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誰かのために
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この世には人ならざる怪物が存在する。人間の気を喰らう「精霊」と心臓を喰らう「妖怪」。人は彼らを「邪鬼」と呼ぶ。彼らはいつ、どこにいるのかわからない。友達、先生、恋人…。今、あなたの隣で笑っているかもしれない。
椎名樹はようやく学校での1日を終え、家に向かった。無理やりやらされた委員会の仕事が少し長引いてしまった。もう、20時を回っているので、暗く、人通りは少ない。学校は嫌いじゃないが、特別好きというわけでもない。行かなければならないから行っている。ぼーっと歩いていると不思議な歌が聞こえてきた。心地よく、眠くなるような気分だ。
ースッ!
突然目の前に金髪の美しい女性が現れた。そしていきなり、樹に馬乗りになり、また歌い始めた。
ー♪~♪♪~♪~
ーグサッ!
血が飛び散った。地面が見る見る赤く染まって行く。
「ぎやャャャーーーーッ!」
金髪の女性の首から真っ赤な血が噴き出していた。樹は女性に向かってナイフを振り回した。
ーシュッ!シャキッ!グサッ!
全て女性の急所を捉えた。だがそれはすぐに治り、鋭く異様に長い爪を剥き出し、襲ってきた。
ーシュッ!ビュッ!ガギーン!
樹のナイフが宙を舞った。樹はスマートフォンを取り出し、アプリを起動すると大きな鎌のような 武器に変型した。低姿勢で鎌を振り上げ一気に走り出し、その勢いのまま女性の首を刎ねた。
ー女性は青白く光ると泡となり消えてしまった。
ー「皆んな、あたしをただの女子高生だと思って餌にしようと近づいてくる。あたしは捜査員なのに。」
樹は顔色一つ変えず、鎌をスマートフォンに戻すと誰かと連絡を取り始めた。
「あっ、もしもし。樹です。すみません、星野さん。何の指示も無かったのですが、急に襲ってきたので精霊を一体、消滅させてしまいました。はい。はい…。わかりました。すみません。失礼します。」
樹は電話を切ると、女性がいた所に落ちていた、札のような物を拾い、何事も無かったかのようにその場を去って行った。
樹は気づいていなかった。この2人の光景を楽しそうに見ていた人影に。
ー「椎名樹。面白そう…。」
ここは「鈴蘭捜査本部」。
人ならざる怪物、「邪鬼」を対象とした捜査本部だ。
「樹!こっちだ。」
男の声がした。先ほどの電話の相手、星野洋介、SS級捜査員だ。長身で痩せ型、眼鏡をかけ、知的なイメージだ。
「消滅札は?」
「はい。これです。」
樹はそう言うと、半透明の小さな札を手渡した。消滅札とは、邪鬼のタイプや種類を記す、いわゆる邪鬼の命の様な物だ。
「よし。ありがとう。…あー。歌人だな。ノーマルタイプか。」
「すみません。勝手な事して。」
「そうだな。お前ならこのレベルの精霊、捕獲できただろ?いくら邪鬼だからって無闇に消滅させてはだめだといつも言っているだろ。お前だって列記とした捜査員なんだ。鈴蘭捜査本部にいたいなら、その自覚を持って、バディーの言う事を少しは聞け。わかったか?」
「でもっ…。はい…。わかりました。」樹は不満そうに返事をした。邪鬼は人の平和を脅かす存在。消滅させて何が悪い。その様子を見かねて星野は
「まぁ、一人でよく頑張ったな。お疲れ。」
と樹の肩に優しく手を乗せて言った。樹はその言葉を無視してその場を立ち去ろうとした。
「あぁ、そうだ!これから捜査会議があるんだ。樹も参加してくれ。」
「…はい。わかりました。」
ー[Sレアタイプ人狼捜査会議]
と達筆な字で書かれた会議室に星野と樹は入り、後ろの方の席に座った。
「えー!それでは![Sレアタイプ人狼捜査会議]を始める!」
室内全体に響き渡るよく通った声がした。香川時成。「スズラン捜査本部」の司令官だ。背は低めで太ってはいないが決して痩せているわけでもない。いつも眉間に皺を寄せている。上からの圧力ですぐに胃が痛くなるらしい。いつも胃薬を持ち歩いている。
