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第2章
① 女神の力
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「仙崎様にはまだ申し上げていないことがございました」
ミノタウロスとの激闘から一週間、私といづなは再び魔界に降り立った。
ぐちゃぐちゃに砕かれた私の両腕が完治して、レベルアップを兼ねてのことだった。
そしていづなは魔王を倒すために必要なことがもう一つあるということで、教会というにはちょっとみすぼらしい祠へ連れてきてくれた。だけど、魔界のまがまがしい赤い空にたたずむそれは、不思議と神聖な空気を漂わせていた。
「どうぞ、お入りください」
私はいづなを信用している。だから迷うことなく祠へ入った。
「これは……」
私はそこに置かれた石像に驚いた。
「これは女神様です」
「女神?」
ミノタウロスとの戦いのときに姿を現したあの女神か……
この石像はあの女神にそっくりだった。
そのおかげで勝てたといえばそうなのだが、秋穂の身体を使っていろいろエッチなことをしたりして、彼女の尊厳をないがしろにしているようで気持ちとして許せないところがある。
いや、それ以前に。
私がこの祠に入って女神像があったところで、それはそれほど不思議な光景でもないので驚いたりするはずはないのだ。
だけど私は驚いた。
それは、その女神像がすっぽんぽんで、しかもなぜかM字開脚して見せびらかすようなポーズだったからだ。
あの女神の顔を知らなかったら、ただの変態的な石像でしかない。
「仙崎様がアスランという名で魔王討伐の冒険をされていた頃、あなたを守護されていたのがこの女神様です」
「そ……そうなのか」
「しかしながら魔王によってその魂を粉々に砕かれ、肉体はこのような石像にされてしまったのです」
聞くところによると、女神が石像にされてしまったことで加護を失ったため、勇者は魔王と相打ちになってしまったのだという。本来であれば確実に魔王を討ち滅ぼせたであろうとのことだった。
「そ……そうなのか」
魔王に魂を砕かれたことは同情に値するが、なぜこのようなポーズをしている瞬間に石化されてしまったのか。むしろそのことに同情の念がわく。
「仙崎様にはぜひ、女神様を復活させていただきたいのです」
「だけど、どうやって?」
「仙崎様が敵を倒したときに光が身体に吸い込まれていったのはご存知だと思います」
「光? ああ、確かに」
魔王の配下を倒すと黒い泡になって消えるとともに、光が現れて私の身体に吸い込まれてゆくのだ。
「あれこそが女神様の粉々になった魂なのです。勇者様と女神様は強い絆で結ばれております。ですので、魔物の中に封じられた魂が解放されると、仙崎様の肉体にひとまず入られるのです」
「魔物の中に封じられた?」
「そうです。女神様の魂は粉々に打ち砕かれた後、この魔界に四散し、魔王の力によってこの世界を満たす≪魔素≫に取り囲まれて魔物の姿に変えられてしまったのです」
「じゃあ、この世界の生き物は……」
「この世界には二通りの生物がいます。古来よりこの魔界で生きている生物。そして、女神様の魂を封じ込めた魔物という生物」
「後者を倒すと、女神の魂が取り戻せると」
「そういうことです」
だけど私は女神にあまりいい印象をもてていない。
つい意地悪な質問をしてしまった。
「でも、この女神を復活させなくても魔王は倒せなくはないんじゃないかな?」
言った後にちょっと後悔した。
「はい、可能です。その場合は女神なしのエンディングとなることでしょう」
まるであの名作RPGの第一作みたいじゃないか!
ということは、女神を復活させて宿屋に泊まると「昨夜はお楽しみでしたね」とか言われるのかな? それはそれで……うしししし……
「私の体内に入っている女神の魂を返せば、女神は復活するのかい?」
「その通りです。しかし、現在取り戻せたのはほんのわずかでしかないでしょう。少しずつ魔物を狩りながら魂を取り戻し、復活させなければなりません」
「じゃあ、魔物を全部倒さないと女神は復活しないということじゃないか」
「これはあくまでも私個人の予想ですが、おそらくは七~八割程度、そこまで魂を取り戻すことができれば、あとは女神様の力によって復活されると考えております」
それはあるかもしれない。
体調が万全でなくとも、八割の力が出せれば自分で何とかできてもいいだろう。
「わかった。では、現在取り戻せている分だけでも女神に返そう」
「ありがとうございます、仙崎様。では、こちらへ」
いづなは私を石像の前まで誘った。
「ここに手を」
いづなが指したその先はM字開脚した中心部、女性のおまたにある穴そのものだった!
