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#15 ホテルで田上さんと……
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私の言葉に田上さんは眉を寄せ、口元が不満そうに歪んだ――次の瞬間。
冷蔵庫の中できんきんに冷えていたペットボトルが首を撫でた。
「ひゃっ……」
驚いて見上げると、田上さんの指が私の頬を軽くつねる。
。
「まだ、酔ってるよね?」
怒っているような、拗ねているような声。
「え……?」
戸惑う私を見下ろして、田上さんは深いため息をついた。
「昨日……磯崎さんとデート……だったんじゃ……」
勇気を振り絞って聞いたけれど、田上さんは天井を仰いだ。
「やっぱり、給湯室での話、聞いてたんだね。」
「……はい。」
天井に泳がせた視線が戻ってきて、私をまっすぐに見つめる。
「俺は、彼女とデートしていないよ。」
「でも……田上さんはあのBERで彼女と」
言葉にした瞬間、胸の奥でなにかが引っかかった。
「……思い出した?」
__あれ?
その”光景”が、急に現実味を失う。
「……えっと、待って。だから、その」
田上さんはすこしだけ声のトーンを下げた。
「夢で俺が磯崎美優とBARでデートしてたんだ?」
言葉を失った私に、もういちどため息を吐いて見せた。
「昨日、岩城さんに呼び出されて、居酒屋に行ったんだよね。」
淡々と、けれど、丁寧に語り始める田上さん。
「俺がそこについた時、美亜はもう机に突っ伏していた。」
「……」
「今風の男たちに『介抱してあげよっか』とか言われてて、岩城さんは対処できずに困ってた。みれば顔は真っ赤だし、名前呼んでも返事はしないし」
その情景がぼんやりと浮かび上がる。
(田上さんが……”俺の彼女にさわんな、散れよ。”とか、言ってたような)
途端に顔があつくなって俯く。よく考えて見れば、あんなに積極的な自分は現実じゃないってわかる筈なのに。
「それで、水を飲ませて落ち着かせたらアパートに送り届けようと思ったんだけど。」
「……(けど?)」
「けど、落ち着いたところで話し合いましょうって服の裾を掴んでここにひっぱってきたのは、美亜だよ。」
「……!?(ひえッ)」
冷蔵庫の中できんきんに冷えていたペットボトルが首を撫でた。
「ひゃっ……」
驚いて見上げると、田上さんの指が私の頬を軽くつねる。
。
「まだ、酔ってるよね?」
怒っているような、拗ねているような声。
「え……?」
戸惑う私を見下ろして、田上さんは深いため息をついた。
「昨日……磯崎さんとデート……だったんじゃ……」
勇気を振り絞って聞いたけれど、田上さんは天井を仰いだ。
「やっぱり、給湯室での話、聞いてたんだね。」
「……はい。」
天井に泳がせた視線が戻ってきて、私をまっすぐに見つめる。
「俺は、彼女とデートしていないよ。」
「でも……田上さんはあのBERで彼女と」
言葉にした瞬間、胸の奥でなにかが引っかかった。
「……思い出した?」
__あれ?
その”光景”が、急に現実味を失う。
「……えっと、待って。だから、その」
田上さんはすこしだけ声のトーンを下げた。
「夢で俺が磯崎美優とBARでデートしてたんだ?」
言葉を失った私に、もういちどため息を吐いて見せた。
「昨日、岩城さんに呼び出されて、居酒屋に行ったんだよね。」
淡々と、けれど、丁寧に語り始める田上さん。
「俺がそこについた時、美亜はもう机に突っ伏していた。」
「……」
「今風の男たちに『介抱してあげよっか』とか言われてて、岩城さんは対処できずに困ってた。みれば顔は真っ赤だし、名前呼んでも返事はしないし」
その情景がぼんやりと浮かび上がる。
(田上さんが……”俺の彼女にさわんな、散れよ。”とか、言ってたような)
途端に顔があつくなって俯く。よく考えて見れば、あんなに積極的な自分は現実じゃないってわかる筈なのに。
「それで、水を飲ませて落ち着かせたらアパートに送り届けようと思ったんだけど。」
「……(けど?)」
「けど、落ち着いたところで話し合いましょうって服の裾を掴んでここにひっぱってきたのは、美亜だよ。」
「……!?(ひえッ)」
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