「えー。昨夜9時頃、○○区××町を捜査していた鈴木班が何者かに襲われ、全員死亡しているのが見つかった。現場の状況から[妖怪]による犯行と思われる。そして今、最も怪しいのが[Sレアタイプの人狼]だ。名前は寒蝉颯太。こいつは群を作らず、単独で人の心臓を喰い荒す。所謂、快楽目的だ。こういう種の奴は何を考えているのかわからず危険だ。捜査員は必ず、バディーと共に行動するように!以上!他に何かあるか?…ないようだな。それでは全員、捜査につけ!」
香川の合図とともに、捜査員が一斉に動き出した。
「おい。星野と椎名、それから神谷と望月はこっちへ来い。」
樹は香川に呼び止められ、踵を返した。
「お前たちはここに残ってもらう。緊急時に捜査本部に誰も残っていないのは痛いからな。今、捜査に出た奴等にもしもの事があれば、お前たちにもすぐに出てもらう。いいな?」
「「はい!」」
香川は足早にその場を去り、捜査員に指示を出し始めた。
ー「星野さん、お疲れ様です。」
「おー神谷、お疲れ。そうだ!丁度いい。紹介するよ。こいつは椎名樹C級捜査員だ。」
「椎名樹です。」
「あぁー!君が椎名捜査員か!初めまして。神谷悟SS級捜査員です。でこっちが望月唯C級捜査員。」
神谷は上司であるにもかかわらず、丁寧に紹介してくれた。
「望月唯っす。樹ちゃん!よろしくっす!」
望月は屈託のない笑みを樹に向けた。
ーバシッ!
「お前はきちんとした敬語を使えっていつも言ってるだろう!」
神谷は礼儀正しいらしい。望月の頭を思い切り叩いた。
「いえいえ、いいんです。見たところ、同い年くらいだし、敬語じゃなくて大丈夫です。」
樹は少し迷惑そうに言った。
「マジで!?やった!じゃあ、俺のことは唯って呼んで!俺は樹って呼ぶから!」
望月は眩しいくらいの笑顔を見せた。
「唯くんね。わかった。」
樹もなるべく自然につくり笑いした。
「お前たち、なにイチャイチャしてんだよ。一応、捜査中だぞ。」
星野はからかうように、目を細めた。
「わかってます!て言うか、イチャイチャしてませんし!」
寧ろ迷惑している。
ー「お前ら!なに遊んでんだ!ちょっとこっち来てくれ!」
香川が何やら焦っている。
「この映像を見てくれ。」
「………。」
「…なんだこれ。」
さきほどまでの望月とは別人のように鋭い目つきをしていた。ついさっき捜査に出て行った捜査員達が手も足も出ず、一体の妖怪に襲われている。
「星野と椎名は急いで向かってくれ。」
香川の顔は蒼白していた。
「樹、行くぞ!あっ!マスクとフード、忘れんなよ。お前は学校行ってるんだ。ばれたら困る。」
星野はこんな時でも冷静だ。
「はい!」
ーグサッ!ガギーン!ガギーン!
「あっははははは!」
闇の中に響き渡る高笑い。人狼は捜査員を痛めつけ、楽しんでいた。
「うっ、うわぁぁぁ!や、やめろ!
たす、助けてぇぇ!」
捜査員はただ怯え、逃げるしかなかった。
ータタタタッ!ガギーン!
樹の鎌が人狼の大きな爪に当たった。
「星野さん。わたしにやらせて下さい。」
「うーん…。わかった。やれるところまでやってみろ。」
星野は渋々承諾した。
「はっ!なんだよ!俺は女の子の子守しに来たわけじゃねぇーんだけど!」
人狼は樹を見下した。
「あんたはその女の子に負けるんだよ。」
樹も負けじと言い返す。
「チッ!今すぐそのうるさい口黙らしてやるよ!」
ーキーン!キーン!ガギーン!
二人とも全く引かず、攻防戦が繰り返される。
ーガンッ!ギンッ!ジャキッン!
樹の鎌は弾き飛ばされた。
「はっ!所詮はそんなもんかよ!早く降参しろよ!」
樹は勢いよく走り出すと宙に飛んだ。
「馬鹿か!空中じゃ攻撃避けらんねぇーだろ!」
人狼は一瞬気を緩めた。
樹は人狼を飛び越えると逆さまになり、腰の拳銃を取り出し、人狼を撃った。
ーパン、パン、パン!!
「ーうぐっ!」
人狼はよろめいた。樹は綺麗に着地し、とどめを刺そうと銃を構えた。
ーパーンッ!