「ここに指を突っ込むことで魂をお返しすることができます」
「ええええ? そんなことしなくても、近づいたら勝手に返ったりしないの?」
「残念ながら、女神様は目には見えない薄い膜で覆われた状態になっております。指を突っ込むことでその膜を破って差し上げないと魂は戻らないのです」
ま、膜って!
おじさんはそんなこと聞いたら、いけないことを考えちゃうじゃないか!
「では、仙崎様」
いづなは一切の曇りのない表情で私の次の行動を待った。
「…………!!!」
これではまるっきり変態じゃないか!
石像があって、そのあそこに指突っ込んで喜ぶなんて!!
恥ずかしすぎる!!
……と躊躇はしたものの、私はさっさと穴に指を突っ込んでいた。
もうおっさんだからね。
ぐだぐだ悩むくらいならさっさと仕事した方がいいってね。ある程度の悟りには到達しているのだよ。
物言わぬ石像。
妻にもちょっとしか触らせてもらえなかったあそこの感触は、やはり石のように硬くて冷たかった。
だが、ぐいっと奥に押しやると、何か膜のようなものを感じた。
こいつか、魂が戻るのを妨げているのは。
さらに強く押し込んでやると、べりっと貫通する感触があった。
「うお!?」
突っ込んだ右の肩が光ったかと思うと、そのまま腕を伝って石像の中に光が飛び込んでいった。
直後に石像が光る。
それは一瞬のできごとだった。
「これで魂を返すことができたのかい?」
「はい。女神様が復活すれば仙崎様にも大きな利益があるはずです。可能な限り魂を取り戻していきましょう」
「だけど、その前に魔王が目覚めたらどうするの?」
「その時はその時です」
それから私といづなは外に出て魔物を倒した。
これによってレベルアップができるとともに女神の魂を取り返すことができる。
まさに一石二鳥だ。
「しかし、ここの魔物はかなり強いな!」
「はい、とくにこのどくどくスネークは毒攻撃をしてきますのでお気をつけください!」
「ああ! ……って、うぎゃー!」
巨大な蛇の毒攻撃をまともにくらってしまった。
その蛇をいづなが始末してくれた後に、解毒魔法で助けてくれた。
「すまない、ありがとう」
「仙崎様でなければ死んでいましたね。それほどの猛毒です」
勇者である私は死なないからね。
「この解毒魔法は私自身には効きません」
「なんだって? じゃあ、いづなにはあまりにも危険な戦いになるじゃないか! もしものことがあれば大変だ。ここはひとまず撤退しよう」
「いいえ、ここは現段階で最も効率よくレベルアップできる狩場です。≪神水≫によって解毒ができますのでご安心ください。しかし、これがなくなれば仙崎様の足を引っ張ることになりかねません」
「じゃあ、それがなくなったらすぐに安全な場所に移ろう」
こうしてレベルアップするとともに、取り戻した魂を石像に返すという作業を延々繰り返した。
【名前】 仙崎 幸弘
【職業】 勇者
【レベル】 21*
【HP】 12034
【MP】 7302
【攻撃力】 9845
【守備力】 6345
【素早さ】 97346
【賢さ】 2603
【運の良さ】 48
レベルもかなり上がったし、強敵どくどくスネークもかなり楽に倒せるようになった。まだ油断できるほどじゃないけど。
そしてもう何度やったかわからないが、石像に魂を返す作業だ。
相当やったと思うが、これでもまだ一割も魂を戻せていないだろうとのことだった。
随分と気の遠くなる作業だ。
そして、魂が帰るのを妨げる膜だが、これは一度指を抜くと再生するようで、毎回破るということをしなければならない。
「この膜が、だんだん硬くなってきているような気がするな」
「再生するごとに強くなるようになっているのかもしれません」
「なかなか破れないな。えい、えい!」
私は指を穴に入れたり出したりを繰り返してみたがなかなか破れない。
「もっと高速でやってみてはいかがでしょうか?」
「そうだね」
しゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃか!!!
べりん!!
「おお! 破れた!」
そして、魂が石像に吸い込まれていく。
次の瞬間、私たちは驚いた。
ばっしゅーーー!!
なんと穴から水が噴き出したのである。
うわー、もしかして潮吹きかよ! エロビデオ見てるみたいだ!!
