死んだと思ったら異世界に

トワイライト

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気配を消してテントに近づくと中から話し声が聞こえてきた。

転生者が居るテントだ、中で何か重要な話をしているのかも知れない。

そう考えた俺は見張りの兵士にバレない様に気をつけながらテントに穴を開け、中を覗く。

開けた穴から中を覗くとテントの中には2人の男性がテーブルを挟んで座って話しをしている様だ。

「いや~ハヤト殿のお力は素晴らしいですな、流石は我らが神が使えし勇者様です」

1人は装飾された祭服を着た少し太っている男性、もう1人は見栄えの良い鎧を着た青年だ。

鎧を着ているのが転生者、そして祭服を着ている男性が今回の教国の軍を率いている将軍的な立場の者と考えて間違い無いだろう。

このテントは他のテントよりも豪華な作りをしていて公国から一番遠い場所に設置されている…完全に将軍とか偉い立場の者に用意されたテントだ。

俺がそんな事を考えているとハヤトと呼ばれた青年が口を開く。

「そんな事は無いですよ、僕の力は魔物が居なければ意味が有りません、それよりもあんなに強い魔物を用意する事ができた司祭様の方が凄いと思います」

ハヤトは司祭に対して謙遜しつつ、司祭を褒める。

「そうですかな、まぁ私の力を持ってすればあの様な魔物を用意する事は容易いものですぞ」

ハヤトの言葉を聞いた司祭はそう言うと高笑いをしながらテーブルに置いてあったワインを飲み始めた。

おいおい、これから戦争をするって言うのに酒を飲むなよ…ん?

俺が戦争前なのに酒を飲み始めた司祭に呆れていると司祭はいきなりワイングラスを床に落とし、眠ってしまった。

いきなり眠ったって事は睡眠薬か…

あのワインの中に睡眠薬が入っていたのだろう、それを知らずにワインを飲んだ司祭は睡眠薬の効果で眠らされたって所か。

犯人は先ほどまで司祭と談笑をしていたハヤトだろう。

ハヤトは司祭がいきなり眠ったのに驚いた様子も無く、いたって冷静に司祭の様子を確認している。

驚いてないという事はあのワインに睡眠薬が入っているのを事前に知っていたってという事だ。

「完全に眠ったな…よし、入れ」

司祭が完全に眠ったのを確認したハヤトは少し大きめな声でそう言うと見張りの兵士が返事をしてテントの中に入って行く。

「奴は完全に眠った、これよりあの作戦を実行するぞ」

「了解です、直ぐに他の連中にも連絡をします」

テントの中に入った兵士はハヤトの言葉を聞いて敬礼をする。

あの作戦?戦争に乗じて何かを企んでいるのか?

「お前は教国に連絡を取ってこのバカの様子を教国の教皇に伝え、作戦通りに行動を開始しろ、俺は俺で行動する」

「分かりました、ハヤト様もお気をつけて」

兵士にそう伝えたハヤトはテントから出て行く。

あの作戦とやらも気になるし、ハヤトに付いて行く事にしよう。

俺はハヤトが言っていたあの作戦とやらを探るため、ハヤトを尾行する。

「くそ、なんで俺があんな奴の尻拭いなんてしないといけないんだ…でも何もしないと戦争ルート一直線だしなぁ」

テントからでたハヤトは先程まで俺が居た場所、つまりはキメラ達の方へ向かいながら小さい声で呟いた。

…今の発言、もしかするとハヤトは公国と戦争になるのを止めようとしているのか?

あんな奴、というのはさっきまでハヤトと一緒に居た司祭だと思うんだが…

「はぁ~、なんで公国のお偉いさんも会談で神を侮辱する様な発言をしたんだよ、絶対に怒るって分かるだろ」

ハヤトはため息を吐くと愚痴をこぼす。

やはりハヤトは公国と戦争になる事を止めようとしているのだろう。

それなんだったら一度接触して話をしてみるか?

ハヤトが教国と公国の戦争を止めようとしているのなら俺たちに協力してくれるかも知れない。

ハヤトが教国側が俺たちの作戦に協力してくれるならこっちとしてもやる事が減って行動がとりやすくなる。

最悪協力を取り付けられなかったら記憶を操作して俺の記憶を消せば問題ないか…よし!

そこまで考えた俺は早速ハヤトに接触してみる事にした。
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