樹が地面に倒れた。
「樹!!!」
星野の叫ぶ声が響いた。
人狼も拳銃を隠し持っていたのだ。妖怪が武器を持っているのは珍しく、誰も予想していなかった。
「あは、あはははは!なんだよ、やっぱり弱いじゃねぇーか!ははははは!」
人狼は笑いながら闇に消えていった。
「あっ!おい!待て!…くそっ!」
「樹!?おい!樹!大丈夫か!?返事しろ!」
星野が珍しく感情的になっている。
「うっ…あれ?星野さん?何やってるんですか?」
樹はいつもと同じ調子で喋っている。
「…は?お前、傷は?…だって、撃たれただろ?」
星野が困惑している。こんな星野は初めて見たかもしれない。
「あー。確かに発砲はしてきましたけど、ちゃんと避けましたよ?まぁ避けた時に頭はぶつけましたけど。」
樹は無表情に答えた。よく見ると確かに血は出ていない。
「おまえっ!あれを、避けたのか?嘘だろ…。
はー…。なんだよ、脅かしやがって。じゃあ、大丈夫なんだな?どこも怪我してないな?」
星野は呆れてため息をついた。
「はい。大丈夫です。…そんな事より、この近くに精霊がいますよ?」
「はっ!?どこだよ!?」
星野はまた慌て始めた。
すると樹の目が青く光っていた。
「あの茂みのところです。二体います。」
樹は暗くて何も見えない茂みを指差した。
ー「くそっ!なんでばれた!?おい!行くぞ!」
精霊はそのまま宙に消えてしまった。
「しっかし、お前の目はすごいなー。精霊も妖怪も普段は人間と変わらない姿をしているだろう?なんでわかるんだ?」
星野が感心したように尋ねた。
「精霊と妖怪にしか反応しないですけどね。精霊は青白い光の粒が、妖怪は赤黒い靄のようなものが周りを漂っているんです。」
「へー。羨ましいな。俺も欲しいな、その能力。」
星野は冗談を言って見せた。
「さて!人狼も取り逃がした事だし!本部に戻りますか!」
星野は開き直るように少し戯けて見せた。
「うっ…。ほんとすみません。次は絶対捕獲します!」
樹は申し訳なさそうに謝った。
「おう!頼んだぞ!」
ー[REBOの基地]
ここは精霊達が群れを作り、集まる精霊達の基地、「REBO」。狭く、迷路のような路地を進むと、そこには、荒れ果てた廃ビルが高くそびえ立っていた。そこへ息を切らしながら二体の精霊が走ってきた。彼らは一気に上へ飛び上がり、最上階の一際大きな部屋へ入って行った。
「はぁーはぁーはぁー…。びっくりした。て言うか、なんであいつ、俺らがいる事わかったんだ!?」
桐谷道流。Sレアタイプの獅子。少し抜けているところがあり、喋らなければ、そこらの男より顔は整っている。戦闘となると抜群のセンスを発揮する。
「びっくりしました。まさか、あんなか弱そうな女の子が鈴蘭だなんて。」
狩野瀬奈。レアタイプのウィンディ。精霊の寿命は1000歳とされており、瀬奈は170歳であるが、女子高生と変わらない姿をしている。気が強く、よく歳の近いREBOのメンバーと喧嘩している。
「それで?何か情報は?」
REBOのボス蓮咲麗子。精霊のなかで最強と言われている、SSレアタイプの精霊王。ボスという言葉は全く当てはまらないほど華奢で、ふわふわとした髪はより一層、強さをかき消している。
「あー…。樹っていう名前なのはわかったんだけど、なんか雰囲気怖くて…逃げてきちゃった☆」
道流は首を竦め、少しだけ舌を出した。
「なるほど。樹ねー…。ふふっ。」
麗子は不敵な笑みを浮かべた。
「あーそうだ。最近、この辺を忍隊が彷徨いているから、気をつけて。」
「了解!あー腹減った!」
道流は頭の後ろで手を組んで、それを呆れたようにため息をつく瀬奈と共に、麗子の部屋を出て行った。
ー「椎名樹。面白そう。」
麗子は指で天使の置物の頭を弾いた。
ー人狼との交戦の翌朝、樹は○○高校へ登校していた。
ー「おっはよー!樹!」
後ろから思い切り抱きつかれ、樹はよろめいた。
「…っ!ののか!危ないから!」
七瀬ののか。樹と同じクラスの女子高生。樹とは一番仲が良い。
「ははっ!びっくりした?」
ののかはニコッと笑った。
ののかは美人で男子からもモテる。この笑顔に何人の男子が惚れてきたのだろう。
「あっ!樹!今日の放課後遊べる?カラオケ行かない?」
ののかからの誘いは素直に嬉しかった。今日は会議も無いし、久々に遊ぶのもいいかもしれない。
「いいよ。久しぶりに思いっきり歌う!」
