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「それで…ブラットさんは…」
どうしたんですか?その言葉を俺が言う前にブラットさんは続きを話した。
「親父の言葉を聞いてショックだったよ…親父が俺の夢を聞いてそんな反応をするなんて想像もしてなかったからな」
当時のブラットさんは母親は応援してくれた、だから父親も応援してくれると思っていたのだろう。
「親父が俺に家業を継がせようとしていたのは知っていた、だけど最後には認めてくれると思ってたんだ。
なのに親父は絶対にお前に冒険者は出来ない、諦めろって言ってきて、俺は家を飛び出した」
「無我夢中に走って気がついたら何時も鍛錬をしていた場所に着いていた…俺はそこで考えたよ、親父がなんで俺に冒険者を諦めろって言ってきたのかって…」
「その時の俺はこう考えたのさ、親父は公国一の酒職人、何十年もやってきたこの家業を潰さない様に俺に冒険者になる事を諦めさせようとしたってな」
まぁブラットさんの父親は小さい頃に木剣を捨てたりとマイナスイメージがあるからそう考えてしまうのも仕方ない気もする。
「そして俺はとある考えに至ったんだ」
「その考えって?」
多分この考えと言うのがブラットさんが父親の事を自分を家業を継ぐための道具としてしか見ていないと思わせたのだろう。
「親父はこの国一番の酒職人だ、そして親父は自分の人生を掛けて酒職人をしていた」
「酒造りに集中しすぎて飯を食わずに徹夜する事も有ったぐらいに親父は酒造りを第一に考えていた。
だからこそ俺はこう思っちまったのさ、親父は俺の事を本当に愛していないんじゃ無いかってな」
成る程…酒造りを第一に行動していたブラットさんの父親の行動がブラットさんに自分を愛していないんじゃないかという疑問を植え付けてしまった訳か…
「確かに親父が俺を褒めることは少なかった、だけどたまに俺の頭を撫でて良くやったな、って褒めてくれた時には確かに愛情を感じてたんだ…だけど思い返してみれば親父が褒めてくれたのは親父の手伝いをしていた時だけだった」
「その事を思い出した時思ったんだ、親父が褒めてくれたのは俺自身じゃなくて自分の酒造りを継ぐ後継者だったんだって」
父親から感じていたと思っていた愛情は本当の自分には向けられて居なくて、父親の家業を継ぐ息子だけに向けられていたと、ブラットさんはそう考えてしまったって事か。
体験した訳では無いからどれ位辛いかはわからないが、当時のブラットさんはさぞ辛かった事だろう。
「俺は、俺の考えを信じたくは無かった…だから俺は自分に親父は俺の事を愛してくれていたって信じこませようとした…でもいくら考えてもその考えが頭をよぎったよ…」
ひどいな…
ブラットさんの話を聞いて俺はそう思った。
父親として息子を危険な仕事に就かせたくなくて厳しく諦める様に言った。
ただそれだけの事なのに勘違いによってブラットさんはこの様な考えをしてしまった。
親が子を想う愛情が自分の子供を傷つけてしまった、ブラットさんも、ブラットさんのお父さんも不幸にしてしまった。
ブラットさんの父親は冒険者になる事を諦めさせることも出来ずブラットさんに嫌われた。
ブラットさんは親の愛情が偽物だったと感じショックを受け、今でもそれを引きずっている。
確かにブラットさんのお父さんは悪いだろう。
日々の家族に対する対応もそうだが、自分の気持ちをブラットさんに素直に伝えずに回りくどい方法をとってブラットさんを傷つけてしまったのだから。
だが、ブラットさんのお父さんにはブラットさんに対する愛情はあり、それはブラットさんには伝わってはいなかった…それを考えるとブラットさんのお父さんも可哀想に思えてくる。
「そして、俺はその日の翌日に冒険者ギルドに行って、冒険者になったんだ」
「え?」
俺はブラットさんが言った言葉を聞いてそう言ってしまった
