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9、ヘインリヒの女神
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ヘインリヒ・ゼルナーは生まれた時から魔法が使える事が判明していた。
金の髪に赤茶色の瞳の虹彩に紫色が混じっていた彼の容貌は魔法使いのそれだったからだ。
貴族平民関係なく、この国には魔法使いが生まれる。ヘインリヒが生まれた小さな町には魔法使いはおらず、本当に久しぶりの魔法使いの誕生に町は沸き立ちヘインリヒは皆に見守られてすくすくと育った。母は早くに亡くなっていたが、父と二人の兄達とも仲は良好だった。
ところがヘインリヒが十五歳になる前の冬、家族の中で事件が起こった。
ヘインリヒの下の兄がヘインリヒに急に殴りかかってきたのだ。
それは普通の家族の夕食時だった。ヘインリヒの下の兄ハラルトは外出先から帰宅した。
彼は十八歳になり木工家具職人として働き始めている、寡黙で優しくて体の大きな兄はヘインリヒの大事な家族だった。
そんな彼はここ三ヶ月ほど前に恋人が出来て順調だと聞いていて、もう少しすると結婚するのではないかと家族間で話していた。きっと今日も仕事終わりに恋人との小さなデートをしていたのだろうとヘインリヒは思っていて、揶揄うように笑って「おかえり」と言った。
ところが、ハラルトは無表情でヘインリヒの顔を拳で殴ってきたのだ。
ヘインリヒは魔法使いの素養があり、十五歳になれば王都の魔法学院に通うことが決まってるため、図書館の本で初級の魔法の練習をしていた。その中に衝撃を緩和する防御魔法もあったものの、まさか無防備である時に信頼している家族に殴られるとは思っていなかったヘインリヒは、魔法を使う暇も無くまともに打撃を食らった。その後も無言で兄が殴りつけてくる。
ヘインリヒはその痛みに腹が立ち、兄を殴り返した。
父と上の兄は喧嘩をする二人を引き離したが、下の兄ハラルトはなかなか暴れるのを止めなかった。
どうして殴ったのかを聞かれると、ハラルトは悔しそうに顔を歪めながら事情を話した。彼は付き合っていた女性に数週間前にプロポーズをしたのだがなかなか返事をくれなかったらしい。ところが、今日少し早く仕事が終わってから彼女の働く食堂に行った時、彼女が『魔法使いのヘインリヒと仲良くなりたかったからハラルトと付き合っているけど、ヘインリヒに乗り換える前にあいつにプロポーズされちゃってさ……』と彼女の同僚と笑いながら話していたのを目撃してしまったのだとか。
兄二人は今までヘインリヒに隠していたが、こういった事が何度かあったらしい。
上の兄はそのせいで少し女性不信で今は付き合っている人もいない。
下の兄は彼女を信じていた分、酷く傷ついてしまったのだ。
彼女だと思っていた女の本心を聞いてしまい憔悴して家に帰った時、その原因にもなっていた弟は何も知らずにのんきに自分に笑顔を向けてきたことで、彼の怒りは弟へと向いてしまった。
「殴ってしまって、ごめん」冷静になった下の兄のハラルトにそう謝られてしまい、ヘインリヒはこの時まで自分が能天気に生きていて、周りを見えていなかったことに気付いた。同時に兄を傷つけた女への憎悪に感情がグチャグチャだった。兄達はヘインリヒにとって本当に良い兄弟だったから。
二人の兄は何も言わなかったけれど、こういった事のせいで彼等は何度か傷ついた事があった事を父から説明された。父には「お前はお前の苦悩があるのだから、気にする必要はない」と言われたが、そういう訳にもいかなかった。
なんてことだろう。俺のせいで兄達が不遇な目に合わせられていたのだ。彼らは決して不器量な見た目ではないし、頼りがいのある良い男だ。それなのに、俺ばかりが注目され、彼等に真っ直ぐに感情を向けてくれる女性がいなかったのか。
