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『魔導契約書』(サフィア第3王子視点)
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サフィアとしては眼の前の魔導契約書の内容に興味が尽きない。自分の瞳が押さえきれぬ好奇心から魔力の煌めきを帯びているのが自覚できる。
「そちらの契約書の『立ち会い者』になるかは、内容を確認してからでも良いかな?」
「よろしくお願いします」
ロザリアは礼をとって手にした『魔導契約書』をサフィア殿下に差し出しす。
本来なら『魔導契約書』を貴族令嬢個人が保管しているのは異常である。
この会場に『魔導契約書』そのモノを眼にしたことのある者はいないはずだ。
サフィアは王族なので、かろうじて西の辺境伯令嬢リリーナとの婚約の際に眼にしているが、王族と高位貴族の間の契約以外では原則使われるはずはない。
東西の辺境伯は国を守る契約を王家と結んでいる。『魔導契約書』とはそのような場合になされるモノなのだから。
ロザリア嬢とワーズ伯爵子息ジョシュアの婚約は国が関わっていないし、本来なら『魔導契約書』は貴族家当主の保管であるはずだ。
それが未成年の令嬢が手にしているのは普通ではない。
サフィアは緊張と抑えきれぬ好奇心を胸に、『魔導契約書』を開いた。
そこには辺境伯令嬢ロザリアとワーズ伯爵子息ジョシュアの婚約理由と各種契約条件が、こと細かに記されている。
サフィアは学園七不思議の一つと言われてきたロザリア嬢とジョシュアの婚約のナゾを眼にした。
卒業パーティーでナゾが解けるのは、良い思い出やもしれん。
読めば読むほど、ロザリア嬢の有能さとジョシュアの無能さが浮き彫りになる。
ワーズ伯爵家がジョシュアの姉を隣の伯爵領に嫁がせた翌年から、3年にわたり続けざまに天災に見舞われ税の免除と援助を受けており、2年後の三男ジョシュアの学費を準備しきれなかった。
上の子供たちは3人とも学園に入学していたし、ジョシュアも学園に入学する気まんまんなのでワーズ伯爵は頭をかかえた。
親心としては学園に行かせてやりたいが、領主としては領地復興に娘の嫁ぎ先や親しい貴族家から借りたお金の返還を優先すべきだ。
ワーズ伯爵はなやみ隠居している父親に相談したところ、古くからの友人であるロザリア嬢の祖父に話が伝わりアイビー辺境伯へと話は持ち込まれた。
アイビー辺境伯としても尊敬する父の相談にのりたいが、領に何の得るものもなくワーズ伯爵家に出資することはできない。
彼が領主であればこそ、領地のことを考えるのは当然である。
そのことに密かに悩んでいた伯爵に、何時そのことを知ったのかロザリアが相談のカタチで「婚約話」を伝えてきたらしい。
「領と辺境伯の資産で援助しようとするから問題なのではないですか?
辺境伯令嬢のわたくしが、将来の夫となる予定の個人へ個人資産を投資する分には問題ないですよね?