相手が石像なのでこれといった達成感もない。
だが、出てきた水が床に落ちると、紫色のまがまがしい雰囲気の気体が湧き上がって消えていった。
「これは、魔王の呪いの一部では?」
「ということは、復活が近いということかい?」
「いいえ、どう考えてもまだまだ足りないはず。おそらく、それでもかなりの魂が戻されたので、一部の呪いに打ち勝つことができたのではないかと」
てれれってってー♪
『≪潮吹きデトックス≫のスキルを獲得しました』
「な、なんだ?」
「おめでとうございます、仙崎様。スキルを獲得されたようです」
『被毒された女性器を刺激して潮吹きをさせることで、いかなる猛毒でも解毒することができます』
…………うわー、まるでエロのためだけに用意されたようなスキルだな。
「潮吹き……うふふふふ……」
「? いづな、何か言ったかい?」
「いいえ、何も」
いつものクールないづなだった。何か笑っていたような気がしたけど。
そして再びレベルアップを目指して魔物たちを皆殺しにしていった。
「きゃあ!!」
「いづな!!」
あれだけ注意していたというのに、いづながどくどくスネークの毒攻撃を受けてしまった。
「くそ!」
近くにいる敵を殲滅してからいづなに駆け寄る。
「ご……ご安心ください。≪神水≫で解毒するくらいの余裕はございます」
とはいえ、結構息が荒いぞ。
「あ!」
手が震えたせいなのか、≪神水≫が入った水筒をいづなは倒してしまい、中のすべてが地面に吸い込まれてしまった。
なんかわざとっぽかったけど。
「申し訳ありません。こうなったら仙崎様に解毒をしていただかないと」
「だ、だけど……!」
「私もお役目を果たす前に死ぬわけにはまいりません。お願いいたします」
そういっていづなは巫女服の袴を脱ぎ捨てた。
女の子の大事なところが露わになる。
「≪潮吹きデトックス≫をお願いいたします!」
うわー、若い女の子にそんなことできないよ!
だけど、彼女の命がかかっている。
「早く、ぐふうっ!!」
いづなが苦しんでいる。迷っている暇はない。だけど、「ぐふうっ」が笑いをこらえているようにも聞こえたんだよな。
「早く♡ 早く♡ 早く♡」
「ああ、わかった」
私は手を宛がおうとした。
「あれ?」
何か様子がおかしい。
「いづなは毒にやられてないんじゃない?」
「そ、そんなバカな!! 私は今確かに毒攻撃を受けて!」
だけど、ピンピンしている。
はっと気づいたいづながステータスを確認する。
『≪毒耐性S≫を獲得しました。ほとんどの毒攻撃を無効化できます』
「…………」
「よ……よかったじゃないか、いづな」
「ちっ」
なぜかいづなは毒づいていた。
ミノタウロスとの激闘から一週間、私といづなは再び魔界に降り立った。
ぐちゃぐちゃに砕かれた私の両腕が完治して、レベルアップを兼ねてのことだった。
そしていづなは魔王を倒すために必要なことがもう一つあるということで、教会というにはちょっとみすぼらしい祠へ連れてきてくれた。だけど、魔界のまがまがしい赤い空にたたずむそれは、不思議と神聖な空気を漂わせていた。
「どうぞ、お入りください」
私はいづなを信用している。だから迷うことなく祠へ入った。
「これは……」
私はそこに置かれた石像に驚いた。
「これは女神様です」
「女神?」
ミノタウロスとの戦いのときに姿を現したあの女神か……
この石像はあの女神にそっくりだった。
そのおかげで勝てたといえばそうなのだが、秋穂の身体を使っていろいろエッチなことをしたりして、彼女の尊厳をないがしろにしているようで気持ちとして許せないところがある。
いや、それ以前に。
私がこの祠に入って女神像があったところで、それはそれほど不思議な光景でもないので驚いたりするはずはないのだ。
だけど私は驚いた。
それは、その女神像がすっぽんぽんで、しかもなぜかM字開脚して見せびらかすようなポーズだったからだ。
あの女神の顔を知らなかったら、ただの変態的な石像でしかない。
「仙崎様がアスランという名で魔王討伐の冒険をされていた頃、あなたを守護されていたのがこの女神様です」
「そ……そうなのか」
「しかしながら魔王によってその魂を粉々に砕かれ、肉体はこのような石像にされてしまったのです」
聞くところによると、女神が石像にされてしまったことで加護を失ったため、勇者は魔王と相打ちになってしまったのだという。本来であれば確実に魔王を討ち滅ぼせたであろうとのことだった。
「そ……そうなのか」
魔王に魂を砕かれたことは同情に値するが、なぜこのようなポーズをしている瞬間に石化されてしまったのか。むしろそのことに同情の念がわく。
「仙崎様にはぜひ、女神様を復活させていただきたいのです」
「だけど、どうやって?」
「仙崎様が敵を倒したときに光が身体に吸い込まれていったのはご存知だと思います」
「光? ああ、確かに」
魔王の配下を倒すと黒い泡になって消えるとともに、光が現れて私の身体に吸い込まれてゆくのだ。
「あれこそが女神様の粉々になった魂なのです。勇者様と女神様は強い絆で結ばれております。ですので、魔物の中に封じられた魂が解放されると、仙崎様の肉体にひとまず入られるのです」
「魔物の中に封じられた?」
「そうです。女神様の魂は粉々に打ち砕かれた後、この魔界に四散し、魔王の力によってこの世界を満たす≪魔素≫に取り囲まれて魔物の姿に変えられてしまったのです」
「じゃあ、この世界の生き物は……」
「この世界には二通りの生物がいます。古来よりこの魔界で生きている生物。そして、女神様の魂を封じ込めた魔物という生物」
「後者を倒すと、女神の魂が取り戻せると」
「そういうことです」
だけど私は女神にあまりいい印象をもてていない。
つい意地悪な質問をしてしまった。
「でも、この女神を復活させなくても魔王は倒せなくはないんじゃないかな?」
言った後にちょっと後悔した。
「はい、可能です。その場合は女神なしのエンディングとなることでしょう」
まるであの名作RPGの第一作みたいじゃないか!