この出来事はヘインリヒに妙齢の女性への嫌悪感を抱かせるのに十分だった。彼に母親の記憶が無かったのも余計に女性というものへの不信感につながったのかもしれない。
それからしっかりと周りを見渡してみると、自分を巡っての女同士の陰湿なやりとりや、媚びる様子に気付いた。ヘインリヒはますます彼女達を苦手に感じた。
ヘインリヒは十五歳になり、町を離れ魔法使いが強制的に通わされる王都の魔法学園に入学した。
そこでもヘインリヒは少し女生徒にモテた。だけど兄の事もあり、女性と付き合うのに躊躇した。自分を狙う女生徒の顔が兄の元彼女の表情に重なり信用が出来なかった。
欲はあるのに妙齢の女性には嫌悪感が湧く。一瞬、もしかして自分は同性愛者なのかと思って男子生徒を思い浮かべると、勃起がしおしおと収まるのでそれは完全に思い過ごしだった。
魔法学園の在校途中、ヘインリヒの魔力はどんどんと増えていった。元々子供の頃から多めだと思っていた魔力は二年の中頃には普通の魔法使いの十五人分程になっていた。一般的に魔力量が育つと言われているのは十五歳から十八歳の間であり、この時に魔法学園に入り将来の魔法使いとしての道を選択するのだ。
しかし、魔力の多いヘインリヒだけそのせいで特別講習を受けることになった。
彼がこれからどういう場所で力を使うべきなのか、彼の膨大過ぎる魔力が暴走しないようにする防止策などの議論は教授と教員が沢山の案を出してくれた。講習というよりは議論会というべきか。
沢山の魔力がある事は悪い事では無いのだが、問題は魔力暴走なのだ。魔力暴走とは過度なストレスや原因不明のきっかけによって体内の魔力が暴走する事故である。例えば一般の魔法使いの魔力満杯状態での暴走が起きると、約十メートル四方が爆発したりとなんらかの事故が起きると言われている。ところが魔法数理学では人の十五倍の魔力量のヘインリヒの場合、倍ではなく五倍の三乗、つまり理論上は百二十五倍の威力になってしまうのだ。これは死傷者を出すのに十分な威力である。あくまで理論上ではあるが。
そして、ヘインリヒは魔法学園を卒業後は魔法省に勤務し、大規模な災害等の解消のために力を使う事、そして飽和状態での魔力暴走を起こさないよう体内魔力量の管理を必要とするという結論に至った。
ある日、教授たちはヘインリヒにピンク色の筒状の物体を渡した。
「それを使用して体内の魔力量をなるべく就寝前には半分にして下さい」
渡されたのは特殊な魔道具をくっつけられたオナニーホールだった。
人は体内から精液を排出する際、微弱な魔力が共に混じる。それは魔法使いには避けられないことだ。全魔力を一日で回復できない魔法使いは禁欲するぐらいだが、ヘインリヒの場合は逆にそれを利用して大量の魔力を排出させるようにという試みを提案されたのだ。
結果としては上手く行ったのだが、ヘインリヒの魔力量に性具も魔道具も一ヶ月もしない内に故障した。
魔法省にもこの話が持ち込まれ、この魔術具(オナホ)開発は魔法省魔術具部が受け持つことになったのだった。
完璧な魔術具が出来るまで約七年の月日がかかった。
その間ヘインリヒは魔法学園を卒業し、魔法省魔法警備隊第一保安部に配属された。魔法警備保安部は王都内の警備を主としているのだが、ヘインリヒの場合だけはそれに当てはまらない。彼は大規模な火事や山滑り、雪崩、洪水被害に向かうのだ。大きな力を使わなければならない所にヘインリヒが配置される。普段は他の魔法使いと王都の警備をしているが、緊急事態の場合は各地へと飛ぶのだ。
氷魔法が得意なのでいつの間にか『氷結の魔法使い』などとふざけた渾名がついていたが、ヘインリヒとしてはどうでも良い事だった。
依然、女性との付き合いには消極的で彼女を作る気も起きない。
それはこの一年間顕著だった。完成品のオナニーホール『リコ』があればもう彼女は要らないと思う程だったのだ。
