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高校一年生

漫研設立秘話 その1

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「部活強制ぃぃ!?」

「え、今更?ガイダンスとかで言ってたじゃん」

「んなもん寝てたわ!!」

「偉そうに言うな」

入学して1ヶ月。少しづつ人間関係が構築されつつある時期。私も友人は出来たけれど、大体はるーと一緒に過ごしていた。

そして今日、衝撃の事実を知ることとなった。

「強制とか聞いてない!」

「だから言ってたっちゅーに」

「部活動なんてしてる暇あったらオタ活してたいよぉ!」

「強制なんだから仕方がないじゃん。諦めてゆるい部活にでも入れ。そして幽霊部員にでもなってしまえ」

「やだよやるからには青春したいじゃん」

「なんだこいつめんどくせぇな」

ああ、何故オタ活と青春は両立しないのだろう。

この世の理不尽を呪いながら私は机に突っ伏した。

「やだよぉ!部活入りたくないよぉ!」

「だから強制なんだってば」

「そういうるーは決まってんの?部活」

「んー私は手芸部かなー。ほら、コスプレとかで小物作ったりするし」

「ほーん。手芸部ねぇ。ってちょっと待て。コスプレ?コスプレっておっしゃいました?あなた」

「おっしゃったけど」

「待ってコスプレしてたなんて聞いてない」

「あれ、言ってなかったっけ?」

「私は同人誌描いてること話したのに!隠してたのね!酷いわ!」

「いや何キャラだよ」

本当に聞いてない。まさかこの友人がレイヤーだったなんて。しかも聞くところによるとそこそこ有名レイヤーだった。こわ。

「ってそんな事より部活!いいよねぇるーは。好きなこと部活に出来て。アニメ研究会とか無いかなー。漫研とか」

その時私はひらめいた。かの王妃、マリー・アントワネットのように。

「そうだよ!漫研が無いなら作ればいいじゃない!!」

「唐突なマリー・アントワネット乙」

そうだよ!何故私は気付かなかった!これなら部活を1から立ち上げるって青春っぽいし、部活動自体がオタ活だ。しかも設立時のメンバーって伝説っぽくてカッコいい!

「よし、るー。漫研設立のために頑張ろうね」

「いやなんで私まで入る流れになってんの?」

「え?むしろ入らないの?」

「だから私は手芸部に」

「入らないの?」

「……」

「入るって言え」

「何それ横暴。わかったよ!入ればいいんでしょ!入れば」

最初の方に大変不本意な台詞があった気がするけれど、私の精神衛生上よくなさそうなのであえて突き詰めないことにした。私は横暴とかそんな言葉は聞いてない。

「よし!では漫研設立に向けて頑張るぞー」

「おー」

最後までノリはゆるかった。





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