何だか楽しみになってきた。
ー「♪会いた~くて~会い~たくて♪震~える♪」
ののかは気持ちよさそうに歌っている。
「ほら!次、樹だからね!どんどん歌って!」
本当に楽しそうだ。
ー「~♪~♪♪♪~♪♪~」
樹のスマホに着信が入った。星野からだ。
「ごめん、ののか。ちょっと出てくる。」
樹は両手を合わせ謝った。
「いいよ、いいよ。全然大丈夫!」
「ごめん!…もしもし。はい。えっ…。はい…。わかりました、すぐ行きます。」
星野に至急、鈴蘭本部に来るように言われてしまった。緊急会議だそうだ。
「どうしたの?何か用事?」
ののかは心配そうに聞いた。
「ごめん。急にバイト呼ばれちゃって…。今すぐ行かなくちゃいけないんだけど…。」
樹は上目遣いでののかの様子を伺った。
「うん。しょうがないよね!私はもう少し歌って帰るから、気にしないで!短かったけど、久々に樹と遊べて楽しかった!」
ののかは優しく微笑んだ。全く、笑顔の使い方が上手い。
「ありがとう!それじゃ、また明日ね。バイバイ!」
樹はののかに礼を言うと、手を振り、カラオケボックスを出て行った。
「またねー!」
ののかも快く見送ってくれた。
ー折角、ののかと久しぶりに遊べたのに、会議だなんて。急に星野が憎たらしくなってきた。
ー「おぉー!樹!悪いな、急に。」
星野だ。何やら捜査員たちが忙しなく動いている。
「いえ、大丈夫です。仕事ですから。
…それより、どうしたんですか?なんか、忙しそうですけど。」
「あぁー。実はREBOの基地が見つかったんだ。近い内、[REBO殲滅作戦]が行われる。その為の会議が今から開かれる。これから使う武器の準備や何やらで忙しいんだ。」
星野も少し疲れている様だった。
ー「えぇー!それでは、[REBO殲滅作戦捜査会議]を始める!」
今回の司令塔も香川らしい。
「先ずは、REBOの基地を発見した、忍隊の報告からだ。」
忍隊。特殊な技能を学び、選ばれたエリートしかなれないと言われる、優秀な部隊だ。主に、敵のアジトの在り処を調べたり、潜入捜査をしている。
「忍隊の高柳です。○月××日午後8時頃、**町にてREBOの基地を発見しました。狭い迷路のような路地を抜けた行き止まりの所に立つ廃ビルに精霊達が潜んでいるようです。構成人数は300名ほど、長に立つもの、幹部など詳しい事はまだわかっておりません。以上です。」
高柳怜央。忍隊に所属するA級捜査官。明るく、優しい性格をしていて、人当たりも良く、上司や同僚、部下からも好かれている。
「うん。ありがとう。それでは、明後日の決行の戦略を伝える!まず、忍隊が潜入し…。」
「…と、まぁ、このように進めて行こうと思う!異論のある奴は!…いないな!以上で[REBO殲滅作戦捜査会議]を終了する!」
香川はそう言い終えると、胃薬を飲みながら、会議室を出て行った。
ー「樹…。これ、わかるか?…遺書だ。書き方は俺が教える。…すまないな。まだ子どものお前に、遺書なんて書かせて。でも、これは義務なんだ。わかってくれ…。」
星野は拳を握りしめていた。
「遺書ですか…。何を書けばいいんだろう。わたし、死ぬのなんて怖くないし、親や兄弟もいないし、特に書く事なんてなさそうです。」
樹は無表情で冷たく呟いた。
「大切なやつ。いるじゃないか、お前にも。高校の友達。1人いるんだろ?仲いい奴。」
星野は樹を憐れむ目で見た。
ー星野に言われて、樹はハッとした。そうだ、ののかを守らなくては。ののかの為に、死んではいけない。真実を知るためにも。
「星野さん。わたし、絶対死にません。絶対勝ちます。何があっても!」
樹の目は輝いていた。いつもは死んだようにくすんだ瞳が光を持ち、輝いていた。
「ーっ!おぉ!そうだな。俺も死なない。この世界を守りきる。何があっても!」
星野は見たとこない樹の姿に驚いたようだった。それと同時に、樹の成長を見れた気もした。
「明後日か。気合い入れないとな!」
「はい!」
ー風が嘲笑うように吹き抜けた。
椎名樹はようやく学校での1日を終え、家に向かった。無理やりやらされた委員会の仕事が少し長引いてしまった。もう、20時を回っているので、暗く、人通りは少ない。学校は嫌いじゃないが、特別好きというわけでもない。行かなければならないから行っている。ぼーっと歩いていると不思議な歌が聞こえてきた。心地よく、眠くなるような気分だ。
ースッ!