『リコ』は女性の体幹部分を模したオナニーホールの魔術具であるが、その抱き心地、安心感、具合、全てにおいて完璧だった。
初めて使った時はあまりにも自分にピッタリな心地に、思わず3ラウンドした。
抱き心地も良くてそれを抱きしめて寝た晩、ヘインリヒは花畑で女性とお話をする不思議な夢を見た。
この国では見た事のない黒髪黒目の異国情緒あふれる彼女の見た目は女神なのではないかと思うほど美しく、ヘインリヒはこれが自分の理想の女性なのだと感じた。
物静かで落ち着いていて、自分と同じか年上の彼女はヘインリヒと対等に話してくれ、媚びもへつらう事もなかった。
隣に並んで話しているだけで自分の股間が盛り上がりいきり立っていた。夢の中なのに彼女を押し倒したくて、でもどうすればいいのか分からなくて、ヘインリヒは思春期の男の子みたいにモジモジしていた。
その女神はヘインリヒが名前を聞くと『リコ』と自己紹介した。
目を覚ましたヘインリヒは心地よく睡眠を与えてくれた女体の造形物をさらりと撫でた。
「リコ、か……リコ……リコちゃん」
新しく自分のオナホとなった魔術具に夢の乙女の名前を付ける程ヘインリヒは愛着が湧いていた。
それからは義務的に行っていた週に二回程の性処理もはかどり、ほぼ毎日リコを抱いた。あの黒髪黒目の女性を思い浮かべると、いつでもヘインリヒの股間は元気になる。少し小さめの女性の体だが、抱いているとその先の顔や仕草を想像できてしまう。
現実に彼女が存在していたら、ヘインリヒの旺盛さにリコは「はいはい、元気元気」と苦笑いして受け入れていそうな気がするのだ。
たまに見る夢の中の女神はいつでもヘインリヒに普通に接してくれて、たまに冷たいことも言う。そこがまたとても居心地よく、朝起きた時には殆ど夢の記憶は覚えていないけれど、ぼんやりと幸せな気分になる。
それだけで良かったし、こうして女性などいなくてもヘインリヒの世界は完成していたのに、ある日急に直属の上司から「珍しい女性魔法使いとお見合いしてみなさい」と半ば命令めいた打診を受けたのだった。
金の髪に赤茶色の瞳の虹彩に紫色が混じっていた彼の容貌は魔法使いのそれだったからだ。
貴族平民関係なく、この国には魔法使いが生まれる。ヘインリヒが生まれた小さな町には魔法使いはおらず、本当に久しぶりの魔法使いの誕生に町は沸き立ちヘインリヒは皆に見守られてすくすくと育った。母は早くに亡くなっていたが、父と二人の兄達とも仲は良好だった。
ところがヘインリヒが十五歳になる前の冬、家族の中で事件が起こった。
ヘインリヒの下の兄がヘインリヒに急に殴りかかってきたのだ。
それは普通の家族の夕食時だった。ヘインリヒの下の兄ハラルトは外出先から帰宅した。
彼は十八歳になり木工家具職人として働き始めている、寡黙で優しくて体の大きな兄はヘインリヒの大事な家族だった。
そんな彼はここ三ヶ月ほど前に恋人が出来て順調だと聞いていて、もう少しすると結婚するのではないかと家族間で話していた。きっと今日も仕事終わりに恋人との小さなデートをしていたのだろうとヘインリヒは思っていて、揶揄うように笑って「おかえり」と言った。
ところが、ハラルトは無表情でヘインリヒの顔を拳で殴ってきたのだ。
ヘインリヒは魔法使いの素養があり、十五歳になれば王都の魔法学院に通うことが決まってるため、図書館の本で初級の魔法の練習をしていた。その中に衝撃を緩和する防御魔法もあったものの、まさか無防備である時に信頼している家族に殴られるとは思っていなかったヘインリヒは、魔法を使う暇も無くまともに打撃を食らった。その後も無言で兄が殴りつけてくる。
ヘインリヒはその痛みに腹が立ち、兄を殴り返した。
父と上の兄は喧嘩をする二人を引き離したが、下の兄ハラルトはなかなか暴れるのを止めなかった。
