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消えた神器
壱
しおりを挟む「アイツぜってぇぶっころ────」
「お兄ちゃん! それ呪の言葉!」
殺気立った祝寿お兄ちゃんがズンズンと廊下を突き進む。視線だけで相手を貫いてしまいそうなほど怒り狂った様子に、どうしたものかと頭を抱えた。
事の発端は数時間前に遡る。
お勤めが休みのある日の土曜日、誉さんと授力の稽古に勤しむべく本庁へきていた。いつも通り2時間の稽古を終えた後、一緒に帰る予定の恵衣くんが本庁のお手伝いを終えるまで寮の自室で一休みしようと庁舎内を歩いていた。
入口前の受付を通りかかったその時、突然背後から二の腕を掴まれた。驚いて振り返ると、意外な人物が立っていて目を見開く。
浅葱色の袴に短い直毛の短髪、二重まぶたの大きな瞳。人懐っこい顔つきだけれど、眉間の皺にムッとした唇が人を寄せつけない雰囲気を醸し出す。
母方の叔父、お母さんの弟である椎名和来さんが、険しい顔でそこに立っていた。
「わ、和来おじさん? えっと……」
激しく嫌な予感がして逃げようと身を捩るもビクともしない。
おじさんは顔をゆがめた。
「俺だって不本意だ。でも親父がどうしても祝寿と話したいっていうんだよ。こうでもしなきゃアイツは表に出てこないだろ」
有無を言わせず私の手を引き歩き出した和来おじさん。
文句を言うよりも先に叩きつけるように迎門の面を被せられた。
そして嫌な予感は見事に的中、両親の実家である「うずめの社」へ引っ張ってこられた私。兄貴に電話して迎えに来いと言え、と命じられ、渋々お兄ちゃんに連絡し今に至る。
案の定激昂したお兄ちゃんは鬼のような表情でうずめの社へと乗り込んできた。
床が抜けてしまうんじゃないだろうかという勢いでズカズカと突き進み、おじいちゃんたちが待つ居間の前まで来た。
「ここからは大人の話だから、巫寿は外で待ってなさい」
振り返ったお兄ちゃんが不機嫌さを隠さずにそう言う。
「え、でも」
「大丈夫。すぐに奴らの息の根を止めてくるから、帰りにドーナツ屋さんでも寄ってから帰ろう」
「お兄ちゃん!」
「冗談だよ。ただ次はないけどな」
目を細めて鼻を鳴らしたお兄ちゃんは挨拶もなくピシャンと勢いよく襖を開けて、同じ勢いで閉めた。
冗談に聞こえないトーンだった。
唯一仲裁してくれそうなおばあちゃんは丁度出かけているらしく、おばあちゃんが帰ってくるまでおじさん達が無事でいられるかどうか。
私もおじさんはそんなに好きじゃないけれど、流石にいなくなって欲しいとまでは思っていないし、兄が犯罪者になるのは困る。
「……眞奉、お兄ちゃんをお願い」
小声で私の影に潜む眞奉に声をかけた。
ぬるりと私の前に現れた眞奉はひとつ頷き、また影に溶け込む。影はゆっくりと襖の隙間から部屋の中へ入っていった。
眞奉に任せたものの会話の内容が気になって襖に耳をくっつける。防音の結界を貼ったのか向こう側の音は何も聞こえない。
「巫寿、影映ってるから。あっち行ってなさい」
中から名前を呼ばれて飛び跳ねる。苦笑いで慌ててその場から離れた。会話の内容は後で眞奉に教えてもらおう。
本殿に手を合わせ御祭神さまに挨拶をしたあと、庭園をぶらぶらと歩いた。前に来た時は紅葉が綺麗だったけれど、今は葉が落ちてどこかもの寂しい。
反り橋の上でお母さんたちが刻んだ落書きを撫でたあと、ひとつため息を着く。
お兄ちゃんたちの話し合いはまだもうちょっとかかりそうだし、どうしよう。お母さんの部屋で待ってようか。
ぐるりと辺りを見回して一つ伸びをしたその時。
まるで胸ぐらを掴まれて引っ張られているかのように、足が勝手に歩き出し身体が前へ前へと進む。
「え? え!?」
