死んだと思ったら異世界に

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「おい…起きろ…おい」

俺が眠っていた所、何処からともなく起きろ、という声とともに何者かが俺のからだを揺さぶり始めた。

「…ん？」

体が揺らされている感覚で少しずつ起き始めた俺は取り上えずなぜこんな事になっているのかを考えた。

確か俺は…そうだ、気絶した獣人の女性に布団をかけてから結界の壁に背を向けて仮眠を取ろうとしていた筈…

まだ意識が完全に覚醒していない中、自分が軽く睡眠を取ろうと眠っていた事を思い出した。

「起きろ！」

そして寝ぼけながらもそんな事を考えていると耳元で一際大きな声が聞こえた。

「うるさっ！」

俺はあまりの声の大きさに咄嗟に耳を塞ぐ。

そして大きな声が聞こえたおかげで完全に意識が覚醒した俺は軽くノビをする…と目の前には先ほど布団を被せた筈の獣人の女性がしゃがんでこちらを見ていた。

「あぁ、起きたのか」

俺は目の前にいる女性を見てそう呟いた。

うん、だんだんと状況が把握できてきたぞ。

多分だが、今のこの状況は気絶から目を覚ました女性が寝ている俺の事を見つけ、そして寝ていた俺のことを起こそうとしたというこのなのだろう。

「ああ…ってそうじゃない！私はなんでこんな事になっているんだ！」

そして俺の起きたのか、という呟きを聞いた女性は一瞬反応したかと思うとすぐに結界を指差してそう言った。

うん、完璧に俺がやったと思ってるな…まあ俺がやったんだけど

「おいおい、寝起きだっていうのに随分と元気だな」

俺は女性に軽くそう話しかける。

この女性の反応から起きたのは多分俺が起きる少し前くらいだと思うんだが…随分と元気だな。

まぁそれも大半は戸惑いの感情から何だろうけど…

確かに気絶して、目が覚めたら透明な壁に四方を囲まれていたなんで状況になったら戸惑ってしまうのも仕方ないだろう。

それに自分の主人を襲撃しに来たと思っている奴が目の前で寝てるんだからそっちの意味でも驚いたんじゃないか？

「元気だな、じゃない！この状況はどういう事か説明しなさい！」

女性はまくしたてるように俺になんでこんな事になっているのかを聞いてくる。

「まぁまぁ落ち着けよ、騒いだってこの状況が変わる訳じゃない」

俺は女性にそう言うと女性は少し静かになった。

そして女性の様子を見た俺はアイテムボックスからとあるアイテムを取り出す。

「一先ず喉乾いてるだろ？コレでも飲めよ」

俺はアイテムボックスから取り出したコップに水魔法で作った冷えた水を入れて女性に手渡す。

「す、すまない」

女性はコップを受け取ると小さい声でお礼を言った。

そして女性は警戒した様に少しの間渡された水をじっと見つめている。

毒でも入っていると思っているのか？

「安心しろ、別に毒なんて入ってないぞ」

俺は女性を安心させる為に自分のコップに水を入れ、そして一気にコップの中の水を飲む。

これで安心して飲んでくれれば良いんだが…

そう思いながら女性を見ていると、女性は何かを決意した様に一気にグイッとコップを傾けて水を飲んだ。

「それで、この状況を説明しろだっけ？」

女性が水を飲んだのを確認した俺は最初にしてきた女性の質問に答えていく事にした。

「そうだ、こんな事が出来るのは貴方位だろう」

どうやら女性も少しは落ち着いた様で、叫ぶのではなく静かに話しかけてくる。

「確かにこの結界を張ったのは俺だ、勿論この結界を解くこともできる」

「なら！」

俺が結界を解く事ができると言った瞬間、女性の顔は明るくなった。

「だけど、俺がこのままあんたを返すと思ってんの？」

俺は女性の言葉に被せる様にそう言い放つ。

「なっ！？」

女性は驚いている様だが、俺の目的はフェルの元に案内してもらうってフェルに会いに行く事だ。

フェルの元に案内すると確約して貰うまではこの結界を解除するわけにはいかない。

「さぁ、取引をしようか」