どうして殴ったのかを聞かれると、ハラルトは悔しそうに顔を歪めながら事情を話した。彼は付き合っていた女性に数週間前にプロポーズをしたのだがなかなか返事をくれなかったらしい。ところが、今日少し早く仕事が終わってから彼女の働く食堂に行った時、彼女が『魔法使いのヘインリヒと仲良くなりたかったからハラルトと付き合っているけど、ヘインリヒに乗り換える前にあいつにプロポーズされちゃってさ……』と彼女の同僚と笑いながら話していたのを目撃してしまったのだとか。
兄二人は今までヘインリヒに隠していたが、こういった事が何度かあったらしい。
上の兄はそのせいで少し女性不信で今は付き合っている人もいない。
下の兄は彼女を信じていた分、酷く傷ついてしまったのだ。
彼女だと思っていた女の本心を聞いてしまい憔悴して家に帰った時、その原因にもなっていた弟は何も知らずにのんきに自分に笑顔を向けてきたことで、彼の怒りは弟へと向いてしまった。
「殴ってしまって、ごめん」冷静になった下の兄のハラルトにそう謝られてしまい、ヘインリヒはこの時まで自分が能天気に生きていて、周りを見えていなかったことに気付いた。同時に兄を傷つけた女への憎悪に感情がグチャグチャだった。兄達はヘインリヒにとって本当に良い兄弟だったから。
二人の兄は何も言わなかったけれど、こういった事のせいで彼等は何度か傷ついた事があった事を父から説明された。父には「お前はお前の苦悩があるのだから、気にする必要はない」と言われたが、そういう訳にもいかなかった。
なんてことだろう。俺のせいで兄達が不遇な目に合わせられていたのだ。彼らは決して不器量な見た目ではないし、頼りがいのある良い男だ。それなのに、俺ばかりが注目され、彼等に真っ直ぐに感情を向けてくれる女性がいなかったのか。
この出来事はヘインリヒに妙齢の女性への嫌悪感を抱かせるのに十分だった。彼に母親の記憶が無かったのも余計に女性というものへの不信感につながったのかもしれない。
それからしっかりと周りを見渡してみると、自分を巡っての女同士の陰湿なやりとりや、媚びる様子に気付いた。ヘインリヒはますます彼女達を苦手に感じた。
ヘインリヒは十五歳になり、町を離れ魔法使いが強制的に通わされる王都の魔法学園に入学した。
そこでもヘインリヒは少し女生徒にモテた。だけど兄の事もあり、女性と付き合うのに躊躇した。自分を狙う女生徒の顔が兄の元彼女の表情に重なり信用が出来なかった。
欲はあるのに妙齢の女性には嫌悪感が湧く。一瞬、もしかして自分は同性愛者なのかと思って男子生徒を思い浮かべると、勃起がしおしおと収まるのでそれは完全に思い過ごしだった。
魔法学園の在校途中、ヘインリヒの魔力はどんどんと増えていった。元々子供の頃から多めだと思っていた魔力は二年の中頃には普通の魔法使いの十五人分程になっていた。一般的に魔力量が育つと言われているのは十五歳から十八歳の間であり、この時に魔法学園に入り将来の魔法使いとしての道を選択するのだ。
しかし、魔力の多いヘインリヒだけそのせいで特別講習を受けることになった。
彼がこれからどういう場所で力を使うべきなのか、彼の膨大過ぎる魔力が暴走しないようにする防止策などの議論は教授と教員が沢山の案を出してくれた。講習というよりは議論会というべきか。
沢山の魔力がある事は悪い事では無いのだが、問題は魔力暴走なのだ。魔力暴走とは過度なストレスや原因不明のきっかけによって体内の魔力が暴走する事故である。例えば一般の魔法使いの魔力満杯状態での暴走が起きると、約十メートル四方が爆発したりとなんらかの事故が起きると言われている。ところが魔法数理学では人の十五倍の魔力量のヘインリヒの場合、倍ではなく五倍の三乗、つまり理論上は百二十五倍の威力になってしまうのだ。これは死傷者を出すのに十分な威力である。あくまで理論上ではあるが。
そして、ヘインリヒは魔法学園を卒業後は魔法省に勤務し、大規模な災害等の解消のために力を使う事、そして飽和状態での魔力暴走を起こさないよう体内魔力量の管理を必要とするという結論に至った。
ある日、教授たちはヘインリヒにピンク色の筒状の物体を渡した。
「それを使用して体内の魔力量をなるべく就寝前には半分にして下さい」
渡されたのは特殊な魔道具をくっつけられたオナニーホールだった。
人は体内から精液を排出する際、微弱な魔力が共に混じる。それは魔法使いには避けられないことだ。全魔力を一日で回復できない魔法使いは禁欲するぐらいだが、ヘインリヒの場合は逆にそれを利用して大量の魔力を排出させるようにという試みを提案されたのだ。
結果としては上手く行ったのだが、ヘインリヒの魔力量に性具も魔道具も一ヶ月もしない内に故障した。
魔法省にもこの話が持ち込まれ、この魔術具(オナホ)開発は魔法省魔術具部が受け持つことになったのだった。
完璧な魔術具が出来るまで約七年の月日がかかった。
その間ヘインリヒは魔法学園を卒業し、魔法省魔法警備隊第一保安部に配属された。魔法警備保安部は王都内の警備を主としているのだが、ヘインリヒの場合だけはそれに当てはまらない。彼は大規模な火事や山滑り、雪崩、洪水被害に向かうのだ。大きな力を使わなければならない所にヘインリヒが配置される。普段は他の魔法使いと王都の警備をしているが、緊急事態の場合は各地へと飛ぶのだ。
氷魔法が得意なのでいつの間にか『氷結の魔法使い』などとふざけた渾名がついていたが、ヘインリヒとしてはどうでも良い事だった。
依然、女性との付き合いには消極的で彼女を作る気も起きない。
それはこの一年間顕著だった。完成品のオナニーホール『リコ』があればもう彼女は要らないと思う程だったのだ。
『リコ』は女性の体幹部分を模したオナニーホールの魔術具であるが、その抱き心地、安心感、具合、全てにおいて完璧だった。
初めて使った時はあまりにも自分にピッタリな心地に、思わず3ラウンドした。
抱き心地も良くてそれを抱きしめて寝た晩、ヘインリヒは花畑で女性とお話をする不思議な夢を見た。
この国では見た事のない黒髪黒目の異国情緒あふれる彼女の見た目は女神なのではないかと思うほど美しく、ヘインリヒはこれが自分の理想の女性なのだと感じた。
物静かで落ち着いていて、自分と同じか年上の彼女はヘインリヒと対等に話してくれ、媚びもへつらう事もなかった。
隣に並んで話しているだけで自分の股間が盛り上がりいきり立っていた。夢の中なのに彼女を押し倒したくて、でもどうすればいいのか分からなくて、ヘインリヒは思春期の男の子みたいにモジモジしていた。
その女神はヘインリヒが名前を聞くと『リコ』と自己紹介した。
目を覚ましたヘインリヒは心地よく睡眠を与えてくれた女体の造形物をさらりと撫でた。
「リコ、か……リコ……リコちゃん」
新しく自分のオナホとなった魔術具に夢の乙女の名前を付ける程ヘインリヒは愛着が湧いていた。
それからは義務的に行っていた週に二回程の性処理もはかどり、ほぼ毎日リコを抱いた。あの黒髪黒目の女性を思い浮かべると、いつでもヘインリヒの股間は元気になる。少し小さめの女性の体だが、抱いているとその先の顔や仕草を想像できてしまう。
現実に彼女が存在していたら、ヘインリヒの旺盛さにリコは「はいはい、元気元気」と苦笑いして受け入れていそうな気がするのだ。
たまに見る夢の中の女神はいつでもヘインリヒに普通に接してくれて、たまに冷たいことも言う。そこがまたとても居心地よく、朝起きた時には殆ど夢の記憶は覚えていないけれど、ぼんやりと幸せな気分になる。
それだけで良かったし、こうして女性などいなくてもヘインリヒの世界は完成していたのに、ある日急に直属の上司から「珍しい女性魔法使いとお見合いしてみなさい」と半ば命令めいた打診を受けたのだった。
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