困惑の声を上げているうちに庭園を囲む鎮守の森へバサリと突っ込んだ。足は勝手にずんずん進む。伸びきった木々が服を引っ掻く。
足を踏ん張ろうとするも、まるで自我を持ったみたいに勝手に身体は意志を持って進む。
人がひとり通れるくらいのけもの道へ出た。足はその道に沿って歩き続ける。必死に頭を回転させた。
誰かに呪いをかけられた? いや、神聖な社の中でそんなことは出来ないはず。だとしたら私にこうさせているのは悪意がある訳では無いはずだ。
木々の隙間から木造の建物が見えた。一昔前に使われていたような蔵のような建物だ。白壁に黒い柱、青銅色の屋根。金の飾りが施された重厚な扉は、ギィィと音を立ててゆっくりと自ら開いていく。
なぜか恐怖心は湧いてこない。どこかその建物に招かれているような感覚があったからだ。
体の力を抜いた。勝手に進む足に身を任せる。建物の中はあかりが点っていないせいで真っ暗闇に包まれている。埃っぽい風が奥からふわりと流れ出ていた。
足が建物の中へと進んでいく。背後でバタンッと扉がしまった。足はそこで止まった。感覚が自分に戻ってくる。
「ここ……どこ?」
心の中に少しの不安が広がり、おそるおそる辺りを見回す。扉からかすかに漏れる光だけでは中の様子は分からない。
手を前に差し出して一歩踏み出したその時、四方の壁にかけられていた松明にボッと勢いよく火がついた。突然の光に目が眩んで咄嗟に目を細める。
刹那、誰かの指の腹が一瞬私の首筋に触れて、襟首を掴まれる感覚がした。振り返るよりも先に勢いよく後ろに倒され、派手に後ろへ倒れる。
息するまもなく腹の上に誰かが覆い被さる感覚がして咳き込み、必死に目を開けてそれを見た。
「ようやっと現れたな、極悪非道の盗人よ!」
若い男の声だった。茶色がかった赤鉄色の細目が怒りに震えながら私を見下ろしている。
藍色の狩衣に黒い烏帽子を被った若い青年が、ぬらりとひかる大刀を私の首筋に押し当てていた。
「稚豊命のご心痛がいかほどか、そなたに察せられようか!」
怒りに染まった怒鳴り声が鼓膜を震わせる。
突然ぶつけられた燃えるような憎しみに体の芯がぶるりと震えまるで息の仕方を忘れたように呼吸が詰まる。
「ただちに御覇李鈴を返せッ! この盗人ッ────誰だお前は!?」
一瞬にして怒鳴り声が驚愕の声に変わった。
「あなたこそ……誰ですか……」
歯を食いしばりながらそう答えると、「うわぁッ!」と焦ったような悲鳴が上がり、青年は大刀を鞘にしまうと私の上から飛び降りた。
「すまぬ! お主の霊力があの盗人と同じ霊力に思え、ついに戻ってきたのだとばかり……私の勘違いじゃったッ!」
ゴンッと鈍い音がして何かと起き上がる。その青年が床にめり込む勢いで土下座していた。
押し倒された際にぶつけた後頭部をさすりながら青年を観察する。よく見ると彼の身体はうっすらと透けていて向こうの景色を移している。
間違いなく人ならざるものだ。
「あなたは一体……」
青年は泣きそうな顔で体を起こすと、身を縮めて私の顔を伺った。
「この宝物殿を守る御神刀、うずめの社御祭神である稚武舞豊彦命の大刀、斎守剣だ」
御神刀、透けた体、人ならざるものの気配。もしかして彼は。
「あなたは……御神刀の付喪神ですか?」
「いかにも」
少し誇らしげに頷いた斎守剣は、すぐに神妙な顔に戻って項垂れる。そしてすかさず勢いよく床に額を打ち付けて土下座のポーズに戻った。
「此度の狼藉、誠に面目ない! 稚豊命にも昔から"お前は思い込みが激しすぎる"とお叱りを受けておったというのに……」
「あ……えっと。人違いだって気付いてもらえて良かったです。怪我もしてないし気にしないでください」
パッと顔を上げた斎守剣は感極まった表情で私の手を両手で掴むと、「感謝申し上げる」とまたおいおい泣き出した。
