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「よし、ヤヨイはもうここには居ないらしいし、俺もブラットさんの元に向かうか…」

男性のお陰でヤヨイがフィオレさんを見つけ、ブラットさんの元に向かった事が分かった俺は早速ヤヨイを迎えに行く事にする。

「よし、ヤヨイの居場所は分かったしもう分身は消しても良いか」

俺はブラットさんの居た酒場に向かった分身以外の分身を解除する。

すると分身が行動していた時の記憶が脳内で再生される。

成る程、分身たちは部屋の高い所からヤヨイが居るかどうかを確認していたらしい。

分身8体分の記憶が俺の中に統合される。

「多分もう分身はヤヨイと合流していると思うし、分身に向かって行けばヤヨイにたどり着くだろう」

分身をスキルで作ってからまぁまぁ時間は経っている。

確実に分身はヤヨイと合流している筈だ。

だから、分身の場所に向かえば、それはすなわちヤヨイのいる場所という事になる。

と言うわけで俺は分身のいる場所に向かう事にする。

分身の場所は感覚でわかるから特に迷う心配は無い。

先ほどきた道を戻って避難所の入り口に向かう。

「おい!なんで外に出れねぇんだよ!」

避難所の入り口に着くと、門の辺りから大きな声が聞こえてきた。

「なにかトラブルか?」

俺は声の聞こえた方に向かうと門の前あたりに小さい人だかりが出来ていた。

近くに行くとどうやら門番と市民の少年が揉めているらしい。

「何かあったんですか?」

俺は何故少年と門番が揉めているのかを近くに居た人に聞く。

「ああ、なんだかあの子が家に大事な物を忘れてきたとかで、家に帰りたいから門を開けてくれって門番の人に頼んだんだ」

ふむふむ、だいたい予想はついたぞ。

少年が忘れ物をとりに家に帰してくれと行っているが、門番はそれを拒否していて、それが原因で揉めているのだろう。

まぁ少年の忘れ物をとりにいきたいというのも分かるだろうが、門番は仕事だからな、そうやすやすと門を開けてしまえば次々と門を開けてくれって言う人が増える事を考えると少年を家に返す訳にはかないのだろう。

まぁ門の前で揉めている事情は分かったが、特段首を突っ込む様なトラブルでも無いし、放っておいて良いだろう。

まぁ少年の忘れ物がどれだけ大事かは分からないが、門は開けてくれないだろう。

まぁだったらバレない様に通らせてもらうけどな。

あの様子をみたら正攻法で門を開けてくれないのは分かる。

だったら正攻法じゃなく門を通れば良い。

俺はまた人のいない場所に移動して、光魔法と気配遮断を発動させ、門の前に移動した。

「だから、どんなに頼まれても門を開ける事は出来ない」

さて、じゃあ行きますか。

俺は軽くその場でジャンプをして門を飛び越える。

門を開けてもらわなくても飛び越えてしまえば関係ない。

さらばだ少年、俺は君のお陰で無事に避難所から脱出する事が出来たよ。

俺は心の中で少年に対しそう言う。

ヤヨイの元に向かうと言っても避難所から出る方法を考えていなかったからな。

へたしたら俺があの少年の様に門番に対して門を開けてくれと言っていたかも知れないからな。

門を無事に飛び越えた俺は分身のいる場所に向かって進み始める。

途中、人のいない場所を探して光魔法と気配遮断を消した俺はヤヨイの元を目指して堂々と街の中を歩いていた。

分身の反応は朝にブラットさんと会った酒場に有るからまだヤヨイたちはあの酒場に居るみたいだな。

ヤヨイたちが移動する気配は無いし、今のうちに合流してしまおう。

俺は近くの家の屋根に飛び乗り、屋根の上を走る。

ここなら人とぶつかる心配がないからスピードを出して進むことが出来るからな。

屋根の上を走ったからか俺は直ぐにブラットさん達の居る酒場に着いた。

「この中に皆いるんだよな?」

俺は最終確認として分身がこの酒場にいるのを確認してから酒場に入っていく。
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