突然目の前に金髪の美しい女性が現れた。そしていきなり、樹に馬乗りになり、また歌い始めた。
ー♪~♪♪~♪~
ーグサッ!
血が飛び散った。地面が見る見る赤く染まって行く。
「ぎやャャャーーーーッ!」
金髪の女性の首から真っ赤な血が噴き出していた。樹は女性に向かってナイフを振り回した。
ーシュッ!シャキッ!グサッ!
全て女性の急所を捉えた。だがそれはすぐに治り、鋭く異様に長い爪を剥き出し、襲ってきた。
ーシュッ!ビュッ!ガギーン!
樹のナイフが宙を舞った。樹はスマートフォンを取り出し、アプリを起動すると大きな鎌のような 武器に変型した。低姿勢で鎌を振り上げ一気に走り出し、その勢いのまま女性の首を刎ねた。
ー女性は青白く光ると泡となり消えてしまった。
ー「皆んな、あたしをただの女子高生だと思って餌にしようと近づいてくる。あたしは捜査員なのに。」
樹は顔色一つ変えず、鎌をスマートフォンに戻すと誰かと連絡を取り始めた。
「あっ、もしもし。樹です。すみません、星野さん。何の指示も無かったのですが、急に襲ってきたので精霊を一体、消滅させてしまいました。はい。はい…。わかりました。すみません。失礼します。」
樹は電話を切ると、女性がいた所に落ちていた、札のような物を拾い、何事も無かったかのようにその場を去って行った。
樹は気づいていなかった。この2人の光景を楽しそうに見ていた人影に。
ー「椎名樹。面白そう…。」
ここは「鈴蘭捜査本部」。
人ならざる怪物、「邪鬼」を対象とした捜査本部だ。
「樹!こっちだ。」
男の声がした。先ほどの電話の相手、星野洋介、SS級捜査員だ。長身で痩せ型、眼鏡をかけ、知的なイメージだ。
「消滅札は?」
「はい。これです。」
樹はそう言うと、半透明の小さな札を手渡した。消滅札とは、邪鬼のタイプや種類を記す、いわゆる邪鬼の命の様な物だ。
「よし。ありがとう。…あー。歌人だな。ノーマルタイプか。」
「すみません。勝手な事して。」
「そうだな。お前ならこのレベルの精霊、捕獲できただろ?いくら邪鬼だからって無闇に消滅させてはだめだといつも言っているだろ。お前だって列記とした捜査員なんだ。鈴蘭捜査本部にいたいなら、その自覚を持って、バディーの言う事を少しは聞け。わかったか?」
「でもっ…。はい…。わかりました。」樹は不満そうに返事をした。邪鬼は人の平和を脅かす存在。消滅させて何が悪い。その様子を見かねて星野は
「まぁ、一人でよく頑張ったな。お疲れ。」
と樹の肩に優しく手を乗せて言った。樹はその言葉を無視してその場を立ち去ろうとした。
「あぁ、そうだ!これから捜査会議があるんだ。樹も参加してくれ。」
「…はい。わかりました。」
ー[Sレアタイプ人狼捜査会議]
と達筆な字で書かれた会議室に星野と樹は入り、後ろの方の席に座った。
「えー!それでは![Sレアタイプ人狼捜査会議]を始める!」
室内全体に響き渡るよく通った声がした。香川時成。「スズラン捜査本部」の司令官だ。背は低めで太ってはいないが決して痩せているわけでもない。いつも眉間に皺を寄せている。上からの圧力ですぐに胃が痛くなるらしい。いつも胃薬を持ち歩いている。
「えー。昨夜9時頃、○○区××町を捜査していた鈴木班が何者かに襲われ、全員死亡しているのが見つかった。現場の状況から[妖怪]による犯行と思われる。そして今、最も怪しいのが[Sレアタイプの人狼]だ。名前は寒蝉颯太。こいつは群を作らず、単独で人の心臓を喰い荒す。所謂、快楽目的だ。こういう種の奴は何を考えているのかわからず危険だ。捜査員は必ず、バディーと共に行動するように!以上!他に何かあるか?…ないようだな。それでは全員、捜査につけ!」
香川の合図とともに、捜査員が一斉に動き出した。
「おい。星野と椎名、それから神谷と望月はこっちへ来い。」
樹は香川に呼び止められ、踵を返した。
「お前たちはここに残ってもらう。緊急時に捜査本部に誰も残っていないのは痛いからな。今、捜査に出た奴等にもしもの事があれば、お前たちにもすぐに出てもらう。いいな?」
「「はい!」」
香川は足早にその場を去り、捜査員に指示を出し始めた。
ー「星野さん、お疲れ様です。」
「おー神谷、お疲れ。そうだ!丁度いい。紹介するよ。こいつは椎名樹C級捜査員だ。」
「椎名樹です。」
「あぁー!君が椎名捜査員か!初めまして。神谷悟SS級捜査員です。でこっちが望月唯C級捜査員。」
神谷は上司であるにもかかわらず、丁寧に紹介してくれた。
「望月唯っす。樹ちゃん!よろしくっす!」
望月は屈託のない笑みを樹に向けた。
ーバシッ!
