死んだと思ったら異世界に

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「わざわざ知り合いに会いに来て危害を加える訳がないだろう？」

俺は女性にフェルと俺が元々知り合いだったという事を話す。

「…確かに知り合いに危害を加える者は居ないとは言い切れませんがあったとしても極少数でしょう、ですが貴方が主人と知り合いであるという証拠が無いではないですか？」

どうやら女性は俺とフェルが知り合いだという証拠を見せろって言いたい訳だな。

まぁこれは簡単に証明することが出来る。

アイテムボックスの中にはフェルから貰った素材やらなんやらが大量に入っているからな、その中の１つでも見せてやれば俺とフェルが知り合いだったという証拠になる。

「…ほら、これが俺がフェルと知り合いだったという証拠だ」

俺はアイテムボックスの中からフェンリルの牙を取り出し、女性に見せる。

コレはユグドラシルオンラインをプレイしている最中にフェルの牙が生え変わった物を俺が貰った物だ。

「大事なものだから気をつけてみてくれよ」

フェルの成長の証である生え変わりの牙だからな、間違っても壊さないように女性に注意する。

「分かっている…これは！？」

女性は俺の注意を聞いて牙が大事なものだと理解したのか慎重に受け取り、そして驚いたように声を上げた。

「一応誤解が無いように説明するが、それはフェルから貰ったものだからな、勘違いするなよ」

俺は万が一にもフェルから奪い取った物だと思われないように女性に事前にフェルに貰ったものだと説明する。

「…確かにこの牙から主人の魔力を感じる…それにこの牙の大きさ、明らかに主人がまだ小さかった頃のもの…」

そう呟くと女性は手に持ったフェルの牙を俺に返す。

「…貴方と主人が知り合いだという事は分かりました、そしてこのように牙を渡すような関係だという事も…これまでの非礼、誠に申し訳ございませんでした」

そして女性は俺の方を向くと謝ってきた。

どうやらフェルの牙を見て俺がフェルの知り合いだという事に納得してくれたみたいだ。

これでこの女性はフェルのところに俺を案内してくれるだろう…

そう安心すると女性はいきなり衝撃の一言を言った。

「この非礼、腹を切ってお詫び致します」

女性はその一言を俺に言うと何処からか取り出した小刀を自分の腹に…

「っ！？おい！」

俺は少しの間女性が何を言っているのか理解できなかったが、女性が自分に小刀を刺そうとしたのを見て慌てて止めるために動きだした。

「…ふぅ、危なかった…」

そして俺は女性の行動をぎりぎり防ぐ事が出来た。

本当に危なかった…俺が女性の行動に後1秒でも気づくのが遅かったら女性の持っていた小刀は女性のお腹に刺さっていた事だろう。

俺が女性の行動に気づいた時、小刀は女性に刺さる直前だった。

咄嗟に小刀を破壊する事で女性に刺さるのを防ぐことに成功したと言うわけだ。

俺は女性が切腹をするのを直前で阻止できた事に安心して女性の方を見ると女性は状況が理解できていないのか呆然と真っ二つにへし折られた小刀を見ていた。

「あ～、その…小刀壊して悪かったな…」

もしかしてあの小刀は物凄く大事なものだったんじゃないかと思った俺は女性に小刀を壊した事を謝罪する。

「い、いえ、この小刀は私の魔力で作った物なので謝らなくても大丈夫です…」

「そうだったのか、なら良かったよ」

俺は小刀が女性の大事なものでは無かった事に一瞬安心する…が、まだ女性の様子がさっきと違う事に気がついた。

「だ、大丈夫か？何処か怪我でもしたのか？」

そしてもしかして俺が小刀をへし折った時に破片でも女性に刺さって怪我をしてしまったのかと思った俺は女性を心配する。

「許してくれるのですか？…」

すると女性は俺が聞こえないくらい小さい声で何かをつぶやいた。

「ん？なんて言ったか？」

女性が何を言っていたのか聞き取れなかった俺は女性に何を言ったのかを聞く事にした。

「私を…許してくれるのですか？」

俺の質問に答えたのかそうで無いのかは分からないが、女性が小さい声でそう話したのを今回は聞き取ることができた。