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第10章 王宮の決戦
王宮の鉱
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リーカーは力尽きてドサッと床に倒れた。鉱の呪いで体の硬化がさらに進んでいた。やがてそれが全身に及ぼうとしていた。
「パパ!」
エミリーがリーカーそばに寄った。その顔は心配と不安で青ざめていた。リーカーはエミリーを心配させまいとして、なんとか力を振り絞って体を起こした。
「エミリー。よくやった」
リーカーは笑顔を向けた。だが彼の最期が近いことは誰の目にも明らかだった。それはリーカー自身がよくわかっていた。自分が亡き後、一人になった幼いエミリーを託さねば・・・。リーカーはエリザリー女王の方に顔を向けた。
「女王様。エミリーをお願いいたします」
「わかっておる。リーカー。エミリーは次の女王とする。安心せよ」
エリザリー女王が告げた。彼女はリーカーの心情を理解し、目に涙をためていた。それは傍らにいるサース大臣も同じだった。
「リーカー殿。後のことは任されよ。エミリー様は我らが補佐する」
そしてマークスもよろめきながらも倒れているリーカーのそばに寄った。彼にもリーカーの運命がわかっていた。
「女王様を支える魔騎士隊は私が必ず再建する。お前の命を無駄にはせぬ。リーカー、お前こそ真の魔騎士であった」
マークスはリーカーの目を見てそう言った。リーカーはそれに答えるように深くうなずいた。
いよいよ最期の時は近づいていた。周囲の人の優しい言葉にリーカーは安心したようだった。そして最後に彼は震える手でエミリーの手を取った。
「私はじきに死ぬだろう。だがエミリー。泣いてはならぬ。お前は一人ではない。女王様やサース大臣をはじめ、多くの人がお前を支えてくれるだろう。また遠い空から私やママがいつも見守っている。お前にはなすべきことが多くある。これからもお前は自ら道を切り開いて進むのだ」
リーカーは微笑みながらやさしく言った。エミリーは涙をこらえていた。
「ただ、救いは暗黒の剣で殺されなかったことだ。鉱の呪いで私は命を失うのだから・・・。愛するエミリーよ。さらばだ・・・」
リーカーの体は鉱に変わっていき、やがて黒い塊になった。エミリーはいつまでもその鉱にすがっていた。こらえても彼女の目からは涙がこぼれていた。
◇◇◇
ビンデリア国の王宮の広間には、大きな鉱が置かれている。昼間は日の光で輝いていたが、その横を忙しそうに行き来している人たちは誰も気に留めようとはしなかった。だが夜になると静まり返った広間の暗闇に鈍い光を辺りに放ち、まるで何かを伝えようとしているかのように明滅していた。
そうなるとエミリー女王が燭台の明かりとともに広間に現れる。彼女はその鉱にそっと手を触れて話しかけた。鉱はそれに答えてさらに光を放つのであった。
「パパ!」
エミリーがリーカーそばに寄った。その顔は心配と不安で青ざめていた。リーカーはエミリーを心配させまいとして、なんとか力を振り絞って体を起こした。
「エミリー。よくやった」
リーカーは笑顔を向けた。だが彼の最期が近いことは誰の目にも明らかだった。それはリーカー自身がよくわかっていた。自分が亡き後、一人になった幼いエミリーを託さねば・・・。リーカーはエリザリー女王の方に顔を向けた。
「女王様。エミリーをお願いいたします」
「わかっておる。リーカー。エミリーは次の女王とする。安心せよ」
エリザリー女王が告げた。彼女はリーカーの心情を理解し、目に涙をためていた。それは傍らにいるサース大臣も同じだった。
「リーカー殿。後のことは任されよ。エミリー様は我らが補佐する」
そしてマークスもよろめきながらも倒れているリーカーのそばに寄った。彼にもリーカーの運命がわかっていた。
「女王様を支える魔騎士隊は私が必ず再建する。お前の命を無駄にはせぬ。リーカー、お前こそ真の魔騎士であった」
マークスはリーカーの目を見てそう言った。リーカーはそれに答えるように深くうなずいた。
いよいよ最期の時は近づいていた。周囲の人の優しい言葉にリーカーは安心したようだった。そして最後に彼は震える手でエミリーの手を取った。
「私はじきに死ぬだろう。だがエミリー。泣いてはならぬ。お前は一人ではない。女王様やサース大臣をはじめ、多くの人がお前を支えてくれるだろう。また遠い空から私やママがいつも見守っている。お前にはなすべきことが多くある。これからもお前は自ら道を切り開いて進むのだ」
リーカーは微笑みながらやさしく言った。エミリーは涙をこらえていた。
「ただ、救いは暗黒の剣で殺されなかったことだ。鉱の呪いで私は命を失うのだから・・・。愛するエミリーよ。さらばだ・・・」
リーカーの体は鉱に変わっていき、やがて黒い塊になった。エミリーはいつまでもその鉱にすがっていた。こらえても彼女の目からは涙がこぼれていた。
◇◇◇
ビンデリア国の王宮の広間には、大きな鉱が置かれている。昼間は日の光で輝いていたが、その横を忙しそうに行き来している人たちは誰も気に留めようとはしなかった。だが夜になると静まり返った広間の暗闇に鈍い光を辺りに放ち、まるで何かを伝えようとしているかのように明滅していた。
そうなるとエミリー女王が燭台の明かりとともに広間に現れる。彼女はその鉱にそっと手を触れて話しかけた。鉱はそれに答えてさらに光を放つのであった。
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