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第1章
夢
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これは夢だ。
小さい頃から見る夢。
空をも焦がす炎が幾重にも上がり
その黒煙が人々を包み込み1人、またひとりと
視界に映るのはそんな光景
周りには見覚えのない人たちの死体の山がいくつもある。
この夢の中で俺は.........
「うぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ただ泣き叫んでいた。そしていろんな感情が俺の中で渦巻いている
絶望、悲しみ、怒り......。
なんでこんな感情が俺を支配しているのかは全くわからない。
ただ言えることはひとつ。
これは夢なんだ。そう...いつもここで目が覚める。
(.........ジャ.........ヨ............ヤ)
え?今どこからか声がしたような気がした。
(.........目覚め.........だ。きょ......)
なんなんだこの声は...。いままでにこんなこと1度も...あぁだめだ目が覚める。
(待って...からね.........時が来た......恭夜)
ピピピッピピピッ
「............。はぁ...またあの夢か。でも何か今日はちょっと違ったような?まぁいいか。」
俺は布団から出て朝の支度をしてリビングに向かった。
「母さんおはよ、朝飯何かな?」
「あら、恭ちゃん。今日は焼き魚と........。んーと?恭ちゃん?熱でもあるの?」
「人が早起きしたら病気扱いですか...。いやあのな...母さん...」
「お母さんおはよー、今日は朝練ないから朝ごはん食べてくね!」
「おぉ唯。おはよーさん」
「あ、おはよ、恭に.........え!?あんた誰!?」
「何を馬鹿なことを唯のお兄ちゃんだろ?」
「いやいやいやいやっ!あたしのお兄ちゃんがこんな時間に起きてるはずないもん!?あの万年寝坊する人が今!この時間!起きてるはずが!しかもあたしよりも早いはずは断じてないのよ!?ってなわけで、あんたは誰なの??」
「なぁ...母さんもそうなんだが俺が早起きしちゃダメなのか?!そんなに変か?!さも俺が早起きしたら世界が滅亡するみたいな顔しやがってっ!」
「あーごめんてば。で?超絶め・ず・ら・く!早起きだけど恭にぃもしかして......とうとう遥さんに告白したの?!それで返事が待ち遠しくて早起きした的な?なら早くそーいえばいいのに♪」
「あらあら唯ちゃん?恭ちゃんは今日入学式なのよ?だから友達できるのか心配で緊張して早起きしたのよ。ね?恭ちゃん」
「うーん。この母親にしてこの娘って感じなのね...。いちいち突っ込む方が体力の無駄だったわ...違げーよ。また...あの夢を見たんだ」
「恭ちゃん......それって......」
「恭にぃ...大丈夫なの?」
母さんと唯は知ってるのだ。俺が小さい頃から見てるあの夢を...。
と言うより俺が話したんだ。あの地獄の光景を
自分が知らないその地獄のようなその場所で周りにはいくつもの死体の山。見覚えのない街が燃え、空を焦がす...そんな絶望的な夢を家族に話したのだ。
当日まだ俺が7歳の時、両親が心配していろんな病院の門を叩いたが解決には及ばなく、夢を研究している専門家にも話をしたがそれでも結局何も変わらなかった。
そもそも俺の夢が異質なのだ...。
専門家が言っていたが、普通なら夢の中での出来事で感触を感じてもそれを起きた時に覚えてるはずがないのだ
それを俺の夢は......むせ返るほどの死臭、喉を焼く熱風、肌をなでる風。そのすべてを体が覚えているのだ。
「まぁ流石に10年以上も見続けてたらなれるよ。小さい頃はそりゃ怖かったけどな」
「恭ちゃんがそう言うならいいんだけど...」
「ま、それはそうと早く朝飯食べたいな。んで母さん?」
「どうしたの恭ちゃん?」
「家の中こんなに煙たかったっけ?」
「............はっ!?いけない焼き魚が!?どどどどうしよう恭ちゃん!?」
「はぁ...焼き魚はなんとかうまく処理しとくから母さんは今にも吹きこぼれそうなその鍋の火を消してくれる?」
「え?ふきこぼ......あぁ!?お味噌汁が!?」
..................。
そう、わが神代家の母上さま
神代弥知花は超がつくド天然なのだ。
「はぁ...。なんで私はこんなに家事が苦手なのかしら......恭ちゃん、唯ちゃんごめんね?」
「お母さん気にしないで!いつもの事だから平気だよ!」
「う、うわぁぁぁん。唯ちゃぁぁんひどいよぉぉぉ」
「え?......えっ?!あ、あたしなんか変なこと言った?」
「あーうん。あえてもう1度いうことはないとは思うが...。やっぱ親子なんだよなぁ」
と俺はこの何気ない家族の団欒を笑って母さんを慰めながら
「ま、入学式当日にたまたま早起き出来たしまだ時間はあるから俺が何とかするよ」
今日、俺は私立月敬院法天寺学園に入学するのだ。
「恭にぃがあの月寺学園に入学かぁ。あ、恭にぃ?間違っても神代家の名前を汚さないようにしてね!あたしも来年はその高校に入ろうって決めてるんだから!」
「へいへーい。ってか唯はそんまんま高等部に行けばよくね?修学旅行は海外に行ったり、噂では著名人が講師で来てくれるとかなんとか。それに各教室にはエアコン完備なんだろ?偏差値だって今の学校の方が圧倒的にいいんだし、こっちに来る必要あるか?」
妹の唯は中高一貫の学校に通っていてそこはまぁ属にいうエリート学校なのだ
偏差値は中学の時点でそこらへんの高校より普通に高く、高等部に上がるころには近隣の大学なら余裕で入れるレベルという超高レベル学校なわけだ。
「だってうちの学校の制服そんな可愛くないんだもん!それに比べて月寺学園の制服の可愛さはこのへんじゃとても有名なの!」
そう、制服が可愛いかどうかといだけで平気で今の地位を捨てれるこの我が妹こそ
神代唯なのだ。
「それはそうと月寺学園って月敬院法天寺学園のことだよな?なんでそんな訳し方なんだ?」
「恭にぃ知らないの?月敬院法天寺学園なんて長いから学園公認で月寺学園って呼ばれてんのよ」
「はぁさいですか。長ったらしいとは俺も思ってたけど学園公認なら最初からそっちにすりゃいいのに」
「はいはい恭ちゃん!入学式そうそう遅刻なんて不良しないようにそろそろご飯食べなさい」
「はいよ母さん。唯も早く食っちまえよ?」
「はーい」
こんな何気ない光景が俺は好きだ
母さんが居て、唯がいて......
「なぁ、父さんってまだ帰ってくるとか連絡ないの?入学式だってのに」
「うーん。ほら、たっくんってば風来坊じゃない?だからお母さんどこに居るのかもわからないのよ...。まぁあの人のそんな自由気ままなとこに惚れたのよね♪あぁ出会いを思い出すと......」
母さんが自分の世界に入って身悶えながら
昔の父さんの話をしてる
たっくんとは言わずとも俺の父さん
神代拓哉のことだ。
ほとんど家には帰ってこず、おまけに出先ですぐにケータイを無くすから連絡もつかない
かと思ってると手紙で現状を知らせてくるなど
かなりの風来坊っぷりなのだ
「まぁ父さん帰ってきたら一緒に入学式来てくれよ。保護者の受付時間まで余裕あるし手紙を読んでれば今日が入学式だってわかってるはずだし」
と朝飯を食べ終わって母さんにそう言って
部屋に戻ろうと席を立ち上がる時に
「あ、そうそう恭にぃ?」
「ん?」
「今日っておじいちゃんとこ行く日だっけ?あたし朝練は無いんだけど学校終ったら部活あるから今日はちょっと行けないかも」
「唯が行けないならしかたねーよ。母さんは来るんだろ?」
「んーそれがね、母さんも今日は忙しくてまた日を改めようかなって」
「あー了解。なら一応入学の報告がてら、じいちゃんとこ行ってくるから俺もちょっと帰り遅くなるわ」
「はいはい。気をつけて行ってくるのよ?隣町なんだからバスを乗り間違えないようにね?」
「そこまでガキじゃねーんだから、そんな心配しなくて大丈夫だよ」
とそう言って部屋に戻り
荷物を持って玄関に向かった
「恭ちゃん、忘れ物ない?大丈夫?」
「だから母さん大丈夫だって、一応昨日も確認したしな」
「恭にぃ!絶対学園では問題起こさないでね!来年はあたしもそこに入学するんだから!」
「へいへーい。んじゃ行ってきます」
玄関を開けたと同時、それを狙ったかのように風が家に入り込んできた。
「恭にぃ気をつけてね!」
そんな声をかけられて、あぁ大丈夫って言おうと振り返ったらとんでもないものが目に写った。
「......。なぁ唯?」
「どうしたの恭にぃ?」
「ピンク?」
「え?ピンクってなにが?」
言わなきゃダメなんだろうか...。
別に妹を意識したわけじゃない
決してそんなやましいことは微塵も思ってない
が振り返った先にその光景が広がっているのだ
今もなお......。
わかるだろ?俺だっていくら妹の......まぁこれ以上はいわなくてもお前らならわかるだろ?
「あのな。落ち着いて聞いてくれよ?まず先に言っておくがこれは事故だぞ?俺は悪くないしたまたまだ。分かったか?」
「だからなにがよ?はっきり言ってよ」
「では遠慮なく。ごほん......パンツの色がピンクなんだなって」
「え?!なんで恭にぃがあたしのパンツの色をしって......」
そして唯の視線が徐々にスカートの方へと落ちていき
一瞬の沈黙............。
「きぁゃゃゃゃゃゃっ!見んな変態っ!信じらんないっ!ありえないっ!なんでもっと早く言わないのよぉぉっ!」
「いやだって早く言ったって同じ反応するだろ。別にお兄ちゃんは妹のパンツをみてムラムラしてたわけじゃないからな」
と最後の一言が余計だったらしい
「ム...ムラムラって...。ほっんと信じらんないっ!恭にぃなんてクラス分けそうそう馴染めなくて3年間ずっとぼっちでいればいいのよ!」
と半泣きで顔を赤らめながら
そんなことを言い放ってきた。
「ま、そうならないように気をつけるわ」
と笑ながら家を出た
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「全く恭にぃってばなんでいつもあんなんなのかな」
「そうねぇ恭ちゃんは昔からあんなんだったわね」
恭にぃが家を出てすぐそんなことをあたしは口にしていた
「でも恭にぃが月寺学園に入りたいって言ってた時はびっくりしたなぁ。やっぱ運命なのかな...」
「唯ちゃん......。きっと大丈夫よ!いずれたっくんも帰ってくるし、何かあれば学園長だっているんだから」
と恭にぃが出てからこんなことを話しているが
正直、あたしはすっごく心配だ。
「大丈夫、きっとうまくいくわ」
とお母さんがあたしの心配を察したかのように
その言葉を投げかけてくれた
誰に投げかけたでもなく...。
それでもあたしは嬉しくて
「うん!恭にぃなら大丈夫だよね!」
自分の気持ちを確かめるようにその言葉を口にした。
小さい頃から見る夢。
空をも焦がす炎が幾重にも上がり
その黒煙が人々を包み込み1人、またひとりと
視界に映るのはそんな光景
周りには見覚えのない人たちの死体の山がいくつもある。
この夢の中で俺は.........
「うぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ただ泣き叫んでいた。そしていろんな感情が俺の中で渦巻いている
絶望、悲しみ、怒り......。
なんでこんな感情が俺を支配しているのかは全くわからない。
ただ言えることはひとつ。
これは夢なんだ。そう...いつもここで目が覚める。
(.........ジャ.........ヨ............ヤ)
え?今どこからか声がしたような気がした。
(.........目覚め.........だ。きょ......)
なんなんだこの声は...。いままでにこんなこと1度も...あぁだめだ目が覚める。
(待って...からね.........時が来た......恭夜)
ピピピッピピピッ
「............。はぁ...またあの夢か。でも何か今日はちょっと違ったような?まぁいいか。」
俺は布団から出て朝の支度をしてリビングに向かった。
「母さんおはよ、朝飯何かな?」
「あら、恭ちゃん。今日は焼き魚と........。んーと?恭ちゃん?熱でもあるの?」
「人が早起きしたら病気扱いですか...。いやあのな...母さん...」
「お母さんおはよー、今日は朝練ないから朝ごはん食べてくね!」
「おぉ唯。おはよーさん」
「あ、おはよ、恭に.........え!?あんた誰!?」
「何を馬鹿なことを唯のお兄ちゃんだろ?」
「いやいやいやいやっ!あたしのお兄ちゃんがこんな時間に起きてるはずないもん!?あの万年寝坊する人が今!この時間!起きてるはずが!しかもあたしよりも早いはずは断じてないのよ!?ってなわけで、あんたは誰なの??」
「なぁ...母さんもそうなんだが俺が早起きしちゃダメなのか?!そんなに変か?!さも俺が早起きしたら世界が滅亡するみたいな顔しやがってっ!」
「あーごめんてば。で?超絶め・ず・ら・く!早起きだけど恭にぃもしかして......とうとう遥さんに告白したの?!それで返事が待ち遠しくて早起きした的な?なら早くそーいえばいいのに♪」
「あらあら唯ちゃん?恭ちゃんは今日入学式なのよ?だから友達できるのか心配で緊張して早起きしたのよ。ね?恭ちゃん」
「うーん。この母親にしてこの娘って感じなのね...。いちいち突っ込む方が体力の無駄だったわ...違げーよ。また...あの夢を見たんだ」
「恭ちゃん......それって......」
「恭にぃ...大丈夫なの?」
母さんと唯は知ってるのだ。俺が小さい頃から見てるあの夢を...。
と言うより俺が話したんだ。あの地獄の光景を
自分が知らないその地獄のようなその場所で周りにはいくつもの死体の山。見覚えのない街が燃え、空を焦がす...そんな絶望的な夢を家族に話したのだ。
当日まだ俺が7歳の時、両親が心配していろんな病院の門を叩いたが解決には及ばなく、夢を研究している専門家にも話をしたがそれでも結局何も変わらなかった。
そもそも俺の夢が異質なのだ...。
専門家が言っていたが、普通なら夢の中での出来事で感触を感じてもそれを起きた時に覚えてるはずがないのだ
それを俺の夢は......むせ返るほどの死臭、喉を焼く熱風、肌をなでる風。そのすべてを体が覚えているのだ。
「まぁ流石に10年以上も見続けてたらなれるよ。小さい頃はそりゃ怖かったけどな」
「恭ちゃんがそう言うならいいんだけど...」
「ま、それはそうと早く朝飯食べたいな。んで母さん?」
「どうしたの恭ちゃん?」
「家の中こんなに煙たかったっけ?」
「............はっ!?いけない焼き魚が!?どどどどうしよう恭ちゃん!?」
「はぁ...焼き魚はなんとかうまく処理しとくから母さんは今にも吹きこぼれそうなその鍋の火を消してくれる?」
「え?ふきこぼ......あぁ!?お味噌汁が!?」
..................。
そう、わが神代家の母上さま
神代弥知花は超がつくド天然なのだ。
「はぁ...。なんで私はこんなに家事が苦手なのかしら......恭ちゃん、唯ちゃんごめんね?」
「お母さん気にしないで!いつもの事だから平気だよ!」
「う、うわぁぁぁん。唯ちゃぁぁんひどいよぉぉぉ」
「え?......えっ?!あ、あたしなんか変なこと言った?」
「あーうん。あえてもう1度いうことはないとは思うが...。やっぱ親子なんだよなぁ」
と俺はこの何気ない家族の団欒を笑って母さんを慰めながら
「ま、入学式当日にたまたま早起き出来たしまだ時間はあるから俺が何とかするよ」
今日、俺は私立月敬院法天寺学園に入学するのだ。
「恭にぃがあの月寺学園に入学かぁ。あ、恭にぃ?間違っても神代家の名前を汚さないようにしてね!あたしも来年はその高校に入ろうって決めてるんだから!」
「へいへーい。ってか唯はそんまんま高等部に行けばよくね?修学旅行は海外に行ったり、噂では著名人が講師で来てくれるとかなんとか。それに各教室にはエアコン完備なんだろ?偏差値だって今の学校の方が圧倒的にいいんだし、こっちに来る必要あるか?」
妹の唯は中高一貫の学校に通っていてそこはまぁ属にいうエリート学校なのだ
偏差値は中学の時点でそこらへんの高校より普通に高く、高等部に上がるころには近隣の大学なら余裕で入れるレベルという超高レベル学校なわけだ。
「だってうちの学校の制服そんな可愛くないんだもん!それに比べて月寺学園の制服の可愛さはこのへんじゃとても有名なの!」
そう、制服が可愛いかどうかといだけで平気で今の地位を捨てれるこの我が妹こそ
神代唯なのだ。
「それはそうと月寺学園って月敬院法天寺学園のことだよな?なんでそんな訳し方なんだ?」
「恭にぃ知らないの?月敬院法天寺学園なんて長いから学園公認で月寺学園って呼ばれてんのよ」
「はぁさいですか。長ったらしいとは俺も思ってたけど学園公認なら最初からそっちにすりゃいいのに」
「はいはい恭ちゃん!入学式そうそう遅刻なんて不良しないようにそろそろご飯食べなさい」
「はいよ母さん。唯も早く食っちまえよ?」
「はーい」
こんな何気ない光景が俺は好きだ
母さんが居て、唯がいて......
「なぁ、父さんってまだ帰ってくるとか連絡ないの?入学式だってのに」
「うーん。ほら、たっくんってば風来坊じゃない?だからお母さんどこに居るのかもわからないのよ...。まぁあの人のそんな自由気ままなとこに惚れたのよね♪あぁ出会いを思い出すと......」
母さんが自分の世界に入って身悶えながら
昔の父さんの話をしてる
たっくんとは言わずとも俺の父さん
神代拓哉のことだ。
ほとんど家には帰ってこず、おまけに出先ですぐにケータイを無くすから連絡もつかない
かと思ってると手紙で現状を知らせてくるなど
かなりの風来坊っぷりなのだ
「まぁ父さん帰ってきたら一緒に入学式来てくれよ。保護者の受付時間まで余裕あるし手紙を読んでれば今日が入学式だってわかってるはずだし」
と朝飯を食べ終わって母さんにそう言って
部屋に戻ろうと席を立ち上がる時に
「あ、そうそう恭にぃ?」
「ん?」
「今日っておじいちゃんとこ行く日だっけ?あたし朝練は無いんだけど学校終ったら部活あるから今日はちょっと行けないかも」
「唯が行けないならしかたねーよ。母さんは来るんだろ?」
「んーそれがね、母さんも今日は忙しくてまた日を改めようかなって」
「あー了解。なら一応入学の報告がてら、じいちゃんとこ行ってくるから俺もちょっと帰り遅くなるわ」
「はいはい。気をつけて行ってくるのよ?隣町なんだからバスを乗り間違えないようにね?」
「そこまでガキじゃねーんだから、そんな心配しなくて大丈夫だよ」
とそう言って部屋に戻り
荷物を持って玄関に向かった
「恭ちゃん、忘れ物ない?大丈夫?」
「だから母さん大丈夫だって、一応昨日も確認したしな」
「恭にぃ!絶対学園では問題起こさないでね!来年はあたしもそこに入学するんだから!」
「へいへーい。んじゃ行ってきます」
玄関を開けたと同時、それを狙ったかのように風が家に入り込んできた。
「恭にぃ気をつけてね!」
そんな声をかけられて、あぁ大丈夫って言おうと振り返ったらとんでもないものが目に写った。
「......。なぁ唯?」
「どうしたの恭にぃ?」
「ピンク?」
「え?ピンクってなにが?」
言わなきゃダメなんだろうか...。
別に妹を意識したわけじゃない
決してそんなやましいことは微塵も思ってない
が振り返った先にその光景が広がっているのだ
今もなお......。
わかるだろ?俺だっていくら妹の......まぁこれ以上はいわなくてもお前らならわかるだろ?
「あのな。落ち着いて聞いてくれよ?まず先に言っておくがこれは事故だぞ?俺は悪くないしたまたまだ。分かったか?」
「だからなにがよ?はっきり言ってよ」
「では遠慮なく。ごほん......パンツの色がピンクなんだなって」
「え?!なんで恭にぃがあたしのパンツの色をしって......」
そして唯の視線が徐々にスカートの方へと落ちていき
一瞬の沈黙............。
「きぁゃゃゃゃゃゃっ!見んな変態っ!信じらんないっ!ありえないっ!なんでもっと早く言わないのよぉぉっ!」
「いやだって早く言ったって同じ反応するだろ。別にお兄ちゃんは妹のパンツをみてムラムラしてたわけじゃないからな」
と最後の一言が余計だったらしい
「ム...ムラムラって...。ほっんと信じらんないっ!恭にぃなんてクラス分けそうそう馴染めなくて3年間ずっとぼっちでいればいいのよ!」
と半泣きで顔を赤らめながら
そんなことを言い放ってきた。
「ま、そうならないように気をつけるわ」
と笑ながら家を出た
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「全く恭にぃってばなんでいつもあんなんなのかな」
「そうねぇ恭ちゃんは昔からあんなんだったわね」
恭にぃが家を出てすぐそんなことをあたしは口にしていた
「でも恭にぃが月寺学園に入りたいって言ってた時はびっくりしたなぁ。やっぱ運命なのかな...」
「唯ちゃん......。きっと大丈夫よ!いずれたっくんも帰ってくるし、何かあれば学園長だっているんだから」
と恭にぃが出てからこんなことを話しているが
正直、あたしはすっごく心配だ。
「大丈夫、きっとうまくいくわ」
とお母さんがあたしの心配を察したかのように
その言葉を投げかけてくれた
誰に投げかけたでもなく...。
それでもあたしは嬉しくて
「うん!恭にぃなら大丈夫だよね!」
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