喜怒哀楽が豊かな人だな。人じゃないか、付喪神か。
よっこらしょと立ち上がり袴に着いた土埃を手のひらで払う。
少し待っておれ、と斎守剣は片手で制すと部屋の中をぐるりと見渡し掲げた右手をゆっくりと左から右へ動かした。
彼の手の動きに合わせて、四隅以外の松明に火が灯る。
十分に部屋の中が明るくなったところで、やっと自分がどこにいるのか把握することが出来た。
古びた本棚に積み重ねられた価値がありそうな書物に巻物。使い道が分からないけれどこれまた価値のありそうな何かの道具に、綺麗な細工が施された調度品や装飾品。
"この宝物殿を守る"
斎守剣はそう言った。その言葉に間違いがないのならば、ここは宝物────うずめの社に奉納された貴重な物品を保管する建物ということだ。
「あれ……でもたしか宝物殿って社の神職にしか見えないように結界が張られているって聞いたことがあるんですけど」
ううっ、と大袈裟に胸を押えた斎守剣はひとつ深く息を吐いてどうにも気まずそうな顔で目を逸らした。
「お……お主の霊力を例の盗人と勘違いして、ここに呼び寄せてしもうたのだ」
なるほど。宝物殿の番人に招かれたから私はここへ入ることが出来たというわけか。それにしても……。
「さっきから"盗人"って言ってますけど、誰かに何か盗まれたんですか?」
すると盗まれた当時のことを思い出したのか般若のごとく怒りに顔をゆがめた斎守剣。
しかしすぐにしゅんと肩を落し、膝を抱えてシクシク泣き出す。
本当に感情の忙しい人だな。
「……巻き込んだからには訳を話すしかあるまい。こちらへ」
斎守剣に手を引かれ、宝物殿の棚をすり抜けさらに奥へと歩みを進める。そして小さな台座の上に、紫色の絹布がかけられたなにかの前へ案内された。
斎守剣に目で促されその布をゆっくりと捲った。
「これは……鈴立て?」
四角い台座にマイクスタンドのような突起が付いているそれは、巫女鈴を立てかけるための鈴立てと呼ばれる祭具だ。
黒光りする四角い台座の四隅には金の装飾が、巫女鈴を立てかける突起には細やかな線で鶴と亀の模様が施されている。
鈴立てには埃一つ付いていない。それほど大切に扱われている祭具だということだ。鈴立てに巫女鈴がないということは、もしかして盗まれたのはこの巫女鈴ということだろうか?
あれ、ちょっと待って……?
私さっき、盗まれた鈴の名前を聞いたような。たしか斎守剣はその巫女鈴を。
「盗まれたのは、御覇李鈴じゃ」
静かな建物内に私が息を飲む音が響く。
オハリノスズ────私の聞き間違えでもなく、それが私の知っているものだとするならば。
「三種の神器のひとつが、盗まれたんですか」
斎守剣が目を細める。そして俯くようにひとつ頷いた。
御覇李鈴。
三種の神器として知られる草薙剣、八咫鏡、八尺瓊勾玉とは真反対の位置に存在する、もう一組の神器たち。
剣である國舘剣、筆である払日揮毫筆、そしてもう一つが巫女鈴である御覇李鈴だ。
「う、嘘。御覇李鈴が盗まれたんですか?」
「……ああ。あれは13年前のことだった」
13年前、空亡戦が終わった年だ。
「あれ、でも待ってください。私前に調べたんですけど、神話では御覇李鈴の所有者は斎常舞比売命ですよね? 巫女舞を舞う女神様です。うずめの社の御祭神は稚武舞豊彦命で男神だし、どうしてここに御覇李鈴があったんですか?」
ああ、とひとつ頷いた斎守剣はふわりと棚を貫通してどこかへ消えてしまった。ギョッとしていると、すぐに巻物を片手に戻ってくる。適当に引き寄せた台座の上にその巻物を広げた。
斎守剣の隣に並んで覗き込む。それは巻物ではなく掛け軸だったらしい。
水墨画だ。羽衣のような美しい着物を身にまとった女神が真ん中で舞っていて、その前後に大きな刀を手にした男神が同じように舞っている。
