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おれは生まれてすぐ兄ちゃんといっしょにゼンゾーってじーちゃんに引き取られた。
おれの親はおれを生んですぐ死んじゃったらしいけどおれには記憶がない。べつにそれでもよかった。じーちゃんの店のみんながいたし。
それに最近は、おれに新しく友達ができたしな。
「来たぞユキー」
「うるせぇ、べつにおれは待ってなんかないぞ、バカナツキ!」
「えー、そんな寂しいことゆーなよ」
口を尖らせるナツキは年上のくせにヘンなところがいっぱいだ。かけっこはおれのほうが速いし、服もオレのほうがうまくたためるし、片付けだっておれのほうができる。でも料理はナツキのほうがうまい。
でもナツキはあったかくて、太陽みたいで、いっしょにいるとすごく楽しい。ナツキといるとたまに胸がいたくなったり体があつくなったりヘンになるけど、おれはナツキが大好きだ。
恥ずかしいから絶対に大好きなんて言ってやんないけど。
「あら、夏希。来てたの」
「槙さん!」
「マキせんせー!」
さいきんやって来たマキ先生は、優しくてみんなに大人気の先生だ。先生はみんな好きだけどその中でもおれはマキ先生が一番好きだ。
ナツキはマキ先生とも仲がよくて、ナツキがこの保育園に来るようになったのもマキ先生がここに来たからだ。
「いつもの時間に来ないから、今日はてっきり来ないんじゃないかと思ったわ」
「それがさ、バスケの助っ人がどーしても足りなかったらしくって」
「相変わらず人気者ね。部活はもうしないの?」
「うん。部活やってたら、ここ来てユキに会う時間減っちゃうしな」
「っ?!」
ほら、まただ。体がすごくあつい。
「あら、二人とも仲良しね」
「仲良しだぞー」
「な、仲良くねぇよ!!」
嬉しいけど恥ずかしくて、どうしていいかわからなくなってしゃがんで頭をなでてくるナツキの足を蹴った。ナツキは笑ってる。蹴っても全然きいてない……。
そういえばナツキとおれは年が離れてるんだった。ナツキは16才なのにおれはまだ6才だ……なんだかもやもやしてきた。
ムッとしてナツキを見上げるとナツキはおれの大好きな笑顔で言った。
「よし、ユキ。遊ぶか!」
「し、しょうがねぇな!!」
今はすっごい暗くておれの他に誰もいない。いつもだったらみんながまだいるときにナツキが来るからあんまり遊べないけど、兄ちゃんが迎えに来るのは一番最後だからそれまでナツキと二人で遊べる。
ちょっと前まではおそくまで一人でさびしかったけど、今はナツキがいるしもうちょっと遅くてもいいのにって思ってる。
そしたらその分ナツキと遊べるのに。
「こんちわー」
兄ちゃんの声がする。
おれは兄ちゃんに駆け寄った。
「兄ちゃん!」
「よ、ユキ。良い子にしてたか?」
「うん!」
兄ちゃんがおれの頭をなでてくる。ナツキに撫でられたときみたいに体があつくなったりはしないけど、おれは兄ちゃんになでられるのが大好きだ。
「祐二君お迎えご苦労様」
マキ先生が兄ちゃんに声をかけると、兄ちゃんは嬉しそうに笑った。
「いえいえ。マキ先生に会えますからね! そうだマキ先生、今度……」
「ごめんなさいね」
兄ちゃんががっくりとしている。兄ちゃんはいつも女の人をくどく。ざまあみろ、だ。
「お、祐二先輩!」
「ああ、夏希か。いつもわりぃな」
「別に良いっすよ」
前に兄ちゃんがナツキはコウハイだっていってた。おんなじ学校だって。
ナツキが楽しそうに笑っててうれしい……ような。でも、なんだか胸がいたくなってナツキに抱きついた。
「ユキー? どうしたんだ?」
ナツキがおれの顔を見てにっこりと笑う。ちがうんだ、そうじゃないんだ。
おれは前、兄ちゃんがナツキに抱きついてたところをみたことがある。そのときのナツキは嬉しそうに笑ってて、顔が赤くて、すごくかわいかった。でも、すごく胸がいたくてつらかった。
おれも、あれをみたい。あれをみたいのに……でも、ナツキはぜんぜん見せてくれない。
おれはナツキにぎゅっと抱きついた。