婚約が途中で白紙になったときは、当事者から当事者に金銭の返還義務が生じるようにすればワーズ伯爵家にも当家にも、関連や取引のある方々へもしわ寄せはないのでわありません?」
『魔導契約書』にはアイビー辺境伯とロザリア嬢のやりとり。そして信じがたいロザリア嬢の個人資産の内訳が記されていた。
9年ほど前に設立と同時に複数の『利益登録品』を発表して、ハイスピードで名をなした商会『ワイルドウッド』という商会がある。
食料品から服飾雑貨に魔力を帯びた各種素材まで扱っているのだが、幅広い応用性が短期間で国内に広まった。
防水・防火・防冷・防温効果があり絵や字も書ける特殊な紙は、テント代わりになるは食材の保存も簡単だわで発売当初から売れに売れ今も売れつづけている。
独特のオーロラのような遊色を持つ複数の染料は、皮や繊維。ガラスや陶器をあつかう職人たちがこぞって手を出した。
これらを売り出したのが『ワイルドウッド』商会である。
この商会の福商会頭はリーフ伯爵家の分家スジなのは分かっていたが、商会会頭自身は一度も公に姿を現さないナゾの人物。
そりゃ当然だわ。商会立ち上げた商会会頭が当時5才の辺境伯令嬢なんて明かせないだろう。
それだけの資産があれば、伯爵家令息の学費は出せるだろう。
6年で金貨600枚(通常ほ伯爵家の学費は6年で120枚)一括貸付け、管理はワーズ伯爵が行うこと。金額内のジョシュアの貸付金使用目的にワーズ伯爵は口出ししない。貸付金を減らすも増やすも令息ジョシュアの才覚しだいなのだ。
ちなみにギルド推薦や王家スカウトで学園に入学した生徒たちは、学費や教材費は国がバックアップしているので学費・寮費・学園での食費は無料だが、たいていの生徒は消耗品や生活用品のために学園紹介のアルバイトや各種ギルド紹介で学業の合間に仕事を受けている。
準男爵や騎士爵家は金貨5枚~騎士団や学生食堂の雑用。子爵~男爵家は金貨10枚~上位貴族の側付き。伯爵家は金貨20枚。辺境伯や侯爵・公爵家は50~100枚(任意)と年間の学費は家格的差があるのはあたり前なのだ。
『魔導契約書』に記載されたロザリア嬢が用立てた金額。ワーズ伯爵家子息ジョシュアは見事に使い潰している。
これが武具のメンテナンスや騎獣の世話・学業の参考資料などに当てられたならともかく、たいはんが遊興費に使われたのが判明している。
そのあげくに1年の就職留年だ。
そろそろロザリア嬢は自由になって良いのではないかな。
今ひとつロザリア嬢に確認したいコトがある。べつにジョシュア殿に聞いても良いのだが、明確な答えが返ってくるとは思えない。
「ロザリア嬢に一つ確認したいのだが?」
「そちらの契約書の『立ち会い者』になるかは、内容を確認してからでも良いかな?」
「よろしくお願いします」
ロザリアは礼をとって手にした『魔導契約書』をサフィア殿下に差し出しす。
本来なら『魔導契約書』を貴族令嬢個人が保管しているのは異常である。
この会場に『魔導契約書』そのモノを眼にしたことのある者はいないはずだ。
サフィアは王族なので、かろうじて西の辺境伯令嬢リリーナとの婚約の際に眼にしているが、王族と高位貴族の間の契約以外では原則使われるはずはない。
東西の辺境伯は国を守る契約を王家と結んでいる。『魔導契約書』とはそのような場合になされるモノなのだから。
ロザリア嬢とワーズ伯爵子息ジョシュアの婚約は国が関わっていないし、本来なら『魔導契約書』は貴族家当主の保管であるはずだ。
それが未成年の令嬢が手にしているのは普通ではない。
サフィアは緊張と抑えきれぬ好奇心を胸に、『魔導契約書』を開いた。
そこには辺境伯令嬢ロザリアとワーズ伯爵子息ジョシュアの婚約理由と各種契約条件が、こと細かに記されている。
サフィアは学園七不思議の一つと言われてきたロザリア嬢とジョシュアの婚約のナゾを眼にした。
卒業パーティーでナゾが解けるのは、良い思い出やもしれん。
読めば読むほど、ロザリア嬢の有能さとジョシュアの無能さが浮き彫りになる。
ワーズ伯爵家がジョシュアの姉を隣の伯爵領に嫁がせた翌年から、3年にわたり続けざまに天災に見舞われ税の免除と援助を受けており、2年後の三男ジョシュアの学費を準備しきれなかった。
上の子供たちは3人とも学園に入学していたし、ジョシュアも学園に入学する気まんまんなのでワーズ伯爵は頭をかかえた。
親心としては学園に行かせてやりたいが、領主としては領地復興に娘の嫁ぎ先や親しい貴族家から借りたお金の返還を優先すべきだ。
ワーズ伯爵はなやみ隠居している父親に相談したところ、古くからの友人であるロザリア嬢の祖父に話が伝わりアイビー辺境伯へと話は持ち込まれた。
アイビー辺境伯としても尊敬する父の相談にのりたいが、領に何の得るものもなくワーズ伯爵家に出資することはできない。
彼が領主であればこそ、領地のことを考えるのは当然である。
そのことに密かに悩んでいた伯爵に、何時そのことを知ったのかロザリアが相談のカタチで「婚約話」を伝えてきたらしい。
「領と辺境伯の資産で援助しようとするから問題なのではないですか?