「お前はきちんとした敬語を使えっていつも言ってるだろう!」
神谷は礼儀正しいらしい。望月の頭を思い切り叩いた。
「いえいえ、いいんです。見たところ、同い年くらいだし、敬語じゃなくて大丈夫です。」
樹は少し迷惑そうに言った。
「マジで!?やった!じゃあ、俺のことは唯って呼んで!俺は樹って呼ぶから!」
望月は眩しいくらいの笑顔を見せた。
「唯くんね。わかった。」
樹もなるべく自然につくり笑いした。
「お前たち、なにイチャイチャしてんだよ。一応、捜査中だぞ。」
星野はからかうように、目を細めた。
「わかってます!て言うか、イチャイチャしてませんし!」
寧ろ迷惑している。
ー「お前ら!なに遊んでんだ!ちょっとこっち来てくれ!」
香川が何やら焦っている。
「この映像を見てくれ。」
「………。」
「…なんだこれ。」
さきほどまでの望月とは別人のように鋭い目つきをしていた。ついさっき捜査に出て行った捜査員達が手も足も出ず、一体の妖怪に襲われている。
「星野と椎名は急いで向かってくれ。」
香川の顔は蒼白していた。
「樹、行くぞ!あっ!マスクとフード、忘れんなよ。お前は学校行ってるんだ。ばれたら困る。」
星野はこんな時でも冷静だ。
「はい!」
ーグサッ!ガギーン!ガギーン!
「あっははははは!」
闇の中に響き渡る高笑い。人狼は捜査員を痛めつけ、楽しんでいた。
「うっ、うわぁぁぁ!や、やめろ!
たす、助けてぇぇ!」
捜査員はただ怯え、逃げるしかなかった。
ータタタタッ!ガギーン!
樹の鎌が人狼の大きな爪に当たった。
「星野さん。わたしにやらせて下さい。」
「うーん…。わかった。やれるところまでやってみろ。」
星野は渋々承諾した。
「はっ!なんだよ!俺は女の子の子守しに来たわけじゃねぇーんだけど!」
人狼は樹を見下した。
「あんたはその女の子に負けるんだよ。」
樹も負けじと言い返す。
「チッ!今すぐそのうるさい口黙らしてやるよ!」
ーキーン!キーン!ガギーン!
二人とも全く引かず、攻防戦が繰り返される。
ーガンッ!ギンッ!ジャキッン!
樹の鎌は弾き飛ばされた。
「はっ!所詮はそんなもんかよ!早く降参しろよ!」
樹は勢いよく走り出すと宙に飛んだ。
「馬鹿か!空中じゃ攻撃避けらんねぇーだろ!」
人狼は一瞬気を緩めた。
樹は人狼を飛び越えると逆さまになり、腰の拳銃を取り出し、人狼を撃った。
ーパン、パン、パン!!
「ーうぐっ!」
人狼はよろめいた。樹は綺麗に着地し、とどめを刺そうと銃を構えた。
ーパーンッ!