どうしたんですか?その言葉を俺が言う前にブラットさんは続きを話した。
「親父の言葉を聞いてショックだったよ…親父が俺の夢を聞いてそんな反応をするなんて想像もしてなかったからな」
当時のブラットさんは母親は応援してくれた、だから父親も応援してくれると思っていたのだろう。
「親父が俺に家業を継がせようとしていたのは知っていた、だけど最後には認めてくれると思ってたんだ。
なのに親父は絶対にお前に冒険者は出来ない、諦めろって言ってきて、俺は家を飛び出した」
「無我夢中に走って気がついたら何時も鍛錬をしていた場所に着いていた…俺はそこで考えたよ、親父がなんで俺に冒険者を諦めろって言ってきたのかって…」
「その時の俺はこう考えたのさ、親父は公国一の酒職人、何十年もやってきたこの家業を潰さない様に俺に冒険者になる事を諦めさせようとしたってな」
まぁブラットさんの父親は小さい頃に木剣を捨てたりとマイナスイメージがあるからそう考えてしまうのも仕方ない気もする。
「そして俺はとある考えに至ったんだ」
「その考えって?」
多分この考えと言うのがブラットさんが父親の事を自分を家業を継ぐための道具としてしか見ていないと思わせたのだろう。
「親父はこの国一番の酒職人だ、そして親父は自分の人生を掛けて酒職人をしていた」
「酒造りに集中しすぎて飯を食わずに徹夜する事も有ったぐらいに親父は酒造りを第一に考えていた。
だからこそ俺はこう思っちまったのさ、親父は俺の事を本当に愛していないんじゃ無いかってな」
成る程…酒造りを第一に行動していたブラットさんの父親の行動がブラットさんに自分を愛していないんじゃないかという疑問を植え付けてしまった訳か…
「確かに親父が俺を褒めることは少なかった、だけどたまに俺の頭を撫でて良くやったな、って褒めてくれた時には確かに愛情を感じてたんだ…だけど思い返してみれば親父が褒めてくれたのは親父の手伝いをしていた時だけだった」
「その事を思い出した時思ったんだ、親父が褒めてくれたのは俺自身じゃなくて自分の酒造りを継ぐ後継者だったんだって」
父親から感じていたと思っていた愛情は本当の自分には向けられて居なくて、父親の家業を継ぐ息子だけに向けられていたと、ブラットさんはそう考えてしまったって事か。
体験した訳では無いからどれ位辛いかはわからないが、当時のブラットさんはさぞ辛かった事だろう。
「俺は、俺の考えを信じたくは無かった…だから俺は自分に親父は俺の事を愛してくれていたって信じこませようとした…でもいくら考えてもその考えが頭をよぎったよ…」
ひどいな…
ブラットさんの話を聞いて俺はそう思った。
父親として息子を危険な仕事に就かせたくなくて厳しく諦める様に言った。
ただそれだけの事なのに勘違いによってブラットさんはこの様な考えをしてしまった。
親が子を想う愛情が自分の子供を傷つけてしまった、ブラットさんも、ブラットさんのお父さんも不幸にしてしまった。
ブラットさんの父親は冒険者になる事を諦めさせることも出来ずブラットさんに嫌われた。
ブラットさんは親の愛情が偽物だったと感じショックを受け、今でもそれを引きずっている。
確かにブラットさんのお父さんは悪いだろう。
日々の家族に対する対応もそうだが、自分の気持ちをブラットさんに素直に伝えずに回りくどい方法をとってブラットさんを傷つけてしまったのだから。
だが、ブラットさんのお父さんにはブラットさんに対する愛情はあり、それはブラットさんには伝わってはいなかった…それを考えるとブラットさんのお父さんも可哀想に思えてくる。
「そして、俺はその日の翌日に冒険者ギルドに行って、冒険者になったんだ」
「え?」
俺はブラットさんが言った言葉を聞いてそう言ってしまった
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