ということは、女神を復活させて宿屋に泊まると「昨夜はお楽しみでしたね」とか言われるのかな? それはそれで……うしししし……
「私の体内に入っている女神の魂を返せば、女神は復活するのかい?」
「その通りです。しかし、現在取り戻せたのはほんのわずかでしかないでしょう。少しずつ魔物を狩りながら魂を取り戻し、復活させなければなりません」
「じゃあ、魔物を全部倒さないと女神は復活しないということじゃないか」
「これはあくまでも私個人の予想ですが、おそらくは七~八割程度、そこまで魂を取り戻すことができれば、あとは女神様の力によって復活されると考えております」
それはあるかもしれない。
体調が万全でなくとも、八割の力が出せれば自分で何とかできてもいいだろう。
「わかった。では、現在取り戻せている分だけでも女神に返そう」
「ありがとうございます、仙崎様。では、こちらへ」
いづなは私を石像の前まで誘った。
「ここに手を」
いづなが指したその先はM字開脚した中心部、女性のおまたにある穴そのものだった!
「ここに指を突っ込むことで魂をお返しすることができます」
「ええええ? そんなことしなくても、近づいたら勝手に返ったりしないの?」
「残念ながら、女神様は目には見えない薄い膜で覆われた状態になっております。指を突っ込むことでその膜を破って差し上げないと魂は戻らないのです」
ま、膜って!
おじさんはそんなこと聞いたら、いけないことを考えちゃうじゃないか!
「では、仙崎様」
いづなは一切の曇りのない表情で私の次の行動を待った。
「…………!!!」
これではまるっきり変態じゃないか!
石像があって、そのあそこに指突っ込んで喜ぶなんて!!
恥ずかしすぎる!!
……と躊躇はしたものの、私はさっさと穴に指を突っ込んでいた。
もうおっさんだからね。
ぐだぐだ悩むくらいならさっさと仕事した方がいいってね。ある程度の悟りには到達しているのだよ。
物言わぬ石像。
妻にもちょっとしか触らせてもらえなかったあそこの感触は、やはり石のように硬くて冷たかった。
だが、ぐいっと奥に押しやると、何か膜のようなものを感じた。
こいつか、魂が戻るのを妨げているのは。
さらに強く押し込んでやると、べりっと貫通する感触があった。
「うお!?」
突っ込んだ右の肩が光ったかと思うと、そのまま腕を伝って石像の中に光が飛び込んでいった。
直後に石像が光る。
それは一瞬のできごとだった。
「これで魂を返すことができたのかい?」
「はい。女神様が復活すれば仙崎様にも大きな利益があるはずです。可能な限り魂を取り戻していきましょう」
「だけど、その前に魔王が目覚めたらどうするの?」
「その時はその時です」
それから私といづなは外に出て魔物を倒した。
これによってレベルアップができるとともに女神の魂を取り返すことができる。
まさに一石二鳥だ。
「しかし、ここの魔物はかなり強いな!」
「はい、とくにこのどくどくスネークは毒攻撃をしてきますのでお気をつけください!」
「ああ! ……って、うぎゃー!」
巨大な蛇の毒攻撃をまともにくらってしまった。
その蛇をいづなが始末してくれた後に、解毒魔法で助けてくれた。
「すまない、ありがとう」
「仙崎様でなければ死んでいましたね。それほどの猛毒です」
勇者である私は死なないからね。
「この解毒魔法は私自身には効きません」
「なんだって? じゃあ、いづなにはあまりにも危険な戦いになるじゃないか! もしものことがあれば大変だ。ここはひとまず撤退しよう」
「いいえ、ここは現段階で最も効率よくレベルアップできる狩場です。≪神水≫によって解毒ができますのでご安心ください。しかし、これがなくなれば仙崎様の足を引っ張ることになりかねません」
「じゃあ、それがなくなったらすぐに安全な場所に移ろう」
こうしてレベルアップするとともに、取り戻した魂を石像に返すという作業を延々繰り返した。
【名前】 仙崎 幸弘
【職業】 勇者
【レベル】 21*
【HP】 12034
【MP】 7302
【攻撃力】 9845
【守備力】 6345
【素早さ】 97346
【賢さ】 2603
