【悲報】JKヒモ勇者様、初回配信中にうっかり『氷帝』と呼ばれた美少女配信者を助け、エンシェントドラゴンを一閃してバズってしまう。

シンギョウ ガク

文字の大きさ
28 / 48

Side:火村葵 お祝いは嬉しいけれど

しおりを挟む

 ※火村葵視点


「サブローししょー! 唐揚げに勝手にレモンかけないでくださいっすよ! マナー違反っす!」


「今日はレモンをかけたい気分だったから問題ない。今までは葵がぶつくさ言うから自重していたが、今日は我慢しないぞ」


「そういうのは自分の皿に取り分けてからやってくださいよー!」


「今日の唐揚げはすーぱーちゃっとで稼いだ金で購入したものだ。問題ない」


 サブローししょーが豪遊をしているのには理由があった。


 ゆいなさんとの面会が終わって帰ろうとしたら、窓口係の人に呼び止められ、配信中に課金されたスーパーチャットの代金を清算してもらったからだ。


 ちなみにスーパーチャットの取り分は、ダンジョンスターズ社が2割で探索者が8割。


 2万8500円の8割で2万2800円が本日のスーパーチャットで得たお金だった。


 他にも月末には再生数に応じたお金が支払われたり、企業案件と呼ばれるものも少数だけどあるらしい。


 用事があると言ったサブローししょーにお小遣いとして5000円だけ渡して、その場で別れ、あたしは夕食の準備のため、先にアパートに戻ってきてたのだけど。


 帰りが遅いなって思ったら、缶ビールと唐揚げを買い込んできて見事に5000円を使い切ってくれていた。


 カシュ!


 レモンをかけた唐揚げを口に含んだサブローししょーは、手にした缶ビールの蓋を開けると、グビグビと喉を鳴らし流し込む。


「ぷはー! うまー! やっぱ酒だ。酒。この世界の酒はキンキンに冷えてて美味い。魔法だと凍らせてしまうから、この温度は難しいんだよ!」


「豪遊して飲む酒は美味しいっすか?」


「ああ、すーぱーちゃっとを投げてくれた人々に感謝を感じているぞ! それにスライムもちゃんと処理してきたし、世界に安全が訪れたことに乾杯!」

 
 1本目をすでに飲み切り、サブローししょーは2本目の缶ビールを空けた。


「今日2本までにしといてくださいよー。明日はゆいなさんと鍛錬っすよ」


「分かってる。分かってる。俺は酒に強いから問題ない。葵、お前も飲め! 記念すべき初討伐の日だからな!」


 明らかに缶ビール1本で、すでに酔っぱらってるっすよね。


 目が座ってるっすよ。


「あたしは、未成年だし飲めないっすよ。だからこっちっす」


 ちゃんと、あたしの分のオレンジジュースと好物のポテサラも買ってきてる。


 サブローししょーのこういうところが、地味にキュンってしちゃうんすよね。


 独占したい、この推しの笑顔。


 でも、サブローししょーはチャンネルの視聴者みんなのものっす。


「サブローししょー。こっち見てっす」


 酒に酔ってるサブローししょーの顔をスマホで写真に収めた。


 あたしだけに笑ってくれてるサブローししょー、ゲットっす! 今日はこれで満足。


 また一つ、秘蔵の壁紙候補ができたっすね。


 はぁー、尊い。


「葵、飲んでるか―」


「はいはい、飲んでるっすよ。サブローさんの稼ぎで奢ってもらったオレンジジュースを美味しくいただいてるっす」


「おぅ、ならいい」


 サブローししょーは、いつも以上に上機嫌で唐揚げをつまみながら、缶ビールで流し込んでいく。


 今日のゆいなさんとの面会で見せた不機嫌そうな顔が嘘みたいだ。


 PTSDって言われるのがそんなに嫌なのかな……。


 あたしの場合、子供時は田舎にいたから魔物と遭遇するってあんまりなかったし、被害も都市部よりは軽微だったけど――


 サブローししょー世代って一番被害が出た世代のはず。


 ネクストジェネレーション零世代って言われる年齢だし、日本の宝と言われたゆいなさんよりか上の世代。


 魔物との戦闘でも常に投入され、一番酷使された世代。


 生き残った零世代の人もかなりの割合でPTSDを発症してるわけで。


 きっとサブローししょーも記憶を失ってるとか、記憶の混乱が見られるのは、PTSDに関係してそうなんすよね。


 病院受診してもらった方がいいっすよね。きっと。


 でも、サブローししょーは問題ないで一蹴するんだろうなぁ。


 ゆいなさんと話し合って、酷くなる前になんとか受診とかしてもらえるようにしないと。


「なんだ? 俺の顔に何か付いてるのか?」


「付いてないっすよ」


 ニコニコしていたサブローししょーの表情が急に厳しさを増した。


「おい! お前のペットのサラマンダーが、俺の唐揚げを盗んだぞ! 精霊のくせに物質を食うな! 貪欲なやつめ!」


 サラちゃん、唐揚げを食べるんだ……。


 サブローししょーの話だと、あたしの魔力を餌にしてるって話だった気がするけども。


「精霊って物を食うんすか?」


「普通は食わない。精神的な存在だからな! 実体化するのも精霊の力を消費するわけで! でも、そいつはそこまでして唐揚げを食ってる食い意地の張った精霊だ! 返せ! 俺の唐揚げ!」


 サラちゃん、どうやらとても食いしん坊みたいっすね。


 魔力に関しては、魔法を使いすぎたら相当疲れるとか言ってたけど、今回の探索ではそこまで疲れたという感触はない。


 もしかしたら、サラちゃんがかなりの肩代わりをしてくれてるのかも。


 だからお腹空いて、唐揚げに手を出したのかもしれないっすね。


 とはいえ、もう食べちゃったわけだし、サブローししょーの機嫌を取り戻さないと。


「サラちゃん、自分のだけじゃなくて、サブローさんの唐揚げも温め直して」


 コクコクと頷いたサラちゃんが、皿の上にあった残りの唐揚げを自ら吐いた炎で炙った。


「おっけー。サブローししょー、サラちゃんが温め直したんで機嫌を直してくださいよ」


「ちっ! 葵に免じて今回は許してやるが、次盗み食いしたら、存在そのものをこの世界から消滅させてやるからな!」


 サブローししょーならやれそうで怖いっす。


 でも、サラちゃんは聞いてなさそうで、次の唐揚げ狙ってるみたいだし。


「サラちゃんはこっち! 唐揚げはダメっス!」


 サブローししょーが、あたし用に勝ってきてくれたポテサラをスプーンですくってサラちゃんに差し出す。
 

 サラちゃんは、あたしがスプーンですくったポテサラを食べると満足してくれた。


「おい、あんまり精霊に物質を食わせるな。実体化が癖になるぞ。精霊が実体化するといろいろと面倒くさい」


「はいはい、気を付けます。サラちゃん、今日はこれで終わりっす」


 コクコクと頷いたサラちゃんは、あたしの膝の上で丸まって眠り始めた。


 その後、サブローししょーは2本目の缶ビールを空けたところで完全に寝てしまい、あたしがベッドまで運んで着替えさせるという事態になった。


 まぁ、でもサブローさんの筋肉は今日も完璧なラインを保ってるのを確認したのでヨシとするっす。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最強のコミュ障探索者、Sランクモンスターから美少女配信者を助けてバズりたおす~でも人前で喋るとか無理なのでコラボ配信は断固お断りします!~

尾藤みそぎ
ファンタジー
陰キャのコミュ障女子高生、灰戸亜紀は人見知りが過ぎるあまりソロでのダンジョン探索をライフワークにしている変わり者。そんな彼女は、ダンジョンの出現に呼応して「プライムアビリティ」に覚醒した希少な特級探索者の1人でもあった。 ある日、亜紀はダンジョンの中層に突如現れたSランクモンスターのサラマンドラに襲われている探索者と遭遇する。 亜紀は人助けと思って、サラマンドラを一撃で撃破し探索者を救出。 ところが、襲われていたのは探索者兼インフルエンサーとして知られる水無瀬しずくで。しかも、救出の様子はすべて生配信されてしまっていた!? そして配信された動画がバズりまくる中、偶然にも同じ学校の生徒だった水無瀬しずくがお礼に現れたことで、亜紀は瞬く間に身バレしてしまう。 さらには、ダンジョン管理局に目をつけられて依頼が舞い込んだり、水無瀬しずくからコラボ配信を持ちかけられたり。 コミュ障を極めてひっそりと生活していた亜紀の日常はガラリと様相を変えて行く! はたして表舞台に立たされてしまった亜紀は安らぎのぼっちライフを守り抜くことができるのか!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...