死んだと思ったら異世界に

トワイライト

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「ちょっ、ちょっと待ってください!」

俺は咄嗟にブラットさんにそう言ってしまう。

「あん、なんだ?」

そう言った俺に対してブラットさんは先程までのシリアスな雰囲気など嘘だったかの様に軽い雰囲気を醸し出している。

「その後は、その後はどうしたんですか!?」

あの展開でいきなり次の日冒険者になったって言われても困惑しかしない。

「あの後?あの後なら家を飛び出してきて帰るところがねぇから俺が訓練していた場所で寝たぞ」

ブラットさんはそう軽く言うがさっきの話から何故そうなったのかが分からない。

さっきまでは親に自分の夢を否定されてショックを受けたっていう話だったのにいきなり冒険者になったって話が飛んでるし、なんでいきなり気持ち切り替わって冒険者になったのか分からない。

「いえブラットさん、そう言う事じゃない無いんですよ」

「ん?じゃあどう言う事だ?」

ブラットさんに俺がそう言う事じゃ無いと伝えるとブラットさんは何を言ってるんだ?といった感じに聞いてきた。

「いえ、さっきまでの話では父親に冒険者になる事を諦めろって言われたりして父親が自分を愛して無いんじゃ無いかって考えに至ったんですよね?」

「ああ、そうだが?」

ブラットさんはあっけらかんとそう言い放つ。

どうやら今のブラットさんはそこまでその事を気負っている様子はなさそうだ。

「だったら次はその時の悩みをどう解決したかって話じゃ無いんですか?いきなり次の日に冒険者になったって言われても聞いているこっちが混乱しますよ」

「あぁ、そう言うことか」

俺がそう説明するとブラットさんは納得したようで俺にこう聞いてきた。

「要するに、ユウヤはそれから冒険者になるまでの話を聞きたいって事だな」

「まぁそういうことです」

ブラットさんが言ったことは大体合っているので俺は肯定する。

ブラットさんからしたら昔の傷を話すような物だからあまり話したく無いのかも知れないがいきなり話が飛ぶと聞いているこっちが分からなくなってしまう。

「確かあの時は…そうそう、俺は親父が俺を愛して無いかもって考えた訳だ」

「はい」

「その後小一時間程その事で悩んだ訳だが、気分転換に鍛錬をする事にしたんだ」

「そうなんですか?」

ブラットさんの話に相槌を打つ。

多分ブラットさんは無意識的に父親が自分のことを愛していないっていう考えを浮かばせないように鍛錬を始めたんな無いか?

体を動かしたり、物事に集中している時は嫌な事や余計なことを考えなくて済むからな。

「そんで俺はいつも通りに鍛錬を開始したんだ…そん時はあんまり考えたく無かったからな」

やっぱり親に夢を否定されるというのはブラットさんの心に少なからず傷を付けたのだろう。

「まぁそんな訳で俺は鍛錬をして体を動かし続けた訳だが…」

ブラットさんはそう言うと黙ってしまった。

何か嫌なことが有ったのだろうか?

俺は何故ブラットさんが続きを離さないのかを考えながらブラットさんを見ている。

「これが不思議なことによ、鍛錬を終えた時には悩みなんて吹っ飛んじまったんだ、さっきまであれだけ悩んでたのに鍛錬をしたらそこまで辛いって感じなくなってた」

そうか…そう言うことか

俺はブラットさんの話を聞いてとある事を思いだした。

俺が思い出した事は運動をする事で心が健康になる、と言うものだ。

コレを簡単に説明すると運動する事で交感神経が活発化する事で物事を前向きに捉えやすくなったり、気持ちが高まりやすくなるという物だ。

ブラットさんは鍛錬をした事で先程まで感じていた心の痛みが和らいだのだろう。

「それで鍛錬をして気分が落ち着いたんだが、今度は親父に対する怒りが湧いてきた」

「俺が冒険者になるためにしてきた努力を知らない癖に、俺が冒険者になれないなんて決めつけるな!って感じにな」
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