【運の良さ】 48
レベルもかなり上がったし、強敵どくどくスネークもかなり楽に倒せるようになった。まだ油断できるほどじゃないけど。
そしてもう何度やったかわからないが、石像に魂を返す作業だ。
相当やったと思うが、これでもまだ一割も魂を戻せていないだろうとのことだった。
随分と気の遠くなる作業だ。
そして、魂が帰るのを妨げる膜だが、これは一度指を抜くと再生するようで、毎回破るということをしなければならない。
「この膜が、だんだん硬くなってきているような気がするな」
「再生するごとに強くなるようになっているのかもしれません」
「なかなか破れないな。えい、えい!」
私は指を穴に入れたり出したりを繰り返してみたがなかなか破れない。
「もっと高速でやってみてはいかがでしょうか?」
「そうだね」
しゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃか!!!
べりん!!
「おお! 破れた!」
そして、魂が石像に吸い込まれていく。
次の瞬間、私たちは驚いた。
ばっしゅーーー!!
なんと穴から水が噴き出したのである。
うわー、もしかして潮吹きかよ! エロビデオ見てるみたいだ!!
相手が石像なのでこれといった達成感もない。
だが、出てきた水が床に落ちると、紫色のまがまがしい雰囲気の気体が湧き上がって消えていった。
「これは、魔王の呪いの一部では?」
「ということは、復活が近いということかい?」
「いいえ、どう考えてもまだまだ足りないはず。おそらく、それでもかなりの魂が戻されたので、一部の呪いに打ち勝つことができたのではないかと」
てれれってってー♪
『≪潮吹きデトックス≫のスキルを獲得しました』
「な、なんだ?」
「おめでとうございます、仙崎様。スキルを獲得されたようです」
『被毒された女性器を刺激して潮吹きをさせることで、いかなる猛毒でも解毒することができます』
…………うわー、まるでエロのためだけに用意されたようなスキルだな。
「潮吹き……うふふふふ……」
「? いづな、何か言ったかい?」
「いいえ、何も」
いつものクールないづなだった。何か笑っていたような気がしたけど。
そして再びレベルアップを目指して魔物たちを皆殺しにしていった。
「きゃあ!!」
「いづな!!」
あれだけ注意していたというのに、いづながどくどくスネークの毒攻撃を受けてしまった。
「くそ!」
近くにいる敵を殲滅してからいづなに駆け寄る。
「ご……ご安心ください。≪神水≫で解毒するくらいの余裕はございます」
とはいえ、結構息が荒いぞ。
「あ!」
手が震えたせいなのか、≪神水≫が入った水筒をいづなは倒してしまい、中のすべてが地面に吸い込まれてしまった。
なんかわざとっぽかったけど。
「申し訳ありません。こうなったら仙崎様に解毒をしていただかないと」
「だ、だけど……!」
「私もお役目を果たす前に死ぬわけにはまいりません。お願いいたします」
そういっていづなは巫女服の袴を脱ぎ捨てた。
女の子の大事なところが露わになる。
「≪潮吹きデトックス≫をお願いいたします!」
うわー、若い女の子にそんなことできないよ!
だけど、彼女の命がかかっている。
「早く、ぐふうっ!!」
いづなが苦しんでいる。迷っている暇はない。だけど、「ぐふうっ」が笑いをこらえているようにも聞こえたんだよな。
「早く♡ 早く♡ 早く♡」
「ああ、わかった」
私は手を宛がおうとした。
「あれ?」
何か様子がおかしい。
「いづなは毒にやられてないんじゃない?」
「そ、そんなバカな!! 私は今確かに毒攻撃を受けて!」
だけど、ピンピンしている。
はっと気づいたいづながステータスを確認する。
『≪毒耐性S≫を獲得しました。ほとんどの毒攻撃を無効化できます』
「…………」
「よ……よかったじゃないか、いづな」
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なぜかいづなは毒づいていた。
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