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22.あれよあれよと
しおりを挟む※軽めの性描写あり
(うそ、心臓の音バレた!?)
「俺の心臓ね。ずっと恋焦がれていた存在だったから…」
先程までの怖い雰囲気はなく、愛おしいものを見るような目で僕の顔を覗き込んでくる。
あの完璧な王子が、僕の前で心臓をドキドキさせているなんて誰が想像つくだろう。
王子の言葉に余計に僕の心臓も早鐘を打つ。
「……心臓、…僕も、です…」
気づけば僕の口からも勝手にそうこぼしていた。
しまった、と思った瞬間には目をギラッとさせた王子に再度食べられるようにキスをされる。
顎に当てていた手が後ろに回ってきて、僕の後頭部全体を覆うように引き寄せられるものだから完全に固定されてしまった。
「…んぅ、…っ…んん」
王子は思う存分僕の口内を堪能し、ようやく口を離した。
「…っ、はぁ…っ、はぁ…」
口内から発生する快感に困惑したままぼーっと彼を見つめる。
「…あー。その顔、ほんと可愛い」
王子は濡れた唇を指でなぞりながら、片方の足を僕の足の間に入れ、太ももで僕の大事なところを刺激してくる。
「っ、レオン殿下、それは…!」
「ノエルが煽ってきたんだよ?」
太ももの硬い筋肉で会陰の方までズリズリと刺激を受け、キスで痺れた体にはその緩やかな刺激でさえキツい。
王子はそのまま僕のズボンのベルトに手をかける。
「ま、待ってくださ…っ、…ダメ、…それに、ここ外…っ」
必死に王子の手を止めようと掴むが、びくともしない。
「大丈夫、こんな時間に外に出ている者なんていないし、いたとしてもこんな場所に来ることはないよ」
冷静な言葉とは裏腹に、銀が散りばめられた深い濃藍色の瞳には隠しきれない熱をはらんでいる。
「だがそうだな。ノエルが気になるというのなら場所を変えるか」
そう言うと王子は僕の体を軽々と横抱きに抱え上げた。
「で、殿下…!?」
急な浮遊感に思わず王子の首にしがみつくと、近くにある王子の口元が機嫌良さそうに口角を上げた。
そのまま早足で廊下を歩き始める王子に僕は焦る。
「や、あの…!殿下、降ろしてください…っ」
「シーっ、静かにしないと騒ぎに気づいて起きちゃう人がいるかもしれないよ」
「…っ」
それは困る、けど…
おろおろとしている間に瞬間移動でもしたのかと思うくらい早く王子の部屋に着いてしまい、ベッドに優しく降ろされる。
「ノエル、かわいい。
どうしていいかわからなくて固まっちゃってるんだ?」
そのまま王子が覆い被さってくる。
「ね、さっきみたいなキスまたしていい?嫌?」
「だ、だめです…」
何が起こっているのか分からず、口をぱくぱくさせることしかできなかったがなんとか王子の言葉を飲み込んで返事をする。
「だめ?嫌だった?」
「あ、えと…」
「ノエルは俺とキスするの気持ち悪い?
それともあの侍従の方がいいの?」
「…?…クロムは、家族みたいなもので…」
「じゃあ他に好きな人が…?」
王子の顔がどんどん表情のない怖いものに変わっていく。
ぶんぶんと顔を横に振ると、ニッコリ笑った王子の顔が近付いてくる。
「良かった。嫌なら言って?」
「っんぅ…」
そのまま先ほどと同様に熱い舌が口内に入ってきて僕の言葉が飲み込まれる。
「んッ…はぁ、…んぅ、ふ…っ」
そうこうしている間に王子の手が僕のズボンの前をくつろげ、パンツの上から刺激される。
「ンッ、…はっ…やっ、だめ…っ」
「ダメじゃないよ。ノエルのも反応してる」
でも、と言いかけたのを目で制され、鼻がつきそうなほど近づいた王子から内緒話をするように声を囁かれる。
「少しだけ、俺の腕の中にいるノエルを堪能させて?ほんの少しだけでいいから。嫌ならすぐやめる。ね?」
「うぅ……」
こんなに圧をかけてくる王子なんて知らない。
普段と違う一面に、どうしていいかわからず顔ばかり赤らんでしまう。
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