「この手前にいらっしゃるのが我が主、稚豊命、最奥にいらっしゃるのが稚豊命の兄弟神であらせられる常珠舞祐彦命、常祐命。そして真ん中におわすが二柱の主、斎常舞比売命じゃ」
タイムタイム、と胸の前で両手を振った。
大量の人物紹介で一気に頭が混乱し始める。源氏物語を読み始めた頃のようだ。ちなみに源氏物語は途中で心が折れたので最後まで読めていない。
えっと斎守剣の主が稚豊命、その兄弟神が常祐命、その二柱のさらに主が斎常舞比売命ってことね。
一旦整理がついたので、続きをどうぞと手を差し出す。
「神話には残っておらぬが、二柱は斎常舞比売命にお仕えし、斎比売命が舞でお持ちになる巫女鈴、御覇李鈴を百年ごとに交互に守られておられた」
神話にはない話、そういうわけだったのか。
日本神話の授業で前に先生が教えてくれたことを思い出す。日本には八百万の神がいるので、全ての神話を記録することは不可能に近い。だから知られていない神話や、その土地にしか根付いていない神話が沢山あるのだとか。
これもそのひとつなのだろう。
「つまり、今は稚豊命が鈴を守る番だったというわけですね」
「左様。本来は二柱がご自身で御覇李鈴を守られていたのじゃが、いつしか現世へ渡り、こうして神に仕える人の子らが御覇李鈴を管理するようになった」
国宝の三種の神器が非常に厳重に保管されているのに対し、こちら側の三種の神器はどれも行方が分かっていない。
國舘剣は元はかむくらの社の御祭神さまの私物で、つい最近までは御祭神さまの手元にあったはずなのだけれど、神使である眞奉がこっそりと持ち出し今は私の手元にあるくらいだ。
所有している人しか、その在処を知らないと言っても過言では無い。
ギリ、と歯を食いしばる斎守剣はきつく握った拳を胸の前でぶるぶると震わせる。
「事が起きたのは常祐命から鈴を受け継ぎ、85年ほど過ぎた頃じゃ。あの忌まわしき盗人娘と、白毛の獣が私の宝物殿へ入り込んできよって……ッ!」
「盗人"娘"? 白毛の獣……?」
何となく盗賊のような出で立ちを思い浮かべていたので、犯人が女性だったことに驚く。
しかも獣ってどういうこと? 金太郎みたいに獣の背に乗ってきたということ?
「お前の言祝ぎの力とよく似ておる娘だ。何年か前、盗人娘が子供の頃に泉寿とここへ忍び込んできたことがあったな。その時は派手に怖がらせて追い出したが」
突然、斎守剣の口からお母さんの名前が出てきて「えっ」と声を上げる。
怪訝な顔をした斎守剣に泉寿は自分の母親であることを告げる。
するとより一層変な顔をして「ふむ」と顎に手を当てた。
「お主、泉寿の娘であったか。しかし妙だな。お前の言霊の資質はどちらかというとあの盗人の方ににている。この私が間違えるくらいだからな」
ごくりと唾を飲み込んだ。
斎守剣が「盗人娘と白い獣」と言った時、一瞬脳裏を過ぎったことがある。まさかそんなと否定したものの、彼の口からお母さんの名前が出たことで疑いは確信へと変わっていく。
ゆっくりと唇を開いた。
「もしかしてその盗人……おかっぱ頭の髪をした華奢な女の人のことですか」
斎守剣がぐわりと目を見開く。
「白い獣って、人の姿をした白髪の十二神使のことですか」
斎守剣が身を乗り出して力強く私の肩を掴む。
「お前、あやつらのことを知っているのか!?」
胸の前で手を握る。
やっぱりそうなんだ。十三年前、うずめの社の宝物殿に忍び込み、三種の神器・御覇李鈴を盗んだのは。
「その人は先代の審神者、奉日本志ようさん。そして彼女が使役していた十二神使の白虎です」
「審神者だと!? なぜ審神者が鈴を盗むのだ! その娘は今どこにいる!?」
志ようさんはもう、そこまで言いかけて「ん?」と眉根を寄せた。
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