45 / 73
デート
5
しおりを挟む
英介は、抱きしめた腕を緩め、
真剣な表情で言った。
「……なあ、真那」
さっきまでの冗談混じりの口調じゃない。落ち着いていて、でもどこか不安も含んでいる。
「俺は、ぜんぶわかったうえでここにおるよ。無理させたくないし、焦らせたくもない。けどな……それでも、一緒にいたいって、思ってる」
私の胸が、音を立てて揺れた。
嘘みたいに静かな空間の中で、その言葉だけが、まっすぐ心に落ちてくる。
「だから、真那が気持ちに整理ついたら……そんとき俺のこと、ちゃんと見てくれたら、それでええよ」
私は、ようやく顔を上げた。
英介の目は、どこまでも真剣だった。
「今日……本当にすごく楽しかったの。」
「うん……。」
「英介と一緒にいたら、この先ずっと幸せだって、想像できる。」
「うん、それは断言できる。幸せにする自信、あるし。」
「いいな……って、思うよ。」
英介は一瞬、悲しみを隠すように目を細めて私の頭をぽんっと撫でた。
「それだけで十分や。けど、こんな忘れ方はあかん。絶対真那は悩むよ。本当に吹っ切れるまで待ってるから。ちゃんとオレを好きになったら、その時は真那を抱かせて。」
目頭に溢れる涙を英介は優しく拭った。
おでこに軽いキスを落とし、すぐにドアの方を向いてノブを回した。
「じゃあ、今日は帰るから。また。」
「英介……ごめ……。」
謝り終わる前に、玄関扉はカチャっと小さく音を立てて閉じた。
真剣な表情で言った。
「……なあ、真那」
さっきまでの冗談混じりの口調じゃない。落ち着いていて、でもどこか不安も含んでいる。
「俺は、ぜんぶわかったうえでここにおるよ。無理させたくないし、焦らせたくもない。けどな……それでも、一緒にいたいって、思ってる」
私の胸が、音を立てて揺れた。
嘘みたいに静かな空間の中で、その言葉だけが、まっすぐ心に落ちてくる。
「だから、真那が気持ちに整理ついたら……そんとき俺のこと、ちゃんと見てくれたら、それでええよ」
私は、ようやく顔を上げた。
英介の目は、どこまでも真剣だった。
「今日……本当にすごく楽しかったの。」
「うん……。」
「英介と一緒にいたら、この先ずっと幸せだって、想像できる。」
「うん、それは断言できる。幸せにする自信、あるし。」
「いいな……って、思うよ。」
英介は一瞬、悲しみを隠すように目を細めて私の頭をぽんっと撫でた。
「それだけで十分や。けど、こんな忘れ方はあかん。絶対真那は悩むよ。本当に吹っ切れるまで待ってるから。ちゃんとオレを好きになったら、その時は真那を抱かせて。」
目頭に溢れる涙を英介は優しく拭った。
おでこに軽いキスを落とし、すぐにドアの方を向いてノブを回した。
「じゃあ、今日は帰るから。また。」
「英介……ごめ……。」
謝り終わる前に、玄関扉はカチャっと小さく音を立てて閉じた。
0
あなたにおすすめの小説
私の大好きな彼氏はみんなに優しい
hayama_25
恋愛
柊先輩は私の自慢の彼氏だ。
柊先輩の好きなところは、誰にでも優しく出来るところ。
そして…
柊先輩の嫌いなところは、誰にでも優しくするところ。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
私の夫は救えないクズ〜別れた先に幸福が待ってました〜
専業プウタ
恋愛
篠山久子はアラサー商社OL。十年付き合った恋人に振られ、コネ入社なのに実家の会社が傾き父親が亡くなり腫れ物扱い。そんな時に出会ったばかりの年下ドクター富永スバルからプロポーズされる。経済的苦労もない溺愛新婚生活を送って一年、何故か久子はスバルに絞殺された。タイムリープした久子はスバルの真実を知る。再びスバルに殺された久子は時を戻り、男に頼らず、今までと全く違う行動に出る。この物語は発想を逆転させた甘ちゃんお嬢様が、悪と闘い愛すべき人生を手に入れる仰天サクセスラブストーリーである。
ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
今さらやり直しは出来ません
mock
恋愛
3年付き合った斉藤翔平からプロポーズを受けれるかもと心弾ませた小泉彩だったが、当日仕事でどうしても行けないと断りのメールが入り意気消沈してしまう。
落胆しつつ帰る道中、送り主である彼が見知らぬ女性と歩く姿を目撃し、いてもたってもいられず後を追うと二人はさっきまで自身が待っていたホテルへと入っていく。
そんなある日、夢に出てきた高木健人との再会を果たした彩の運命は少しずつ変わっていき……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる