転生機族の英雄譚 ~俺は病弱な妹を救うためだけにゲーム知識を駆使して超難関のハーレムENDを目指すことにした~

シンギョウ ガク

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第六話 ブロンギの期待

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「ルシェの機体を確認したか?」

「はっ! 関節部の損耗が尋常ではありません。この機体はルシェ様が訓練に使う機体なので、今朝新品に交換したばかりでしたが、現時点で交換が必要です」

「訓練に使っただけでダメになったのか?」

「ブロンギ様も見ていらしたと思いますが、ルシェ様のあの動きは従霊機じゅうれいきでおいそれと再現できるものではありません! 霊機でも何度もやれば負荷がかかるほどの動きですよ!」


 格納庫の中で、ルシェの機体整備を担当する家臣と話しているのは、当主のブロンギであった。先ほどの模擬戦闘の結果が信じられず、ルシェの機体の確認を一緒にしているところだ。


「たしかにルシェのあの動きには、さすがのわしも驚いた。ザガルバンドとはいえ、選りすぐりの機士5人を相手に、『対話の儀』も済ませていない12歳の子が勝ったのだ。信じられるか?」

「私も信じられませんよ。あり得ない操縦技術としか……」

「だが、ついこの間までは動かすのがやっとだったのだ。それが急に全く動きが変わったのだぞ。ルシェに言われて、お前が何か弄ったのではないのか?」

「何か弄る程度で、ザガルバンドにあの動きをさせられるなら、私は機士王様の専用機体開発の技術顧問になれてますよ」

「それも……そうだな」

「ただ、ルシェ様が勝手に調整したものがあるみたいで……。ええっと、これか。これだ!」


 整備担当者が機体に繋いだ情報端末をブロンギに見せる。そこには操作補助機能が切られていたことと、それによって発生した余剰出力を機動性に全て振るように設定したことが表示されていた。


「あいつ……。操作補助なしで操縦してたのか!?」

「みたいです。しかも、余剰出力を機動性に振ったことで操作性は最悪になってたと思われます。常人ではまともに操縦できませんよ! この機体!」

「こんな癖の強いザガルバンドに乗って、機士5人を叩きのめしたなんて……」

「私の推論だと、ルシェ様のこのデタラメな設定のせいで、新品の関節部がたった一回の訓練で極度に損耗したと思ってます」


 ブロンギは整備担当者の話を聞きながら、ルシェとの模擬訓練で破損したザガルバンドが並ぶ格納庫を見まわしていく。破損した機体はどれも綺麗に胸部装甲が凹まされていた。


「あいつは天才だと思うか?」

「精霊力に関しては、私の管轄外なのでなんとも申し上げられませんが……。少なくとも操縦技術に関しては、デタラメな設定の機体を苦も無く動かせるので天才児でしょう」

「であるな……。この目で見てしまったうえは、わしもそれを認めるしかあるまい。仕事中に邪魔をして悪かった。破損した機体の整備も引き続き頼む」

「はっ! 承知しました! それと、おめでとうございます! これでドワイド家も安泰ですね!」

「喜ぶのはまだ早い! あやつの『対話の儀』は終わっておらん!」


 整備担当者との話を切り上げたブロンギは、護衛の機士を引き連れると、格納庫から屋敷に戻ることにした。その足取りは、どこか嬉しそうに弾んでいた。
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