闇の者

広之新

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第14章 駆け落ちの行方

救出

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 王女は目をつぶった。
(このままだとソランはなぶり殺される。誰か助けて!)彼女は心の中で叫んでいた。だが助けが来るはずはない。ここはユーナン星から遠く離れた地球ののだから・・・。
男が棍棒をソランに振り下ろした。すると、
「カーン!」
鋭い音がして男が持った棍棒が地面に転がった。飛んできた電子手裏剣が棍棒をはね飛ばしたようだった。
「誰だ!」男たちが辺りを見渡して叫んだ。すると倉庫の暗がりから一つの人影が浮かび上がった。
「貴様か! 邪魔したのは!」リーダーの男が叫んだ。その人影はやがて形がはっきりして黒装束の姿の男になった。それは半蔵だった。彼は少しずつ男たちに近づいてきた。
「我らは闇。闇に生まれ、闇に生きし者。お前たち! カズン王女とソランを放すのだ!」半蔵は静かに言った。その彼の後ろには疾風と児雷也も姿を現していた。
「何を! この野郎!」男の一人が鉄パイプを拾って半蔵に打ちかかってきた。半蔵はそれを軽くかわすと、その男の襟首を捕まえて放り投げた。すると、
「ガシャーン!」と大きな音を立てて、その男は壁際に積んである木箱に突っ込んだ。
「貴様!」リーダーの男は棍棒を振り上げながら慎重に半蔵たちに近づいた。他の男たちも後に続いた。
するとその隙を狙って、別の方角から王女たちに向かって2つの人影が飛んできた。それは霞と佐助だった。
「さあ、こちらへ。」とカズン王女とソランの縄を解いて、男たちのいる場所から離れていた。
「くそ! いつの間に!」振り返ってそれを見たリーダーの男は、地団太踏んで悔しがった。
「愛する2人は一緒になるためにこの地球まで逃げてきたのだ。この2人を誰が引き離せようか・・・いや、誰も引き離すことはできぬ。」半蔵は言った。
「いや、王家の尊厳を汚す者たちだ! 到底、認めることはできん! こうなったら皆殺しだ!」リーダーの男はそう叫ぶと、机の上に並べていたカプセルを開けていった。するとそこからバイオノイドが現れた。
「さあ! やれ!」その命令にバイオノイドが半蔵たちに向かって来た。半蔵はレーザー刀を抜くと、向かってくるバイオノイドを袈裟斬りで倒した。
「向かってくる者は容赦せぬ! かかってくるがいい!」半蔵はゆっくり前に進んだ。
「お、おのれ! さっさと奴らをかたづけろ!」リーダーの男はそう言いながらも、おびえて後ろに下がっていた。バイオノイドたちは剣を振りかざして向かっていくが、疾風や児雷也も戦いに加わって次々に倒されていった。
 それを見て恐怖にかられた男たちは逃げ出そうとした。しかしその前に霞と佐助が立ちふさがった。
「もう逃げられないわよ! ヤッ!」と蹴りや突きでその場に倒した。バイオノイドはすべて倒されて消滅し、その場には床に転がされた男たちが残された。その周囲を5人の忍者がとり囲んでいた。
「貴様らは我らが地獄に案内仕る! 覚悟せよ!」半蔵が刀をきらめかせた。
「ゆ、許してくれ! この通りだ!」男たちは頭を地面にこすりつけるように土下座して許しを乞うていた。
「では約束せよ。カズン王女やソランには今後、一切手出しをせぬとな。」
「ああ、わかった。手出ししない。」
「よし。もし違えるようなことがあれば地獄の底まで追い詰める。よいな。」
「わかった。約束する。だから助けてくれ!」
「ならば命までは取らぬ。必ず守れ。それに我らのことは他言無用。よいな。」
「わかった。誰にも言わない。」
「ならば行け。」
男たちは腰が抜けていたが、それでも必死にその場から逃げて行った。
 その光景を後ろで見ていたカズン王女とソランが5人の前に来た。
「危ないところを助けてくれてありがとう。」ソランが言った。
「これであなたたちを引き離そうとする者はない。安心してジコウ星で暮らすとよい。」半蔵は言った。
「あなたにはまた命を助けられたわ。このことは一生、忘れないわ。」カズン王女が言った。
「いや、忘れてくれ。我らは所詮、闇。世の人たちを輝かせるためにある。それより幸せになるのだぞ。」半蔵の覆面の下には優しい笑顔が隠されていた。カズン王女とソランはそれを聞いて、恥ずかしそうに見つめ合った。
「ええ、もちろん。2人で明るい家庭を作ります・・・」2人が前を向いたとき、半蔵をはじめ忍者の姿はすでに消えていた。
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