辺境伯令嬢のわたくしが、将来の夫となる予定の個人へ個人資産を投資する分には問題ないですよね?
婚約が途中で白紙になったときは、当事者から当事者に金銭の返還義務が生じるようにすればワーズ伯爵家にも当家にも、関連や取引のある方々へもしわ寄せはないのでわありません?」
『魔導契約書』にはアイビー辺境伯とロザリア嬢のやりとり。そして信じがたいロザリア嬢の個人資産の内訳が記されていた。
9年ほど前に設立と同時に複数の『利益登録品』を発表して、ハイスピードで名をなした商会『ワイルドウッド』という商会がある。
食料品から服飾雑貨に魔力を帯びた各種素材まで扱っているのだが、幅広い応用性が短期間で国内に広まった。
防水・防火・防冷・防温効果があり絵や字も書ける特殊な紙は、テント代わりになるは食材の保存も簡単だわで発売当初から売れに売れ今も売れつづけている。
独特のオーロラのような遊色を持つ複数の染料は、皮や繊維。ガラスや陶器をあつかう職人たちがこぞって手を出した。
これらを売り出したのが『ワイルドウッド』商会である。
この商会の福商会頭はリーフ伯爵家の分家スジなのは分かっていたが、商会会頭自身は一度も公に姿を現さないナゾの人物。
そりゃ当然だわ。商会立ち上げた商会会頭が当時5才の辺境伯令嬢なんて明かせないだろう。
それだけの資産があれば、伯爵家令息の学費は出せるだろう。
6年で金貨600枚(通常ほ伯爵家の学費は6年で120枚)一括貸付け、管理はワーズ伯爵が行うこと。金額内のジョシュアの貸付金使用目的にワーズ伯爵は口出ししない。貸付金を減らすも増やすも令息ジョシュアの才覚しだいなのだ。
ちなみにギルド推薦や王家スカウトで学園に入学した生徒たちは、学費や教材費は国がバックアップしているので学費・寮費・学園での食費は無料だが、たいていの生徒は消耗品や生活用品のために学園紹介のアルバイトや各種ギルド紹介で学業の合間に仕事を受けている。
準男爵や騎士爵家は金貨5枚~騎士団や学生食堂の雑用。子爵~男爵家は金貨10枚~上位貴族の側付き。伯爵家は金貨20枚。辺境伯や侯爵・公爵家は50~100枚(任意)と年間の学費は家格的差があるのはあたり前なのだ。
『魔導契約書』に記載されたロザリア嬢が用立てた金額。ワーズ伯爵家子息ジョシュアは見事に使い潰している。
これが武具のメンテナンスや騎獣の世話・学業の参考資料などに当てられたならともかく、たいはんが遊興費に使われたのが判明している。
そのあげくに1年の就職留年だ。
そろそろロザリア嬢は自由になって良いのではないかな。
今ひとつロザリア嬢に確認したいコトがある。べつにジョシュア殿に聞いても良いのだが、明確な答えが返ってくるとは思えない。
「ロザリア嬢に一つ確認したいのだが?」
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