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#1 失恋から数年後
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「じゃあ…手伝えなくてごめんね?」
「先帰ります。」
「お疲れ様でした。」
1人、また1人とタイムカードを切ってオフィスから出ていくのを見送り、ようやく仕事を終えたのは、21:00過ぎだった。
片付けを済ませ、珈琲だけ飲んで帰ろうと給湯室に向かうと、電気の灯りがドアの隙間から漏れている事に気がついた。
(消し忘れかな?)
ドアノブに手をかけると、中から誰かの話し声が聞こえて立ち止まった。
「泣かせちゃってごめん。……うん、無理。やり直せないよ。」
まずい。聞いちゃいけないやつだ。
慌てて踵を返し、フロアに戻ろうとしたけれど遅かった。
扉が開いて、給湯室から出てきた営業課の田上さんと目が合ってしまった。
「お………疲れ…さまでーす。」
無言で去ることも出来ず挨拶をした私に、田上さんは柔らかい笑顔を向けた。
「別れ話したら泣かれちゃって。」
そんな話題を振られても、恋愛に対してコンプレックスだらけの私にうまい回答なんて捻り出せるわけがない。
「まぁ、それは大変ですね。」
としか答えられないまま、視線を逸らした。
「ナイショにしてくださいね。花田さん。」
田上さんは唇に人差し指を当てながらそう言って、私の手のひらに綺麗な包み紙のチョコレートを乗せた。
「立ち聞きしようと思ったわけじゃなくて私はただ…」
「ただ珈琲を入れにきたんでしょ?俺も珈琲を飲んでただけだよね?」
思わずうなずくと、靴音を響かせて廊下を歩く田上さんの背中を見送った。
「先帰ります。」
「お疲れ様でした。」
1人、また1人とタイムカードを切ってオフィスから出ていくのを見送り、ようやく仕事を終えたのは、21:00過ぎだった。
片付けを済ませ、珈琲だけ飲んで帰ろうと給湯室に向かうと、電気の灯りがドアの隙間から漏れている事に気がついた。
(消し忘れかな?)
ドアノブに手をかけると、中から誰かの話し声が聞こえて立ち止まった。
「泣かせちゃってごめん。……うん、無理。やり直せないよ。」
まずい。聞いちゃいけないやつだ。
慌てて踵を返し、フロアに戻ろうとしたけれど遅かった。
扉が開いて、給湯室から出てきた営業課の田上さんと目が合ってしまった。
「お………疲れ…さまでーす。」
無言で去ることも出来ず挨拶をした私に、田上さんは柔らかい笑顔を向けた。
「別れ話したら泣かれちゃって。」
そんな話題を振られても、恋愛に対してコンプレックスだらけの私にうまい回答なんて捻り出せるわけがない。
「まぁ、それは大変ですね。」
としか答えられないまま、視線を逸らした。
「ナイショにしてくださいね。花田さん。」
田上さんは唇に人差し指を当てながらそう言って、私の手のひらに綺麗な包み紙のチョコレートを乗せた。
「立ち聞きしようと思ったわけじゃなくて私はただ…」
「ただ珈琲を入れにきたんでしょ?俺も珈琲を飲んでただけだよね?」
思わずうなずくと、靴音を響かせて廊下を歩く田上さんの背中を見送った。
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