22 / 40
第6章 友達
帰ってきたお父さん
しおりを挟む
芽衣ちゃんの家に行って着替えなどの荷物をもって家に帰った。今日からは3人暮らしだ。子供2人の面倒を見なければならない。1人でも2人でも同じだとは思っていたが、子供でも女2人そろえばかしましい。そばにいるのがうるさいほど、2人で騒ぎまくっていた。
(まあ、元気が出ればいいかな。)
私はそう思って耐えていた。だが夜になれば静かになる。同じベッドで姉妹のように眠る結奈と芽衣ちゃんを見て、なんだかほほえましくなった。2人を起こさないようにそっと日記を見る。
『今日から芽衣ちゃんがこの家で暮らすことになったよ。しばらく会っていなかったから話すことも多くてしゃべり続けていたよ。パパはうるさそうにそっぽを向いていたけどね。でも家の中が急ににぎやかになったからウキウキする気分だよ。・・・』
芽衣ちゃんをこの家に引き取ってよかったと思った。結奈が喜んで心が明るくなったのだから・・・。でもよその子を預かるのは責任重大だ。気をつけて行かねば・・・と私は思った。こんな時、理恵なら・・・という気持ちで書いた。
『芽衣ちゃんが来てよかったわね。家の中が楽しそう。芽衣ちゃんはお母さんが入院して大変な時だから優しくしてあげてね・・・・』
次の日の朝は大変だった。結奈も芽衣ちゃんも疲れていたのか、なかなか起きて来ず、部屋まで起こしに行った。2人とも眠気眼で着替えや歯磨きもゆっくりで、手伝わなければならなかった。時間がない中、2人の子供の朝食を作り、やっとのことで学校に送り出した。いつもよりへとへとになっていた。
(山中先生にメールしなければ・・・)
昨日のうちに山中先生にはメールしておいた。お母さんが入院してそばにいたこと、今はこの家にいることなど。山中先生は心配していたから、家での様子や元気に学校に向かったことをまたメールで送っておこう。
いつもより朝がバタバタしてしまったが、何とか遅刻せずに出勤することができた。私は仕事をしながらも、今夜は何を作って芽衣ちゃんを喜ばせようか・・・などと考えていた。家に一人増えただけで私まで楽しい気分になっていた。
だが買い物をして家に帰ると、家には結奈しかいなかった。
「芽衣ちゃんは?」
「病院に行ったら芽衣ちゃんのお父さんが来ていたの。それでお父さんと一緒に家に帰ったの。」
「そうだったの。」
「後でご挨拶に行くからって。」
結奈は少し寂しそうだった。だが芽衣ちゃんのお父さんが帰って来られたので私は安心した。やはり子供は親の元にいた方がいいと。
私は夕食の用意を始めた。ご馳走を作ろうといろいろ材料を買ってきたが無駄になりそうだ。だが大目に作って保存しておくか・・・そう思っていると呼鈴が鳴った。
「はい。」
手が離せない私に代わって、結奈が玄関に出てくれた。
「パパ! 芽衣ちゃんのお父さんだよ。」
そう聞いて私は手を洗って玄関に行った。背広姿のお父さんと芽衣ちゃんがいた。芽衣ちゃんのお父さんはきりっとした感じのビジネスマンという感じだった。
「こんばんは。」
「神崎です。この度はお世話になりました。芽衣のことでご面倒をおかげして。これはお世話になりましたお礼です。」
芽衣ちゃんのお父さんはデパートの紙袋を差し出した。
「いえ、たいしたことは・・・。かえってお気を使わせたようで。遠慮なくいただきます。」
私はそれを受け取った。中は有名店のお菓子の様だ。
「芽衣ちゃん。お父さん、帰ってきてよかったね。」
「う、うん・・」
芽衣ちゃんはお父さんが帰って来て喜んでいると思いきや、何か暗い顔をしている。私は「ん?」と思いながら芽衣ちゃんのお父さんに言った。
「奥さんからお話をお聞きしておりまして。とにかく帰ってこられてよかったです。」
「お恥ずかしい限りです。妻が入院したとは聞いていたのですが、芽衣が藤田さんのところでご厄介になっていると聞いて慌てて帰ってきました。親戚に預けたとばかり思っていたのですから。」
「ご親戚がこの近くにおられたのですか?」