「……なんでもねぇ」
おれの親はおれを生んですぐ死んじゃったらしいけどおれには記憶がない。べつにそれでもよかった。じーちゃんの店のみんながいたし。
それに最近は、おれに新しく友達ができたしな。
「来たぞユキー」
「うるせぇ、べつにおれは待ってなんかないぞ、バカナツキ!」
「えー、そんな寂しいことゆーなよ」
口を尖らせるナツキは年上のくせにヘンなところがいっぱいだ。かけっこはおれのほうが速いし、服もオレのほうがうまくたためるし、片付けだっておれのほうができる。でも料理はナツキのほうがうまい。
でもナツキはあったかくて、太陽みたいで、いっしょにいるとすごく楽しい。ナツキといるとたまに胸がいたくなったり体があつくなったりヘンになるけど、おれはナツキが大好きだ。
恥ずかしいから絶対に大好きなんて言ってやんないけど。
「あら、夏希。来てたの」
「槙さん!」
「マキせんせー!」
さいきんやって来たマキ先生は、優しくてみんなに大人気の先生だ。先生はみんな好きだけどその中でもおれはマキ先生が一番好きだ。
ナツキはマキ先生とも仲がよくて、ナツキがこの保育園に来るようになったのもマキ先生がここに来たからだ。
「いつもの時間に来ないから、今日はてっきり来ないんじゃないかと思ったわ」
「それがさ、バスケの助っ人がどーしても足りなかったらしくって」
「相変わらず人気者ね。部活はもうしないの?」
「うん。部活やってたら、ここ来てユキに会う時間減っちゃうしな」
「っ?!」
ほら、まただ。体がすごくあつい。
「あら、二人とも仲良しね」
「仲良しだぞー」
「な、仲良くねぇよ!!」
嬉しいけど恥ずかしくて、どうしていいかわからなくなってしゃがんで頭をなでてくるナツキの足を蹴った。ナツキは笑ってる。蹴っても全然きいてない……。
そういえばナツキとおれは年が離れてるんだった。ナツキは16才なのにおれはまだ6才だ……なんだかもやもやしてきた。
ムッとしてナツキを見上げるとナツキはおれの大好きな笑顔で言った。
「よし、ユキ。遊ぶか!」
「し、しょうがねぇな!!」
今はすっごい暗くておれの他に誰もいない。いつもだったらみんながまだいるときにナツキが来るからあんまり遊べないけど、兄ちゃんが迎えに来るのは一番最後だからそれまでナツキと二人で遊べる。
ちょっと前まではおそくまで一人でさびしかったけど、今はナツキがいるしもうちょっと遅くてもいいのにって思ってる。
そしたらその分ナツキと遊べるのに。
「こんちわー」
兄ちゃんの声がする。
おれは兄ちゃんに駆け寄った。
「兄ちゃん!」
「よ、ユキ。良い子にしてたか?」
「うん!」
兄ちゃんがおれの頭をなでてくる。ナツキに撫でられたときみたいに体があつくなったりはしないけど、おれは兄ちゃんになでられるのが大好きだ。
「祐二君お迎えご苦労様」
マキ先生が兄ちゃんに声をかけると、兄ちゃんは嬉しそうに笑った。
「いえいえ。マキ先生に会えますからね! そうだマキ先生、今度……」
「ごめんなさいね」
兄ちゃんががっくりとしている。兄ちゃんはいつも女の人をくどく。ざまあみろ、だ。
「お、祐二先輩!」
「ああ、夏希か。いつもわりぃな」
「別に良いっすよ」
前に兄ちゃんがナツキはコウハイだっていってた。おんなじ学校だって。
ナツキが楽しそうに笑っててうれしい……ような。でも、なんだか胸がいたくなってナツキに抱きついた。
「ユキー? どうしたんだ?」
ナツキがおれの顔を見てにっこりと笑う。ちがうんだ、そうじゃないんだ。
おれは前、兄ちゃんがナツキに抱きついてたところをみたことがある。そのときのナツキは嬉しそうに笑ってて、顔が赤くて、すごくかわいかった。でも、すごく胸がいたくてつらかった。
おれも、あれをみたい。あれをみたいのに……でも、ナツキはぜんぜん見せてくれない。
おれはナツキにぎゅっと抱きついた。
「……なんでもねぇ」
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