死んだと思ったら異世界に

トワイライト

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「…よし、誰も見てないよな?」

裏路地に入り人目のなさそうな場所を探していた俺は周りを確認しながらそう呟く。

「周りに人の気配は無いし大丈夫か」

集中して周りに人の気配が無いかを確認するが人の気配はしなかった。

「うし、これで大丈夫だ、早く正門を通ってしまおう」

俺は光魔法と気配遮断を発動させた俺は先ほどまで通った道を戻って大通りに出る。

そして正門の前に並んで出国審査をしている人達の横をすり抜ける様にして歩いて行く。

「無事に外に出られたな、じゃあフェルの所に向かうか」

無事に誰にも気づかれることも無く正門から王都の外に出た俺はそのままフェルの所に向かう事にする。

「確か正門は…南の方角だったよな」

確か王国の正門は南側に有った筈だ、だとすればフェルが居るのは北側だったな。

「じゃあ後ろの方向にフェルが居るってことだな」

俺はフェルの居る極寒地帯の方向を確認して南側、正門のある方に向く。

「じゃあ行きますか」

俺は種族スキルである飛行を発動させてある程度上空に上っていく。

「う~ん、あっちの方に極寒地帯があるのか?」

当然だが、ここから極寒地帯のある方向を見ても極寒地帯とやらは見えてこない。

俺のステータス的に集中すれば数十キロ以上は軽く見渡せる筈なのだが、それでも極寒地帯らしきものは見えてこなかった。

「まぁ当たり前か、そんな近くにある訳もないし」

そもそもそんな近くにあるんだったらヤヨイもずっと進んだところなんて言う訳も無いし、王国ももっと寒い筈だからな。

「そんなこと考えてないでフェルの所に行こう」

馬鹿なことを考えている間にも時間は1秒ずつ経っているのだ、急いでフェルのいる極寒地帯に向かわなければ。

俺は北に向かって空を飛ぶ。

景色がどんどん流れていく。

「う~ん、暇だなぁ」

俺は今ある程度のスピードをだして空を飛んでいるが、飛んでいる間景色を見る事位しかやる事が無いから非常に退屈だ。

「だからと言ってスピードを出し過ぎれば周りに被害が出るし…」

携帯が使えるか確かめる為に飛んだときのように、ある程度以上の速度を超えて空を飛ぶと俺から出る風圧で周囲に飛んでいる鳥とかを吹き飛ばしてしまう可能性がある。

あれだけのスピードを出せたのも屋敷のある異空間には空を飛ぶ生き物が殆ど居ないからだし、ここではできない。

食べる為に鳥を狩るのならまだしも、何も無いのに鳥や生き物に迷惑を掛けるわけにはいかないからな。

周りへの被害を考えるとそこまでスピードを出して空を飛ぶ事が出来ない、かと言って周りに被害が出ない速度で飛んでいると暇すぎる。

漫画やゲームなんてこの世界には無いし、そもそもあったとしてもこのスピードで進んでいたらプレイ出来ないよな。

「ん?アレは…」

空を飛んでいる間、暇で何かを考える事で暇を潰していた俺だが、前方に少し大きめの飛行物体が見えてきた。

「ワイバーンか?」

前方から見えてきたのは飛竜とと呼ばれるワイバーンだ。

「この世界では初めて見たな」

ワイバーンを見るのはこの世界に来てからは初だ。

ワイバーンは俺の姿を確認するとガァァァ!と威嚇をする様に吼える。

「なんともまぁ血気盛んだな」

目の前を飛んでいるだけで威嚇するとは…気性が荒いのだろうか?

このまま飛んでいったら攻撃してきそうな感じだ。

「まぁ攻撃してきたら倒すだけだけどな」

はっきり言って、ワイバーンに攻撃された所で俺にダメージは一切無い。

ユグドラシルオンラインでワイバーンは初心者から中級者位のプレイヤーが狩るようなモンスターだからある程度装備を整えたプレイヤーならそこまで苦労することもなく倒せるモンスターだ。

ユグドラシルオンラインの一部プレイヤーの間では飛竜って名前なのにそこまで強く無いからと空飛ぶトカゲって言われるようなモンスターだからな。

そう考えた俺は進路を変えることもなく真っ直ぐ進む事に決めた。
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