「いえ、遠方で。妻の入院している間、預けようと思いまして。明日、送っていくつもりです。」
そうなると芽衣ちゃんはお母さんと過ごすことはできない。残された時間は少ないというのに・・・。他の家のことだが、私は何とかできないかと思った。とにかくもう少し芽衣ちゃんとお母さん、いや家族が幸せに過ごせる道はないかと。おせっかいかもしれないが。
「夕食を作ったのですよ。よかったらどうですか?」
「いえ、そんな、ご迷惑を。」
「いいのですよ。多く作ったのですから。遠慮なさらず。娘も芽衣ちゃんと一緒に食べたいと思いますから。」
私がそう言うと、結奈も横から言った。
「おじさん。パパの料理はうまくなったのよ。一緒に食べていって。」
結奈にそう言われて、さすがに芽衣ちゃんのパパも断れなくなったようだ。
「ではお言葉に甘えまして。」
そうして4人でテーブルに着いた。豚肉の照り焼きにポテトサラダ、他にもいろいろと並んでいる。人が増えるほどに食卓はぎやかになる。
「さあ、遠慮なさらずに。」
ただの家庭料理だが私には自信があった。これは理恵の日記のレシピなのだから。芽衣ちゃんのお父さんは一口食べるなり、
「おいしいですなあ。」
と感嘆するように言った。多分、単身赴任でおいしい家庭料理など食べていなかったのだろう。
「お口に合ってよかったです。」
「藤田さんはお料理が得意だったのですね。昔からされていたのですか?」
「いえ、3か月前からです。」
「えっ? それでこんなに。」
芽衣ちゃんのお父さんが驚いていた。確かにそうだ。以前の私でも驚くだろう。こんなにできるようになるとは。
「恥ずかしながら仕事が忙しくてすべて妻に任せていたのです。それで妻が急に亡くなり、すべて自分でしようと思ったのです。」
「そうだったのですか。すいません。つらいことを思い出させたようで・・・」
「いえ、大丈夫です。でも最初はどうしたらいいか、全くわからなかった。何もしてこなかった報いです。ただ妻が日記をつけていまして、それを見てなんとかやって来ているのです。」
「奥様が日記を?」
「ええ、結婚してからずっとつけていました。料理などの詳しいことや結奈のことも書いてありました。でも本当なら妻の口からいろいろと教えてもらいたかった。もっと話をするべきだったと。」
それは私の偽らざる気持ちだった。理恵が亡くなってそれを痛感しているのだ。芽衣ちゃんのお父さんはその言葉に何かを感じたのか、口を動かすのをやめてじっと考えていた。
「つまらないことを言ってしまいました。さあ、どうぞ。たくさんありますから召し上がってください。」
「あ、はい。遠慮なくいただきます。」
それから私は家事のことを話し、結奈と芽衣ちゃんは学校のことを話した。芽衣ちゃんのお父さんも今やっている仕事のことをいろいろと話した。食卓に様々な話題が上り、楽しそうに聞いていた。
そして夕食の後、芽衣ちゃんとお父さんは帰って行った。その帰り際、芽衣ちゃんのお父さんは言った。
「妻ともっと話し合ってみます。可増にとって何が幸せかを考えて。」
「それがいいと思います。」
私は笑顔で2人を見送った。
その日の結奈は日記にこう書いた。
『芽衣ちゃんのお父さんが来たよ。何か、昔のパパの様に怖い顔をしていた。でもパパの料理を食べて笑顔になって帰ったよ。でも芽衣ちゃんは遠くの親戚に預けられるかもしれないの。さびしいな。』
確かに芽衣ちゃんのお父さんは家に来た時、厳しい顔をしていた。それは真剣に仕事に向き合っているためだろう。以前の私もそんな顔をしていたと聞いて、少しショックだった。結奈の前ではにこやかにしていたつもりなのに・・・。
しかし芽衣ちゃんがいなくなると思って結奈はしょげているだろう。ママの言葉で励ましてやらねば・・・。
『芽衣ちゃんのお父さんはお母さんと話し合うようだから、きっと芽衣ちゃんが幸せになるようにしてくれるわ。もしかしてそれで芽衣ちゃんとお別れになるかもしれないけど、遠くに行っても友達には違いないわ。手紙でも電話でも、いつでも芽衣ちゃんと連絡できるのだから。ママとだってこうして話せるんですもの・・・』
