45 / 228
第三章 〜魔力覚醒 / 陰謀〜
41. 邪術
しおりを挟む「さて、グラディス。君に頼みがある。下級精霊達に呪いの解呪が可能か聞いてもらっても良いかな?」
ジルが頼むとグラディスは頷き、ヴィオラ達に近づいて下級精霊達の方に向き合った。2人がグラディスに触れると精霊達がグラディスの周りを飛び交ってしきりに何かを伝えているような姿が見えた。
しばらくして話が終わったのか、グラディスがジルの元に戻り、屈んでいる彼と視線を合わせる。
グラディスは一言も発していないのだがジルは相槌を打って時折険しい顔をし、「マジか」と呟いたりしている。
どうやら念話で会話をしているらしい。
そして一通り会話が終わったのか、ジルが「わかった」と答えるとグラディスは再びジルの影の中へ消えていった。
「ジル、アイツらなんだって?」
レオンハルトがジルに尋ねる。
「そうですね。良い話と悪い話があるのですが、どちらから聞きます?」
「良い話から聞こうか」
「まず、呪いの解呪は可能です」
「本当か!それは良かった」
「解呪・・・可能・・・」
クリスフォードが噛み締めるようにそう呟き、一瞬泣きそうに眉を歪めた。安堵したのだろう。
「呪いの魔法陣は既に壊れかけているので僕の消滅魔法で魔法陣を消せば解呪出来るらしいです。ただ、やはりどうしても魔力暴走は起こしてしまうみたいで・・・」
「何!?それが防げないと本末転倒だろ!」
レオンハルト曰く、昨日の鑑定魔法の結果、ヴィオラ達の魔力量は10歳の時点で測定不能と出ており、数値が未知数なので2人が同時に魔力暴走を起こしたら、今宿泊している宿を含めた近隣の土地が一瞬で消し飛ぶくらいの威力があるのでは。という見立てだった。
だから自分達の命を守るのはもちろん、周りの被害を抑えるためにもどうにかして暴走を止めなければならないのだと。
自分達にそんな力を持っている実感は全くないが、暴走によって自分どころか周りの人間も死に至らしめる可能性があると言われては、震え上がるほど恐怖を感じても仕方ないだろう。
「話は最後まで聞いて下さい。それに関しては精霊の力を借りれるそうです。今は魔力封じで力を使えないけど、2人の魔力が解放されれば精霊達が干渉できるらしいんで、解呪した直後に彼らが2人を守ってくれるそうですよ」
精霊達が守る・・・?
(さっきの子達が守ってくれるの──?)
思わずクリスフォードに顔を向ける。ヴィオラの視線に気づいたクリスフォードも視線を合わせ、笑顔を向けてくれた。
(私達・・・生きられるの?)
ヴィオラ達の胸に僅かな希望が湧く。
「本当なのか?精霊達が・・・助けてくれるのか?」
エイダンも念押しとばかりにジルに確認を取る。
「ええ。ただここからは少し厄介な話になります。まず、そもそも呪いの術というのは魔法ではなくて神術の一つなんです。だから本来なら解呪出来ないんですよ。神の力なので」
「呪いが神術?」
「ええ。まあわかりやすくいうと天罰とか、そんな類いのものです。我が国は多宗教国家なので色々な神が信仰されています。その中で国が危険視している宗教があり、それが今回貴方の子供達に降りかかった呪いの原因でもあります」
「呪いの原因?」
「邪神教をご存知ですか?」
「いや、初めて聞いた」
「まあ文字通り邪神を信仰している民族なんですけどね、その彼らが扱う神術こそが『邪術』と呼ばれる呪いです。彼らには先の戦争や内乱でもかなり苦しめられましてね。貴方の子供達にかけられた呪いもその邪術によるものだと思われます」
レオンハルトとジルとの出会いで知らされる数々の情報に、クリスフォードも頭が混乱せざるを得なかった。
わからないことが多すぎる。
邪術──。
本来なら解呪できない呪い。
それが何故綻びが出来たのか。
何故自分達に測定不能な魔力が授けられたのか。
何故精霊が自分達を守ってくれるのか。
何故ヴィオラは前世を思い出したのか。
一見繋がってなさそうで、繋がっている。
全てが誰かに糸を引かれている。
クリスフォードはそんな気がしてならなかった。
(これから一体何が起きるんだ・・・)
263
あなたにおすすめの小説
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】
白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語
※他サイトでも投稿中
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)
もう我慢したくないので自由に生きます~一夫多妻の救済策~
岡暁舟
恋愛
第一王子ヘンデルの妻の一人である、かつての侯爵令嬢マリアは、自分がもはや好かれていないことを悟った。
「これからは自由に生きます」
そう言い張るマリアに対して、ヘンデルは、
「勝手にしろ」
と突き放した。
母と妹が出来て婚約者が義理の家族になった伯爵令嬢は・・
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
全てを失った伯爵令嬢の再生と逆転劇の物語
母を早くに亡くした19歳の美しく、心優しい伯爵令嬢スカーレットには2歳年上の婚約者がいた。2人は間もなく結婚するはずだったが、ある日突然単身赴任中だった父から再婚の知らせが届いた。やがて屋敷にやって来たのは義理の母と2歳年下の義理の妹。肝心の父は旅の途中で不慮の死を遂げていた。そして始まるスカーレットの受難の日々。持っているものを全て奪われ、ついには婚約者と屋敷まで奪われ、住む場所を失ったスカーレットの行く末は・・・?
※ カクヨム、小説家になろうにも投稿しています
お言葉を返すようですが、私それ程暇人ではありませんので
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<あなた方を相手にするだけ、時間の無駄です>
【私に濡れ衣を着せるなんて、皆さん本当に暇人ですね】
今日も私は許婚に身に覚えの無い嫌がらせを彼の幼馴染に働いたと言われて叱責される。そして彼の腕の中には怯えたふりをする彼女の姿。しかも2人を取り巻く人々までもがこぞって私を悪者よばわりしてくる有様。私がいつどこで嫌がらせを?あなた方が思う程、私暇人ではありませんけど?
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
あなたの姿をもう追う事はありません
彩華(あやはな)
恋愛
幼馴染で二つ年上のカイルと婚約していたわたしは、彼のために頑張っていた。
王立学園に先に入ってカイルは最初は手紙をくれていたのに、次第に少なくなっていった。二年になってからはまったくこなくなる。でも、信じていた。だから、わたしはわたしなりに頑張っていた。
なのに、彼は恋人を作っていた。わたしは婚約を解消したがらない悪役令嬢?どう言うこと?
わたしはカイルの姿を見て追っていく。
ずっと、ずっと・・・。
でも、もういいのかもしれない。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる