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しおりを挟むかちゃん、と七瀬の手からティーカップが落ちた。
「あ、れ? 何だろ。体が、痺れる」
それに、心臓がばくばくする。
「う……、気持ち悪い。吐きそう……」
バスルームへ行こうとして、七瀬は椅子から転がり落ちた。
起きて歩こうとしたが、体の自由が完全に奪われている。
「うぅ……丈士さん……」
すると目の前に、彼の姿が現れた。
「丈士さん?」
『どうしたんだ、七瀬。俺は、ここにいるよ』
「三嶋さんのこと、捨てたって。ホント? 僕のことも、捨てちゃうの?」
『バカ言うなよ。七瀬を捨てたりするもんか』
「嬉しい……。丈士さん、大好き……」
『俺も七瀬が、大好きだよ』
愛してる、七瀬。
そんなことを言う丈士の幻覚に、七瀬はもつれる舌で喋り続けた。
彼に抱きしめてもらっているつもりで、カーペットにきつく爪を立てていた。
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