私は芽衣ちゃん、いや神田家の家族が幸せになるように、話し合いでいい結論が出てくれることを願った。
(まあ、元気が出ればいいかな。)
私はそう思って耐えていた。だが夜になれば静かになる。同じベッドで姉妹のように眠る結奈と芽衣ちゃんを見て、なんだかほほえましくなった。2人を起こさないようにそっと日記を見る。
『今日から芽衣ちゃんがこの家で暮らすことになったよ。しばらく会っていなかったから話すことも多くてしゃべり続けていたよ。パパはうるさそうにそっぽを向いていたけどね。でも家の中が急ににぎやかになったからウキウキする気分だよ。・・・』
芽衣ちゃんをこの家に引き取ってよかったと思った。結奈が喜んで心が明るくなったのだから・・・。でもよその子を預かるのは責任重大だ。気をつけて行かねば・・・と私は思った。こんな時、理恵なら・・・という気持ちで書いた。
『芽衣ちゃんが来てよかったわね。家の中が楽しそう。芽衣ちゃんはお母さんが入院して大変な時だから優しくしてあげてね・・・・』
次の日の朝は大変だった。結奈も芽衣ちゃんも疲れていたのか、なかなか起きて来ず、部屋まで起こしに行った。2人とも眠気眼で着替えや歯磨きもゆっくりで、手伝わなければならなかった。時間がない中、2人の子供の朝食を作り、やっとのことで学校に送り出した。いつもよりへとへとになっていた。
(山中先生にメールしなければ・・・)
昨日のうちに山中先生にはメールしておいた。お母さんが入院してそばにいたこと、今はこの家にいることなど。山中先生は心配していたから、家での様子や元気に学校に向かったことをまたメールで送っておこう。
いつもより朝がバタバタしてしまったが、何とか遅刻せずに出勤することができた。私は仕事をしながらも、今夜は何を作って芽衣ちゃんを喜ばせようか・・・などと考えていた。家に一人増えただけで私まで楽しい気分になっていた。
だが買い物をして家に帰ると、家には結奈しかいなかった。
「芽衣ちゃんは?」
「病院に行ったら芽衣ちゃんのお父さんが来ていたの。それでお父さんと一緒に家に帰ったの。」
「そうだったの。」
「後でご挨拶に行くからって。」
結奈は少し寂しそうだった。だが芽衣ちゃんのお父さんが帰って来られたので私は安心した。やはり子供は親の元にいた方がいいと。
私は夕食の用意を始めた。ご馳走を作ろうといろいろ材料を買ってきたが無駄になりそうだ。だが大目に作って保存しておくか・・・そう思っていると呼鈴が鳴った。
「はい。」
手が離せない私に代わって、結奈が玄関に出てくれた。
「パパ! 芽衣ちゃんのお父さんだよ。」
そう聞いて私は手を洗って玄関に行った。背広姿のお父さんと芽衣ちゃんがいた。芽衣ちゃんのお父さんはきりっとした感じのビジネスマンという感じだった。
「こんばんは。」
「神崎です。この度はお世話になりました。芽衣のことでご面倒をおかげして。これはお世話になりましたお礼です。」
芽衣ちゃんのお父さんはデパートの紙袋を差し出した。
「いえ、たいしたことは・・・。かえってお気を使わせたようで。遠慮なくいただきます。」
私はそれを受け取った。中は有名店のお菓子の様だ。
「芽衣ちゃん。お父さん、帰ってきてよかったね。」
「う、うん・・」
芽衣ちゃんはお父さんが帰って来て喜んでいると思いきや、何か暗い顔をしている。私は「ん?」と思いながら芽衣ちゃんのお父さんに言った。
「奥さんからお話をお聞きしておりまして。とにかく帰ってこられてよかったです。」
「お恥ずかしい限りです。妻が入院したとは聞いていたのですが、芽衣が藤田さんのところでご厄介になっていると聞いて慌てて帰ってきました。親戚に預けたとばかり思っていたのですから。」
「ご親戚がこの近くにおられたのですか?」
「いえ、遠方で。妻の入院している間、預けようと思いまして。明日、送っていくつもりです。」
そうなると芽衣ちゃんはお母さんと過ごすことはできない。残された時間は少ないというのに・・・。他の家のことだが、私は何とかできないかと思った。とにかくもう少し芽衣ちゃんとお母さん、いや家族が幸せに過ごせる道はないかと。おせっかいかもしれないが。
