瀬ッ!」
「じょ、丈士さん?」
 まるで憑かれたように、腰を穿ってくる丈士だ。
「ん、あぁう。ふっ、んぅ、うぅ!」
「七瀬、俺は……。俺は」
「丈士さん、何かあったんだね? そうだね?」
「……ッく!」
「あ、んんぁ! こ、こんなに……ッ!」

 こんなに、早く。
 こんなに、いっぱい。
(あ、でも……)
 今夜の丈士さんのタネからは、悪の味があんまりしない。
(石川さんに会ったのに? 悪いお金、いっぱい貰ったのに?)
 七瀬の体内に精を吐いた丈士は、気を失うようにくずおれた。
 七瀬は、ただ彼の背中に手を回し、なだめるように撫でていた。

しおりを挟む

処理中です...