樹が地面に倒れた。
「樹!!!」
星野の叫ぶ声が響いた。
人狼も拳銃を隠し持っていたのだ。妖怪が武器を持っているのは珍しく、誰も予想していなかった。
「あは、あはははは!なんだよ、やっぱり弱いじゃねぇーか!ははははは!」
人狼は笑いながら闇に消えていった。
「あっ!おい!待て!…くそっ!」
「樹!?おい!樹!大丈夫か!?返事しろ!」
星野が珍しく感情的になっている。
「うっ…あれ?星野さん?何やってるんですか?」
樹はいつもと同じ調子で喋っている。
「…は?お前、傷は?…だって、撃たれただろ?」
星野が困惑している。こんな星野は初めて見たかもしれない。
「あー。確かに発砲はしてきましたけど、ちゃんと避けましたよ?まぁ避けた時に頭はぶつけましたけど。」
樹は無表情に答えた。よく見ると確かに血は出ていない。
「おまえっ!あれを、避けたのか?嘘だろ…。
はー…。なんだよ、脅かしやがって。じゃあ、大丈夫なんだな?どこも怪我してないな?」
星野は呆れてため息をついた。
「はい。大丈夫です。…そんな事より、この近くに精霊がいますよ?」
「はっ!?どこだよ!?」
星野はまた慌て始めた。
すると樹の目が青く光っていた。
「あの茂みのところです。二体います。」
樹は暗くて何も見えない茂みを指差した。
ー「くそっ!なんでばれた!?おい!行くぞ!」
精霊はそのまま宙に消えてしまった。
「しっかし、お前の目はすごいなー。精霊も妖怪も普段は人間と変わらない姿をしているだろう?なんでわかるんだ?」
星野が感心したように尋ねた。
「精霊と妖怪にしか反応しないですけどね。精霊は青白い光の粒が、妖怪は赤黒い靄のようなものが周りを漂っているんです。」
「へー。羨ましいな。俺も欲しいな、その能力。」
星野は冗談を言って見せた。
「さて!人狼も取り逃がした事だし!本部に戻りますか!」
星野は開き直るように少し戯けて見せた。
「うっ…。ほんとすみません。次は絶対捕獲します!」
樹は申し訳なさそうに謝った。
「おう!頼んだぞ!」
ー[REBOの基地]
ここは精霊達が群れを作り、集まる精霊達の基地、「REBO」。狭く、迷路のような路地を進むと、そこには、荒れ果てた廃ビルが高くそびえ立っていた。そこへ息を切らしながら二体の精霊が走ってきた。彼らは一気に上へ飛び上がり、最上階の一際大きな部屋へ入って行った。
「はぁーはぁーはぁー…。びっくりした。て言うか、なんであいつ、俺らがいる事わかったんだ!?」
桐谷道流。Sレアタイプの獅子。少し抜けているところがあり、喋らなければ、そこらの男より顔は整っている。戦闘となると抜群のセンスを発揮する。
「びっくりしました。まさか、あんなか弱そうな女の子が鈴蘭だなんて。」
狩野瀬奈。レアタイプのウィンディ。精霊の寿命は1000歳とされており、瀬奈は170歳であるが、女子高生と変わらない姿をしている。気が強く、よく歳の近いREBOのメンバーと喧嘩している。
「それで?何か情報は?」
REBOのボス蓮咲麗子。精霊のなかで最強と言われている、SSレアタイプの精霊王。ボスという言葉は全く当てはまらないほど華奢で、ふわふわとした髪はより一層、強さをかき消している。
「あー…。樹っていう名前なのはわかったんだけど、なんか雰囲気怖くて…逃げてきちゃった☆」
道流は首を竦め、少しだけ舌を出した。
「なるほど。樹ねー…。ふふっ。」
麗子は不敵な笑みを浮かべた。
「あーそうだ。最近、この辺を忍隊が彷徨いているから、気をつけて。」
「了解!あー腹減った!」
道流は頭の後ろで手を組んで、それを呆れたようにため息をつく瀬奈と共に、麗子の部屋を出て行った。
ー「椎名樹。面白そう。」
麗子は指で天使の置物の頭を弾いた。
ー人狼との交戦の翌朝、樹は○○高校へ登校していた。
ー「おっはよー!樹!」
後ろから思い切り抱きつかれ、樹はよろめいた。
「…っ!ののか!危ないから!」
七瀬ののか。樹と同じクラスの女子高生。樹とは一番仲が良い。
「ははっ!びっくりした?」
ののかはニコッと笑った。
ののかは美人で男子からもモテる。この笑顔に何人の男子が惚れてきたのだろう。
「あっ!樹!今日の放課後遊べる?カラオケ行かない?」
ののかからの誘いは素直に嬉しかった。今日は会議も無いし、久々に遊ぶのもいいかもしれない。
「いいよ。久しぶりに思いっきり歌う!」
何だか楽しみになってきた。
ー「♪会いた~くて~会い~たくて♪震~える♪」
ののかは気持ちよさそうに歌っている。
「ほら!次、樹だからね!どんどん歌って!」
本当に楽しそうだ。
ー「~♪~♪♪♪~♪♪~」
樹のスマホに着信が入った。星野からだ。
「ごめん、ののか。ちょっと出てくる。」
樹は両手を合わせ謝った。
「いいよ、いいよ。全然大丈夫!」
「ごめん!…もしもし。はい。えっ…。はい…。わかりました、すぐ行きます。」
星野に至急、鈴蘭本部に来るように言われてしまった。緊急会議だそうだ。
「どうしたの?何か用事?」
ののかは心配そうに聞いた。
「ごめん。急にバイト呼ばれちゃって…。今すぐ行かなくちゃいけないんだけど…。」
樹は上目遣いでののかの様子を伺った。
「うん。しょうがないよね!私はもう少し歌って帰るから、気にしないで!短かったけど、久々に樹と遊べて楽しかった!」
ののかは優しく微笑んだ。全く、笑顔の使い方が上手い。
「ありがとう!それじゃ、また明日ね。バイバイ!」
樹はののかに礼を言うと、手を振り、カラオケボックスを出て行った。
「またねー!」
ののかも快く見送ってくれた。
ー折角、ののかと久しぶりに遊べたのに、会議だなんて。急に星野が憎たらしくなってきた。
ー「おぉー!樹!悪いな、急に。」
星野だ。何やら捜査員たちが忙しなく動いている。
「いえ、大丈夫です。仕事ですから。
…それより、どうしたんですか?なんか、忙しそうですけど。」
「あぁー。実はREBOの基地が見つかったんだ。近い内、[REBO殲滅作戦]が行われる。その為の会議が今から開かれる。これから使う武器の準備や何やらで忙しいんだ。」
星野も少し疲れている様だった。
ー「えぇー!それでは、[REBO殲滅作戦捜査会議]を始める!」
今回の司令塔も香川らしい。
「先ずは、REBOの基地を発見した、忍隊の報告からだ。」
忍隊。特殊な技能を学び、選ばれたエリートしかなれないと言われる、優秀な部隊だ。主に、敵のアジトの在り処を調べたり、潜入捜査をしている。
「忍隊の高柳です。○月××日午後8時頃、**町にてREBOの基地を発見しました。狭い迷路のような路地を抜けた行き止まりの所に立つ廃ビルに精霊達が潜んでいるようです。構成人数は300名ほど、長に立つもの、幹部など詳しい事はまだわかっておりません。以上です。」
高柳怜央。忍隊に所属するA級捜査官。明るく、優しい性格をしていて、人当たりも良く、上司や同僚、部下からも好かれている。
「うん。ありがとう。それでは、明後日の決行の戦略を伝える!まず、忍隊が潜入し…。」
「…と、まぁ、このように進めて行こうと思う!異論のある奴は!…いないな!以上で[REBO殲滅作戦捜査会議]を終了する!」
香川はそう言い終えると、胃薬を飲みながら、会議室を出て行った。
ー「樹…。これ、わかるか?…遺書だ。書き方は俺が教える。…すまないな。まだ子どものお前に、遺書なんて書かせて。でも、これは義務なんだ。わかってくれ…。」
星野は拳を握りしめていた。
「遺書ですか…。何を書けばいいんだろう。わたし、死ぬのなんて怖くないし、親や兄弟もいないし、特に書く事なんてなさそうです。」
樹は無表情で冷たく呟いた。
「大切なやつ。いるじゃないか、お前にも。高校の友達。1人いるんだろ?仲いい奴。」
星野は樹を憐れむ目で見た。
ー星野に言われて、樹はハッとした。そうだ、ののかを守らなくては。ののかの為に、死んではいけない。真実を知るためにも。
「星野さん。わたし、絶対死にません。絶対勝ちます。何があっても!」
樹の目は輝いていた。いつもは死んだようにくすんだ瞳が光を持ち、輝いていた。
「ーっ!おぉ!そうだな。俺も死なない。この世界を守りきる。何があっても!」
星野は見たとこない樹の姿に驚いたようだった。それと同時に、樹の成長を見れた気もした。
「明後日か。気合い入れないとな!」
「はい!」
ー風が嘲笑うように吹き抜けた。
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