「夕食を作ったのですよ。よかったらどうですか?」
「いえ、そんな、ご迷惑を。」
「いいのですよ。多く作ったのですから。遠慮なさらず。娘も芽衣ちゃんと一緒に食べたいと思いますから。」
私がそう言うと、結奈も横から言った。
「おじさん。パパの料理はうまくなったのよ。一緒に食べていって。」
結奈にそう言われて、さすがに芽衣ちゃんのパパも断れなくなったようだ。
「ではお言葉に甘えまして。」
そうして4人でテーブルに着いた。豚肉の照り焼きにポテトサラダ、他にもいろいろと並んでいる。人が増えるほどに食卓はぎやかになる。
「さあ、遠慮なさらずに。」
ただの家庭料理だが私には自信があった。これは理恵の日記のレシピなのだから。芽衣ちゃんのお父さんは一口食べるなり、
「おいしいですなあ。」
と感嘆するように言った。多分、単身赴任でおいしい家庭料理など食べていなかったのだろう。
「お口に合ってよかったです。」
「藤田さんはお料理が得意だったのですね。昔からされていたのですか?」
「いえ、3か月前からです。」
「えっ? それでこんなに。」
芽衣ちゃんのお父さんが驚いていた。確かにそうだ。以前の私でも驚くだろう。こんなにできるようになるとは。
「恥ずかしながら仕事が忙しくてすべて妻に任せていたのです。それで妻が急に亡くなり、すべて自分でしようと思ったのです。」
「そうだったのですか。すいません。つらいことを思い出させたようで・・・」
「いえ、大丈夫です。でも最初はどうしたらいいか、全くわからなかった。何もしてこなかった報いです。ただ妻が日記をつけていまして、それを見てなんとかやって来ているのです。」
「奥様が日記を?」
「ええ、結婚してからずっとつけていました。料理などの詳しいことや結奈のことも書いてありました。でも本当なら妻の口からいろいろと教えてもらいたかった。もっと話をするべきだったと。」
それは私の偽らざる気持ちだった。理恵が亡くなってそれを痛感しているのだ。芽衣ちゃんのお父さんはその言葉に何かを感じたのか、口を動かすのをやめてじっと考えていた。
「つまらないことを言ってしまいました。さあ、どうぞ。たくさんありますから召し上がってください。」
「あ、はい。遠慮なくいただきます。」
それから私は家事のことを話し、結奈と芽衣ちゃんは学校のことを話した。芽衣ちゃんのお父さんも今やっている仕事のことをいろいろと話した。食卓に様々な話題が上り、楽しそうに聞いていた。
そして夕食の後、芽衣ちゃんとお父さんは帰って行った。その帰り際、芽衣ちゃんのお父さんは言った。
「妻ともっと話し合ってみます。可増にとって何が幸せかを考えて。」
「それがいいと思います。」
私は笑顔で2人を見送った。
その日の結奈は日記にこう書いた。
『芽衣ちゃんのお父さんが来たよ。何か、昔のパパの様に怖い顔をしていた。でもパパの料理を食べて笑顔になって帰ったよ。でも芽衣ちゃんは遠くの親戚に預けられるかもしれないの。さびしいな。』
確かに芽衣ちゃんのお父さんは家に来た時、厳しい顔をしていた。それは真剣に仕事に向き合っているためだろう。以前の私もそんな顔をしていたと聞いて、少しショックだった。結奈の前ではにこやかにしていたつもりなのに・・・。
しかし芽衣ちゃんがいなくなると思って結奈はしょげているだろう。ママの言葉で励ましてやらねば・・・。
『芽衣ちゃんのお父さんはお母さんと話し合うようだから、きっと芽衣ちゃんが幸せになるようにしてくれるわ。もしかしてそれで芽衣ちゃんとお別れになるかもしれないけど、遠くに行っても友達には違いないわ。手紙でも電話でも、いつでも芽衣ちゃんと連絡できるのだから。ママとだってこうして話せるんですもの・・・』
私は芽衣ちゃん、いや神田家の家族が幸せになるように、話し合いでいい結論が出てくれることを願った。
0
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる